門松と松の不思議:日常に隠された学びの機会

「松過ぎて」ってどういう意味??

松過ぎて 町のひろがる 月夜かな (掬明の俳句)

この句の冒頭の「松過ぎて」がどのような意味かご存じですか?

まず、お正月を迎えるには門松を飾りますが、門松を立てている間のことを「松の内」と呼び、関東では1月6日、関西では1月14日までがその期間です。

それを過ぎると「松過ぎ」と言います。

だから上記の句はお正月の雰囲気が抜けた町の様子を詠んだものです。

それは「松の内」と呼ばれるものとは違います。

今ではもうこの句の意味がよくわからないようなお正月風景になりましたね。

目次

なぜお正月に「松」なの?

さて、お正月に「松」を使用する理由は何でしょうか。

日本語で「花」は必ずしも英語のflowerを意味しません。

生け花の発生した室町時代は「立花」と呼ばれるものですが、その生け花の芯に使われているのは「松」です。

日本人にとって花の中の花は古来「松」だということです。

<ここで、お子さんが「へ~桜じゃないんだ。」と日本人にとって花の中の花がいつから『桜』になったのか、興味を持てるようになるといいですね。>

現在は海岸の護岸工事で、その風景は珍しくなりましたが、松はかつて、海岸線に多く見られた木です。

それは、「歳の神は海の彼方から訪れる」と考えられていたからです。

だから新年に「松」なのでしょう。

そう、「松」の名が「待つ」という音と同じなのは「神様が来るのを待つ」という意味からかもしれません。

日常に隠された学び

お正月、初売りに出かけると、どこのお店の前にも「門松」があり、それに目を止めて「どうして『松』なのだろうと考えてみることが「学ぶ」きっかけとなるのです。

理科の「種子植物」を習う時、何の引っ掛かりもないまま、教科書に「裸子植物-マツ」を見た時と、それ以前にどうして「松」なのかと一度引っ掛かっている状態で「裸子植物-マツ」と見た時では大きく異なるでしょう。

このように、脳の中に「記憶のフック」をたくさん持っている人が「何でもよく覚えられる」のです。

今年はそのような一年であって欲しいですね。

皆さんは、何でも無自覚に通り過ぎてしまっていませんか?

脳の中の「フック」があまりない状態です。

それって「ツルツル」だね、とイメージしてみてください。

嫌ですよね。

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