自学力を育てる:小学校低学年におすすめの国語辞典5選
自ら学ぶ力、自学力を育てていくためには国語辞典は欠かせません。
国語辞典を低学年の段階から親しませたいと考える人のために、おすすめの国語辞典を紹介します。
国語辞典はすべての辞典の基本であり、自らの力で調べていくための基本的な資料となります。
現在では小学1年生から使えると銘打った辞書も出ています。
言語能力が飛躍的に伸びる低学年に国語辞典を使わせることは意義があると考えています。
国語辞典を選ぶ際の基準とは
次の点に留意してご家庭で国語辞典を用意していただきたいと思います。
言葉の説明をしっかり行っている本格的な辞書で、かつ、総ルビつき(ふりがなつき)で少なくとも15,000語以上の語彙を網羅している国語辞典
小学校低学年のお子さんにとっては、国語辞典は非常にハードルが高い本です。
親が昔使っていた辞書を使わせようとする方もいるかもしれませんが、最初から大人が使用するような国語辞典を使わせてしまうと、使い勝手が悪いので辞典を活用しなくなってしまいます。
辞書は小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生と年齢に応じて買い替えることをお勧めします。
小学校1・2年生におすすめの国語辞典
上記の基準を満たす国語辞典を厳選しました。
- 小学館 例解学習国語辞典
- 学研 新レインボー小学国語辞典
- 三省堂 例解小学国語辞典
- ベネッセコーポレーション チャレンジ小学国語辞典
- 光村教育図書 小学新国語辞典
例解学習国語辞典【小学館】
語数:40,900語 総収録語数:48,800語
一番のおすすめはこちら。
通常版以外にも、ワイド版、ドラえもん版などラインナップが豊富です。
オールカラーで写真や図表が多く、理解がしやすいのが特徴です。
新レインボー小学国語辞典【学研】
収録語数:約43,300語
全ページオールカラーのため、見やすくて使いやすいです。
低学年のうちは、字が大きくて見やすいワイド版の方をおすすめします。
例文がわかりやすく、慣用表現・定型句など、表現に関する語が多数収録されています。
例解小学国語辞典【三省堂】
収録語数:約46,500語
オンライン辞書が無料で使用可能です。
さがしやすくて読みやすいUDデジタル教科書体を、辞書ではじめて使用しています。
チャレンジ小学国語辞典【ベネッセコーポレーション】
収録語数:35,600語 総項目数:43,300
こちらも定番の国語辞典です。
写真は動物版ですが、カラー版と同内容です。
全ページフルカラーで写真やイラストが豊富です。
小学新国語辞典【光村教育図書】
収録語数:約34,000語
国語の教科書でおなじみの光村図書の国語辞典です。
教科書で分からない言葉を調べる時にはピッタリでしょう。
国語の学習に役立つように、言葉の広がりを意識した内容となっています。
その他の辞典でも、実際に見て頂いて、使いやすそうなものをお選びください。
ちなみに、国語辞典を引く習慣を身に付けた子は、3年生以上で「広辞苑」(岩波書店)、「角川必携国語辞典」(角川書店)がお勧めです。
国語辞典の効果的な使用方法
親子で2冊の辞書を用意する
子供を書店に誘って、使いやすい辞書を選びましょう。
なお、子供とは別に親御さん専用の辞書を用意することをお勧めします。
複数の辞書があれば、言葉の意味などを違った角度から学べますので、学習効果も高まります。
例「最近、お母さんは新しい辞書が欲しいの。○○ちゃんも自分専用の国語辞典を持ってみない?いろいろな言葉を調べられて楽しいよ。これから書店に行って、一緒に選ぼうか」
辞書を選ぶときのコツ
1年生から使えると銘打った辞書は多くの場合、語彙数が少なく、内容も稚拙な辞書が多いです。
せっかく調べた言葉が掲載されていないと、お子さんの調べる意欲が削がれる可能性があります。
また、読めない辞書は使えません。
発行年が古すぎると新しい言葉がなかったり、間違いがあったりするので、改訂されているかどうかを確認してください。
