子どもの算数学習を伸ばす!具体から抽象へ導く学びのステップ

算数は、単なる計算力だけでなく、論理的思考力や問題解決能力を育てる重要な教科です。しかし、数字の概念をしっかりと理解できていないと、計算の仕組みが分からず、苦手意識を持つことも。特に、小さな子どもが「数の概念」を身につけるためには、具体的な経験から抽象的な理解へとつなげるステップが欠かせません。そこで本記事では、親が家庭でできる効果的なサポート方法を解説します。
数の概念を深める!具体的な経験が算数学習の基礎

算数の学習において、具体的な経験を通じて数の概念を理解することが最も重要です。特に小さな子どもは、まだ抽象的な思考が発達していないため、目に見えるものや手で触れられるものを使って学ぶことで、数の感覚を養うことができます。この段階をしっかり踏むことで、後の学習がスムーズに進むのです。
なぜ「実際に体験すること」が大切なのか?
例えば、親が「5という数字を知っている?」と尋ねると、多くの子どもは「知ってる!」と答えるでしょう。しかし、「5という数字は何を意味するの?」と聞くと、戸惑うことがあります。これは、数字の名前は覚えていても、それが何を表すのかを理解できていないためです。
子どもが本当に数を理解するためには、「5」という数字を単なる記号としてではなく、実際の物の数と結びつける経験が必要です。例えば、
- おもちゃを「1つ、2つ、3つ…」と順番に数える
- おやつを「2個ずつ分ける」
- 階段を「1段ずつ上ると数が増える」と体感する
このように、生活の中で数字に触れる機会を増やすことで、数の概念が自然に身につきます。
生活の中で取り入れられる算数遊び
家庭でできる簡単な算数遊びを取り入れることで、子どもは楽しみながら学ぶことができます。例えば、次のような遊びが効果的です。
- 「お買い物ごっこ」
おもちゃのお金を使って、りんごやお菓子を買う遊びをすると、「3個ください」「お釣りはいくら?」など、実際の数量を意識しながら計算の基礎を学べます。 - 「積み木やブロック遊び」
「〇個のブロックを積んでみよう」「2個増やすといくつになるかな?」と声をかけることで、足し算の感覚を養えます。 - 「おやつを分けるゲーム」
「クッキーを2人で分けるにはどうすればいい?」と考えさせることで、割り算の概念につながる経験ができます。
こうした遊びを通じて、数字が実際に使われる場面を体験することで、算数に対する興味が自然と湧くようになります。
視覚・触覚を使って学ぶことで、理解が深まる
子どもが数の概念を理解するためには、視覚や触覚を活用することが効果的です。例えば、数字をただ教えるのではなく、目で見たり手で触れたりすることで、より深く学べます。
- 数字カードを使う
「5」というカードを見せながら、5つのボールを並べることで、数字と数量の一致を学べます。 - 数直線を活用する
数直線を使って、「3の次は?」「2増えたらどこに行く?」と考えさせることで、数の順番や増減の概念を理解しやすくなります。 - おはじきやマグネットを使う
おはじきを「1つずつ増やす・減らす」など、手を動かして学ぶことで、数の変化を体感できます。
このように、算数学習の土台として、実際に手を使って体験することが不可欠です。数を目で見て、手で触れ、口に出して数えることで、数の概念がより確かなものになります。
算数が苦手な子の多くは、「数字が単なる記号のように感じる」ことが原因です。しかし、親が具体的な経験を積ませることで、「数字=物の数」という実感を持たせることができるのです。この基礎がしっかりできていれば、今後の算数学習がスムーズに進むでしょう。
具体から抽象へ!数の概念を広げるステップとは?

算数を学ぶ上で、具体的な経験を積んだ後に、抽象的な概念へと発展させることが大切です。例えば、「10までの数を数えられる子」が、「20までの数を正しく数えられない」ことがあります。これは、数の増え方を感覚的に理解できていないためです。具体的な数え方を学んだ後に、それを抽象化するプロセスを丁寧に進めることで、より高度な算数の学習へとつなげることができます。
10まで数えられるけど、20までだと戸惑う理由
幼児や小学生が「1から10までの数」はスムーズに言えても、「10から20」になると混乱することがあります。例えば、「10から20までの数字は何個ある?」と聞かれたとき、正しく答えられない子が多いのはなぜでしょうか?
この理由のひとつに、「数を数える経験」と「数の規則性の理解」が分離していることが挙げられます。多くの子どもは、「1、2、3…10」と暗唱することはできますが、「数が1つずつ増えている」という本質を理解していないことがあります。そのため、「10、11、12…」という流れが新しく感じられ、途中で数え間違えてしまうのです。
「1つ増える」「1つ減る」を理解する大切さ
数の概念を深めるためには、「数が1つ増える」「1つ減る」ことを実際に体験しながら学ぶのが効果的です。例えば、次のような方法を試してみましょう。
- 実際に数を増減させる
おはじきや積み木を並べ、「10個あるよね?1つ増えたらいくつになる?」と質問すると、子どもは数が変化する感覚を実体験できます。 - 数直線を活用する
数直線の上で、「10の次は?」「11から1つ減らしたら?」と指を動かしながら考えると、数の並びが視覚的に理解しやすくなります。 - 「次の数は何?」ゲーム
「10の次は?」「12の次は?」といったクイズ形式で問いかけると、子どもはゲーム感覚で数の並びを学ぶことができます。
こうした練習を繰り返すことで、子どもは「数が1つずつ増えていく」というルールを自然に理解できるようになります。
数直線や積み木を使った具体的な学び方
「数を順番に言える」だけでなく、「数の増減を理解する」ためには、目で見て手で動かすことが大切です。そこで、数直線や積み木を使って具体的な数の変化を学ぶ方法を紹介します。
① 数直線を使った学び方
数直線とは、0から順に数を並べた線のことです。これを使うと、「10の次は11、12…」といった数の規則性が視覚的に分かりやすくなります。
- 数直線を紙に書き、「ここが10。1つ進むと?」と指で示す
- 数直線上を歩かせて、「10から1歩進むと11」と体感させる
- 「数が増えると右へ、減ると左へ進む」と教える
この方法を繰り返すことで、数の増え方・減り方が直感的に理解できるようになります。
② 積み木を使った学び方
積み木を使うと、数を視覚的・触覚的に実感できます。例えば、以下のような遊びが効果的です。
- 「10個の積み木を並べて、1個ずつ増やしていく」
- 「10個の積み木から1個ずつ取って、数を減らす」
- 「好きな数だけ積み木を並べ、何個あるか当てる」
このように、目で見て手で触れることで、「数の増減」という抽象的な概念を、具体的な体験として学ぶことができます。
具体的な経験を積むことで、算数の理解が深まる
子どもが数をスムーズに扱えるようになるためには、「数える」から「数のルールを理解する」へとステップアップすることが重要です。
- 「10の次は11」と単に暗記するのではなく、「1つ増えると11になる」と考える
- 数直線や積み木を活用し、数の増減を実体験する
- ゲーム感覚で「次の数を当てる」遊びを取り入れる
このように、具体的な経験を積みながら、数の概念を抽象的に理解するプロセスをしっかり踏むことで、算数の基礎力が確実に身につきます。
「数字はただの記号ではなく、実際の物の数を表すもの」だと実感できれば、子どもは算数を楽しく学べるようになります。次のステップとして、親がどのように子どもの算数学習をサポートできるかについて見ていきましょう。
親の関わりがカギ!子どもの算数への苦手意識を防ぐ方法

