思考のきっかけを与える
国際バカロレアというのをご存じでしょうか?
文部科学省がグローバル化に対応できる人材を育成するために推進している、小・中・高校生向けの教育プログラムのことです。
国際バカロレア教育は、「なぜだろう?」と繰り返し問いながら、分析を深めていく対話型の授業を特徴としています。
ところが、「英語力が身につく」とか、「海外の大学へ進学できる」など、局所的な視点からメリットだけに注目している人が多数いるからだと思いますが、生徒たちは、「何が正解なのか?」「どれが試験に出るのか?」などと聞いてくるそうです。
確かに受験勉強では、何が正解かを突き詰めていくことが多いので、その影響だと思います。
しかし、国際バカロレアでは、「根拠があれば、それは1つの答えである」という考えです。
だから、「自分の意見はどうなの?」「なぜ?」というところを重視しているのです。
先生は教えるというよりも生徒と共に学ぶ「学習者」であり、授業はあくまで子どもが主体です。
子どもが自分の頭で考え、決断し、行動できる力を伸ばしていくという理念です。
考える力は、教えたり指示したりするのではなく、子どもに考えるきっかけを与えることで伸ばせるのです。
ではどうすればそのきっかけを与えられるのでしょうか?
答えを教えない
子どもが何かを聞いてきたら、すぐに答えを教えずに「どう思う?」「何でだろうね?」などと問いかけます。
すぐに答えがわからないワクワク感が、子どもの考えるきっかけになるからです。
自分で考えようとしない時には、一緒に調べたり考えたりしてあげることで、ただ「答え」を教えるのではなく「学ぶプロセス」を体験させます。
質問させる
子どもにたくさん質問をしてもらいます。
質問したがらない時には、「こう思うんだけど、あなたはどう思う?」などと質問してみます。
子どもは親を手本に言葉の使い方を覚えていきます。
親が子どもにたくさん質問をしている家庭は、子どももたくさん質問をします。
反論をする
あえて反論をするというのは、ディベートや議論を活性化させる手法でも使われています。
子どもに対しても、反論することで、考えを深めるきっかけを作れます。
「地球は丸い」という子どもの発言に対し、「それって本当?じゃあなぜ地面は平らなの?」と切り出し、あえて真逆の意見をぶつけてみるのです。
ルールを考えさせる
子どもが親の言うことを聞かない理由の一つは、納得できていないからです。
「~しなさい」と言っても効果がない時には、それも思い切って考えるきっかけにしてしまいましょう。
親の希望も伝えつつ、賛否両論を考えさせるのです。
テレビばかり見る時には、「目が悪くなるから心配」「話ができなくて悲しい」などと気持ちを伝えつつ、子どもにはテレビを見ることのメリット、デメリットを挙げてもらいます。
その上で、どういうルールにするのがいいか、自分で考えさせます。
時間がかかりますが、命令して強制するよりも、子どもが納得した上でルールを決めた方が行動は変えやすくなります。