岡山朝日高校 学力検査 自校作成問題【数学】 平成16年度(2004年度)入試 大問3 解説
【岡山朝日高校過去問解説シリーズ】
今回は、2004年(平成16年)岡山朝日高校入試の数学大問3の解説です。
問題は岡山朝日高校公式HPからダウンロードしてください。
あくまで【解説】なので、どのような思考・手順で解けばよいのかに重点を置いています。
まずは時間を測りながら、自力で解いてみて、その後に読むようにしてください。
途中式や計算、証明問題などで簡単なところは省略している場合があります。
記述問題の解答は、岡山朝日高校公式HPにある解答例を参考にしてください。
問題の難易度を★の数で表しています。★1~2個の問題は必ず解けるように。
目安時間以内に解ければ、制限時間45分以内に完答できるでしょう。
大問3【目安時間:13分】
①★平面図形(円の半径、角度)【目安時間:3分】
平面図形の問題です。
(ア)★円Oの半径
△ABCは円Oに内接する三角形で、斜辺ABが円Oの直径にあたるので、直角三角形となります。
※ この知識はよく使います。
∠BAC=30°より直角三角形の辺の比【1:2:\sqrt{ 3 }】を利用して
$AB=\frac{2}{\sqrt{ 3 }}AC$
$=\frac{2×3}{\sqrt{ 3 }}=2\sqrt{ 3 }$
ここでちょっとした計算の工夫をしています。
$\frac{6}{\sqrt{ 3 }}$として有理化をするのも方法としてありますが、手間がかかります。
あえて【2×3】としているのは、$3=\sqrt{ 3 }×\sqrt{ 3 }$なので、
$\frac{3}{\sqrt{ 3 }}=\sqrt{ 3 }$と約分ができるからです。
ABは円Oの直径なので、円Oの半径は半分の$\sqrt{ 3 }$ ・・・(答)
(イ)★円周角の定理
∠BOCは円Oの弧BCに対する中心角です。
同じ弧に対する円周角は∠BAC=30°なので、
円周角の定理
「1つの弧に対する円周角の大きさは、その弧に対する中心核の大きさの半分である。」
より、∠BOC=60° ・・・(答)
これより△OBCは正三角形であることがわかります。
(ウ)★円周角の定理
(イ)と同様にして、∠BO’Cが求められます。
円O’の弧BCに対して∠BO’Cは中心角、∠BOCは円周角の関係になります。
よって、円周角の定理より
∠BO’C=120° ・・・(答)
(エ)★直角三角形の辺の比の利用
点O’からBCに垂線をひき、その交点をHとします。
△O’HCは(ウ)より∠HO’C=60°であることがわかるので、
(ア)と同様にして求められます。
直角三角形の辺の比【1:2:$\sqrt{ 3 }$】を利用して、
$O’C=\frac{2}{\sqrt{ 3 }}HC$となります。
$HC=\frac{1}{2}BC$です。
△OBCは正三角形だからBC=OB=$\sqrt{ 3 }$
よって、$HC=\frac{\sqrt{ 3 }}{2}$
したがって
$O’C=\frac{2}{\sqrt{ 3 }}×\frac{\sqrt{ 3 }}{2}=1$ ・・・(答)
計算の過程を書くなら上記の考え方で良いのですが、
ここでは答えが求められればOKなので、より早く解くやり方も紹介します。
【1:2:$\sqrt{ 3 }$】の辺の比で、比が【2】にあたる辺から【$\sqrt{ 3 }$】にあたる辺の比を求める場合、あるいはその逆の場合は、計算が面倒に感じる人もいるでしょう。
比例式を使ってa:b=c:dのように解く人もいるでしょうが、これはおススメしません。
【2】(【$\sqrt{ 3 }$】)の辺の長さから、一旦【1】の辺を求めてから、【$\sqrt{ 3 }$】(【2】)を求めるようにすると、暗算でも求められます。
(エ)の問題を例にしてやってみましょう。
HCはO’Hの$\sqrt{ 3 }$倍です。
ということは、O’H=$\frac{1}{2}$となり、O’CはO’Hの2倍なので、1
この考え方は結構便利なのでやってみてください。
※ これはテクニックのように思われますが、大したことではありません。
基礎をきちんと理解して、問題を解いていく中で気づくようなことです。
②★★証明問題【目安時間:4分】
基本的には模範解答を参考にすればよいと思います。
別解としては
三角形の内角と外角の性質
「三角形の1つの外角は、それと隣り合わない2つの内角の和に等しい。」より
∠BPC=∠PQC+∠PCQだから
∠PCQ=60°-30°=30°
このように求めてもよいでしょう。
証明問題の解答としては時短につながりませんが、角度を求めるだけなら早いです。
③★★【目安時間:5分】
(オ)★★直角三角形の辺の比の利用
△PCQは常に30°、30°、120°の二等辺三角形なので、(エ)の解法と同様に考えます。
点PからCQに垂線をひいて、その交点をRとすると、
直角三角形PQRの辺の比は【1:2:$\sqrt{ 3 }$】となるので、
$QR=\frac{\sqrt{ 3 }}{2}x$
よって、$CQ=\sqrt{ 3 }x$ ・・・(答)
(カ)★★$x$の値
PQの長さが最大のとき、CQの長さも最大です。
CQが最大となるのは円Oの直径となるときです。
$CQ=\sqrt{ 3 }x$で、円Oの直径は$2\sqrt{ 3 }$だから、
$\sqrt{ 3 }x=2\sqrt{ 3 }$
$x=2$ ・・・(答)
【別解】
△QCBは斜辺が円Oの直径となる直角三角形であり、△ABCと合同な図形であるから、
QB=3
△BPCも円O’に内接する直角三角形になるからPCは円O’の直径になる。
よってPC=2、BC=$\sqrt{ 3 }$より(【1:2:$\sqrt{ 3 }$】)
BP=1
$x=PQ=QB-BP=3-1=2$ ・・・(答)
(キ)★★面積
求める面積をSとします。
円O’の面積は$π$
Sは円O’の扇形OO’Pと△OO’Cの和で求められます。
扇形の中心角は60°
これはPB//OO’より錯角であり、OO’//ACより同位角であり、∠HO’Cの対頂角でもあるので、どれを使っても求められます。
$S=\frac{π}{6}+\frac{1}{2}×1×\frac{\sqrt{ 3 }}{2}$
$=\frac{π}{6}+\frac{\sqrt{ 3 }}{4}$ ・・・(答)
このように前の問題の答えを利用するような場合は、初めの方で答えを間違えてしまうと連鎖的に間違えるということになります。
一歩間違えれば大問のほとんどが不正解ということになりますので、計算ミスだけはしないようにしましょう。
以上、2004年度(平成16年度)岡山朝日高校入試の数学大問3の解説でした。
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