算数を苦手に感じる子どもは少なくありません。その原因の多くは、「抽象的な概念を理解するのが難しい」「数の増減のルールが分からない」といった基礎的なつまずきにあります。これを防ぐには、親が適切に関わり、子どもが算数に楽しく取り組める環境を整えることが大切です。ここでは、親ができる具体的なサポート方法を紹介します。
「間違えることは成長のチャンス」と伝えよう
算数の問題を解くとき、間違えることを怖がる子は多いです。しかし、間違いは学びの一部。親が「間違えた=ダメなこと」と捉えず、ポジティブな声かけをすることで、子どもは安心して挑戦できるようになります。
例えば、次のような言葉をかけると効果的です。
- 「間違えたね!どこが違ったのか一緒に考えてみよう!」
- 「ここまで合ってるよ!あと少しで正解だったね!」
- 「たくさん考えたね!間違えたけど、その分覚えられるね!」
こうした声かけによって、「間違い=成長のチャンス」と思えるようになり、算数への苦手意識を減らせます。
「なぜそうなるの?」と問いかけることで論理的思考を鍛える
算数をただ暗記するだけでは、本質的な理解にはつながりません。そこで、子どもに「なぜ?」と問いかけ、考える機会を増やすことが重要です。
例えば、「10から20までの数字はいくつある?」と聞いたとき、子どもが「10個!」と答えたら、次のように聞き返してみましょう。
- 「どうして10個だと思ったの?」
- 「1から10までは何個だった?じゃあ、10から20までは?」
- 「10の次は何?11、12…数えてみよう!」
このように問いかけることで、論理的に考える力を鍛えられます。子どもが自分の答えを説明できるようになると、算数の理解がより深まるでしょう。
日常生活の中で算数を楽しく学ぶ工夫
算数を「勉強」として取り組むだけではなく、日常生活の中で自然に触れる機会を増やすことも大切です。子どもが興味を持ちやすい遊びや日常の場面を活用することで、算数を楽しく学べます。
① 買い物で算数を学ぶ
買い物は、算数の学びにぴったりの場面です。例えば、次のようなやりとりをしてみましょう。
- 「りんごを3個買うと、1個100円だから全部でいくら?」
- 「お釣りはいくらになるかな?」
- 「10個入りのたまご、半分使ったら何個残る?」
実際のお金や商品を使うことで、数の概念がよりリアルに感じられます。
② 料理で分量や計量を学ぶ
料理も算数の学習に役立ちます。
- 「水を200ml量ってみよう!」(単位の学習)
- 「このレシピを2倍の量にすると、砂糖は何グラム?」(かけ算の学習)
- 「4つに分けるにはどうしたらいい?」(分数の学習)
自分で体験することで、数字の意味がより明確になります。
③ ボードゲームやパズルで数に親しむ
ボードゲームや数字を使ったパズルは、遊びながら算数に触れる絶好の機会です。おすすめのゲームとして、以下のようなものがあります。
- すごろく(数を順番に数える)
- トランプの「足し算ゲーム」(神経衰弱のように、足して10になるカードを探す)
- パズルやレゴ(図形の認識や空間把握能力を養う)
こうした遊びを取り入れることで、子どもは自然と算数に親しむことができます。
親のサポートで算数学習の土台をしっかり築こう
算数が得意な子どもは、必ずしも特別な才能を持っているわけではありません。親の関わり方次第で、算数を好きになり、論理的思考力を伸ばすことができます。
- 「間違えてもOK!」と伝え、挑戦する意欲を育てる
- 「なぜ?」と問いかけ、子ども自身が考える習慣をつける
- 日常生活の中で、遊びながら算数を学べる機会を増やす
このように、家庭でのサポートを工夫することで、子どもは算数に自信を持ち、楽しみながら学習を進められるようになります。
算数は、論理的思考の土台を作る大切な科目。親が積極的に関わることで、子どもは自然と算数に親しみ、学ぶことが楽しくなるでしょう。