子供がその辞書を使って、読んで楽しいかどうかも重要なポイントになります。
挿絵が豊富だったり、カラー口絵や学習に役立つコラムが載っているなど、楽しみながら学べる辞書が良いです。
とにかく、同じ言葉を引いてみて、「どれがわかりやすい?」などと尋ねながら、お子さんに選ばせましょう。
その方が、「自分の辞書」として大事に使います。
例「どの辞書がいいかな?同じ言葉を引いてみて、わかりやすくていいな、と思う辞書が見つかったら教えてくれる?」
意味を「音読」させる
辞書を引き始めの時期は、是非「意味を音読」させてください。
付箋紙を貼るのに夢中になって、辞書の意味を最後までしっかり読まずに、次の言葉を調べる子供もいるからです。
辞書で言葉を調べたら、「単語と意味を声に出して読んでから、付箋紙を貼る」。
これをセットにして行わせましょう。
例「今日から、お母さんと一緒に辞書を引こうね。まずは夕食の『カレー』を引いてみようか。○○ちゃんも好きだよね。お母さんも自分の辞書で調べてみるね」
「○○ちゃんの辞書には何て書いてあるかな?教えてくれるとうれしいな」
「よく読めて偉いわね。これからも、調べた言葉や意味は声に出して読もうね。じゃあ、お母さんも読んでみるわね」
調べた語を「付箋紙」に書かせる
付箋紙は、子供が喜んで辞書引きをする動機づけに大きく関わってきます。
子供がのめり込むようになる方法は、「どれだけたくさんの言葉に触れたか、目に見える形で残すこと」です。
付箋をページのふちに貼りながら辞書を引くようにしましょう。
基本的に、付箋紙の選び方、貼り方は子どもに任せても構いませんが、使いにくそうにしている場合は、少し手助けをしてあげるとよいでしょう。
小さい子は、手先が器用ではないので、細い付箋ではうまく書けません。
付箋はなるべく太いものがよいです。
付箋紙を貼る前に、あらかじめ通し番号をつけておくと、今から貼るのが何枚なのかわかります。
また、付箋紙は箱で買う方がよいです。
慣れないうちは10枚程度のスピードで調べていても、徐々に40~50枚以上といったハイペースで辞書を引くようになるからです。
付箋紙には、「調べた語」を書かせるわけですが、ひらがなで書くのか、漢字で書くのかは子どもによってさまざまです。
最初は「調べた語」をひらがなで書いていた子供でも、途中から漢字で書くようになるものです。
辞書に親しませるという目的からすれば、最初から「こうしなさい」と指示するのは得策ではありません。
「漢字で書くといいね」とさりげなく示唆しながらも、子供が、自分の判断に基づいて、自然と切り替えていくのを見守る方が賢明です。
例「調べた言葉を付箋紙に書いて、調べた部分に貼っていこうね。これから付箋紙が増えていくから、番号を振っておくと、調べた数がわかっていいね」
⑤道具(辞書)は使いこんでこそ価値がある
自分で選んだ辞書は、「マイ辞書」であって、愛着が湧きます。
その辞書は、「大工の鉋」のようなもので、使い込んでこそ価値があるのです。
辞書を引かせるには、いつも手元になくてはなりません。
「常に辞書は机の上の目に入る場所に置く」ことを徹底させましょう。
さらに言えば、辞書が机の上にあっても、ハードケースに入ったままでは、辞書を引く時に邪魔になります。
これも、辞書を引きづらくする要因です。
子どもも新しい辞書に愛着があって、なかなかハードケースを手放さないかもしれません。
ハードケースは、思い切って、捨ててしまった方がよいかもしれませんね。
無理やりでなくても構いませんよ。
どうせ、そのうち、ハードケースに入らないくらいに辞書が膨らみますので(笑)
辞書は高価なものであり、丁寧に扱うものという考え方をお持ちの方もいるかと思いますが、道具は使い込んでこそ、その用を果たすわけですから、徹底して使わせる方法を考えなければなりません。
何度も何度も辞書を引き、舐めるように読み、書き込みをしながら、辞書を使いつぶす。
こんな使い方を子どもができたなら、「辞書にお金を使っても惜しくない」と思われるのではないでしょうか。