思考力とは何か?
教育の現場で「思考力が大事ですよ」と盛んに言われ始めたのはいつ頃のことでしょうか。
長年見てきた中で感じることですが、開塾当初に比べると子どもたちの思考力は明らかに落ちています。
昔から基礎はできても応用ができない子はいましたが、勉強していく中で解消していったものでした。
今の子たちは、簡単なことが出来なかったりするので、教える側が面食らってしまうこともあります。
例えば国語でいうと、「入る」の反対は「出る」ですが、小4の生徒の中には、「入らない」と答える子が多いです。
小5になるとさすがに正答を言えるのですが、対義語に限らず国語全般が苦手分野になっているのは事実です。
言葉というのは思考に直結するので、決して疎かにするべきではありません。
学ぶ内容が昔に比べ難しくなっていることはあるとしても、高くなったレベルに合わせられる子と合わせられない子の二極化が進んでいる点も危惧しています。
子ども同士が教え合うグループワークに期待
2年前に授業内容を見直して、一斉授業に代わってグループワークも積極的に取り入れました。
講義形式だとどうしても受け身になり、ぼーっと座っているだけになりがちです。
数十分の授業の中で本当に意味があるのは5~10分しかない、という説もあるほどです。
そのため、できるだけ演習をさせるようにしています。
グループワークでは、算数の時間は数人の班に分かれてチームで正解を考えてもらうようにしました。
もちろん、できる子とできない子がいますが、できる子が教えてあげるというのが狙いの一つです。
年が近い子に「こうなんだよ」と言われる方が自発的に考えるきっかけとなり、本当の意味での理解が進むようにしました。
過干渉していませんか?信じて見守りましょう!
今の子どもたちは考えることに慣れていません。
背景の一つには、幼いころから親が自分の価値観で子どもの行動を決めているというのがあると思います。
粘り強くやり抜く習慣がないので、解けなかった問題があっても解答・解説を読んで終わりにしてしまい、蓋をしてしまう。
すると、似たような問題や少しひねった問題が出た時に解けません。
「勉強をしなさい」と言われて嫌々ながら自己流を通し、成績が上がらなくてもずっと自分のやり方を貫いてしまっているのです。
一方で、勉強ができる子は持ちうる知識を総動員して解こうとします。
日頃から「なぜ?どうして?」を追求しているのでしょう。
自分から興味を持って調べたり考えたりする力は、親が手伝いすぎると身に付きません。
幼い頃からの習慣はなかなか直らないので、子どもが自力で取り組もうとしている時は信じて見守ってあげて欲しいですね。
親の出番は最後の最後と心得て、手出しをしないことこそが、自分で考える力を育てるのです。