中高生の後伸びにつながる「幼児・低学年期の学び」
幼児・低学年指導を始めて気付いたこと
サンライズが幼児・低学年指導を始めて15年になります。
中学生、高校生になって後伸びする子は、幼児・低学年期の学びにあることを知ったのがきっかけでした。
いわゆる「学習塾」や「進学塾」の多くは生徒を合格させることが第一の目標です。
ところが、受験で合格さえすれば、人生が豊かになるのかといえば、そうではありません。
長い人生を生きていく中では、点数や学歴がどうだというよりも、心の使い方、考え方次第で豊かになるものです。
感じ方や考え方は人それぞれであり、テストで測ることはできません。
受験は目的ではなく、手段の一つでしかないのです。
社会に出て役立つのは、学生時代に身につけた知識よりも、例えば勉強する癖や、知識を活用して新しい問題を解決する力などです。
勉強する癖や習慣というのは、中高生になってから身につけようというものではないですよね。
実際、幼児や低学年の指導をしていると、そういう癖や習慣は、むしろ中学生たちより容易に身につくのです。
癖はついたらなかなか消えないものです。
だから勉強する癖を早めにつけるためにも、サンライズでは幼児・低学年は一番時期として、特に力を入れていきたいと思っています。
幼児・低学年教育で大切なこと
同じ授業を受けているのに、勉強ができる子とできない子に分かれてしまうのはなぜか。
理解が早く、自主的に勉強できたり、それほど勉強しなくてもできる「勉強ができる子」と、分数や面積が苦手だったり、いくら勉強しても成果が出ない「勉強ができない子」の差は「あること」をしたかどうかで決まります。
それは、幼少期からビシバシ勉強させることでも、誰よりも早く知識を教え込むことでもありません。
大事なことは勉強することではなく、勉強するための「下地・基礎・基本作り」です。
例えば、100階建ての高層ビルの土台を作れば、そこには5階建てのビルも建てられます。
しかし、しっかりした土台のない所に高層ビルを建てようとすれば、強度不足のため補強工事をしなければいけません。
では、「勉強ができる子」の土台とは何か?
その答えは、200以上の数・知恵・文字・図形の「基礎概念」です。
「基礎概念」は「数概念」とも言われ、数の中身を分かるようにすることです。
その数の能力は知能の中でも最も大切な能力で、数・量・関数・図形・計算・測定を総合したものです。
幼児教育では、数概念を身につけるために、数理パズルや積み木を使用しています。
算数に強い子を育てるには
算数に強い子に育てるには、暗記型の詰め込み教育ではなく、算数の不思議な世界を自分の手で経験し、その魅力に触れてみることのできる教育をしなければなりません。
それには紙と鉛筆だけの指導ではなく、実験道具となる遊具を渡して、遊びの中で数理的経験をさせて認識に導くような指導をします。
教えて覚え込ませるのではなく、手と頭で考えさせて、数理的感覚を伸ばす教育です。
興味を持って熱中して遊べる「物」を教材として与えて、手と頭を同時に働かせて、試行錯誤を重ねて、物理的認識に到達させることは、観察力や分析力・思考力・想像力などの総合的な知識を高めるのに役立ちます。
空間認識力 ・ 空間把握力を身につける「体験」
積み木には、「空間認識力・空間把握力」を身につけさせる狙いがあります。
頭の中で立体を思い浮かべて、角度を変えたり、回転させたり、その一部を取り出すといった、立体の一部をイメージする力のことです。
この力は足し算や掛け算のようにドリルをたくさんすれば鍛えられるというものではありません。
空間認識力・空間把握力を身につけるには実際に「体験」することしかありません。
実験して観察して工夫して、決まりを自分で発見できない映像授業では、空間認識力を習得するのは不可能です。
「体験」するには外遊びがベストですが、室内で小さい頃からできる取り組みとしては、積み木に触れておくことです。
手先を使った作業は脳への良い刺激にもなります。
イメージすることは様々な問題解決の力になる
何より複雑な問題が解けたときの達成感は、子どもの学習意欲をとても高めるものです。
その複雑な問題を解くためには、空間認識力・空間把握力が不可欠で、その力が身につけば、算数の図形問題が得意になるだけでなく、文章問題や、国語の読解問題も、頭の中にその状況をイメージすることができるので、解きやすくなります。
イメージすることは様々な問題を解決する上で大事なことがというのはいつも教えています。
基礎概念がわかって初めて基本が理解できる
具体的な「物」を使って基礎概念を十分に習熟させて、既知事項(知っていること)にまで高めてから基本学習に移行することが大切です。
基礎の部分をとばして、基本をやろうとしてもできないですよね。
基礎概念がわかってこそ、初めて基本が理解できるんです。
これまでお話したように、『勉強ができる子』と『できない子』の違いは、幼児・低学年の時期に、いかに『下地・基礎・基本』を育んだかです。
この基礎は発展・応用・思考力の盤石な土台となります。
強い土台を作ることができるのは、幼児期~低学年くらいまでで、高学年になると、授業も複雑で難しくなってきます。
下地・基礎・基本がしっかりしていないと、難関高を目指せないというわけではないですが、土台がしっかりしていないと、無理を生じてしまいます。
「創造性の芽」の育て方
幼児期に見られるすばらしい数理感覚を大きくなるまで失わずに磨き上げていきたいというのが、私たちの願いです。
よくある知識偏重教育の弊害を最も強く受けているのが算数・数学なんです。
塾に来る幼児や小学生を見ていると、子どもたちは生まれながらに素晴らしい数理感覚を与えられていることに驚かされます。
そのバランスが、年齢とともにくずれていって、算数で落ちこぼれてしまう子が非常に多いんです。
3歳の子に暗算をさせたがったり、小学生で因数分解ができると自慢される親御さんがいますが、子どもは教え込めば何でもやりこなします。
大人がびっくりするような力は、子どもの脳にはもともと備わっているようです。
その素晴らしい脳に、いずれ誰もが学校で習う知識を早くから詰め込んでしまうことは、あまりにももったいないと思います。
知識ではなく感覚を、子どもの柔らかい脳の中で育てていきたいと思っていて、その鋭い感覚こそが、創造性の確実な芽になると思います。