座標軸の先にある矢印は未来に向かって伸びている

 

座標軸の先にある矢印は未来に向かって伸びている

中学の地理で生徒が最初に学ぶのは緯度と経度です。

なぜ、英国が経度0度なのか、というように問うことは非常に重要です。

歴史の学習が進むにつれて明らかになります。

「あなたは今、地球上のどこに位置していますか」と聞かれたら、「緯度と経度」と答えればすぐにわかります。

しかし、人類がこれを達成するためには、多くの努力が必要でした。

緯度は、北極星の位置から簡単に求めることができます。

北極星は、地球の自転軸をほぼ延長したもの、つまり、北極点のほぼ真北に位置しています。

だから、北極星の見える角度(仰角)が緯度になるわけです。

したがって、緯度は、農業のために天文学が栄えた太古の昔から、人間によってすぐに使用されてきました。

古代ギリシャのエラトステネスは子午線の長さも測定したほどです。

しかし、これに対し、経度を決定することは非常に困難を極めます。

15世紀後半から始まった大航海時代では、経度がわからないために海で多くの犠牲者を出した英国が「経度を測定する信頼できる方法」に対して懸賞金をかけたほどです。

木星の衛星や月の動きを利用するなど、さまざまな試行錯誤を経て、ようやくグリニッジ子午線に基づく方法が世界中に広まり、17世紀から18世紀にかけて確立されました。

この決定打は、点の位置を表すための数の組、つまり「座標」というものでした。

2つの数で平面上の位置を表す座標は17世紀のフランス哲学者デカルトが発明しました。

x軸とy軸といった座標軸については中1で習いますね。

自分の位置を正確に把握し、表現する(数学は世界共通です)までに、人類はこれほどまでに時間がかかったのです。

その努力の結晶を教科書わずか2ページでさらっと習ってしまうのもどうなの?と思ってしまいますね。

「デカルトの座標」も、この座標概念のおかげでその後の数学が飛躍的に発展し、今、私たちがスマホの画面を指でなぞる、その内部で使われているのです。(座標の計算処理をコンピュータがしています。)

この偉大なる「座標軸」を中1数学の教科書でいきなり、「x軸・y軸の座標は(−2 , 5)などと書きます」なんて、作業の手順のようなもので終わってしまうのもどうなの?とまた、思ってしまうわけです。

このx軸・y軸は自らの位置を表してくれますが、今、学んでいる途中にいる子どもたちは、自分独自のx軸とy軸を作っていく過程になります。

つまり、原点をどこに置こうかはいろんなことを学ばないと決められません。

そして、将来までのびたx軸・y軸を想像してほしいと思います。

「今の自分たちはどこの点にいるのか」

自分が「どこにいるのか」が無自覚なのは残念です。

学んでいる意味が半減します。

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