子どもにご褒美はあり?なし?やる気を引き出すご褒美制

 

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褒美制度

「ご褒美制」とは

子どものモチベーションアップの手段として、何かをすると褒美を与えるというルールがある家庭があるそうです。

例えば、

・テストで〇点とったらゲームを買ってもらえる。

・〇〇ができたら、お菓子をあげる。

などです。

なぜ、そのようなルールが生まれるのでしょう。

子どもは親の言う通りには動かないものです。

叱るよりも手っ取り早く言うことを聞かせられるのが、「ご褒美制」です。

ご褒美制のデメリット

ご褒美に関しては、いまも見解が分かれています。

スター大学の心理学者がある実験を行いました。

2つのグループの内、あるグループにはパズルが解けるたびに報酬を約束し、もう一つのグループには、何も約束しませんでした。

すると、報酬を約束されたグループは、報酬がないときにはパズルにあまり触れなくなってしまいました。

ご褒美を与えることで、脳がパズルを「ご褒美がもらえる労役」と認識して、モチベーションが下がってしまったのです。

また、ハーバード大学の経済学者は、「テストで良い点を取ればご褒美をあげる」という場合と、「本を1冊読むたびにご褒美をあげる」といった場合、どちらが子どもの学力が上がるかの実験を行いました。

その結果、成績がよくなったのは、本を読んだらご褒美をもらえると言われた子どもたちでした。

褒めるときもそうですが、ご褒美はパズルが解けるとかテストで良い点を取るといった「結果」ではなく、本を読むなどの「努力」に対して与えれば効果があるといえそうです。

ご褒美制は、ご褒美のあげ方によって、大きなデメリットを生み出すことを知っておく必要があります。

勉強の面白さや価値に興味がなくなり、お金や物をもらうことが目的となってしまえば、当然、知的好奇心など芽生えません。

勉強を好きになって、自主的に勉強して欲しいのに、その可能性を潰しているのです。

更には、「ご褒美が貰えるものは嫌な事」と感じるようになり、ご褒美が貰えないとわかるとやらなくなったり、以前より悪い状態になったりする可能性があります。

確かに、どのご家庭でも、幼児期にご褒美を与えることはあると思います。

しかし、間違ったご褒美の上げ方をすれば、その子には褒美が貰えるのが当たり前になってしまい、褒美がないとモチベーションが下がるということになるのです。

ご褒美をもらうためにテストで点数を取りたい、だから頑張る、という価値観にさせないことが大事です。

うまくご褒美をあげるにはどうすればいい?

ここまででもうおわかりだと思いますが、「結果」ではなく「努力」にあげましょう。

例えば、「音読が3回終わったら」「縄跳びの練習を15分頑張ったら」といった努力に対してご褒美をあげます。

逆に、「100点取ったら」「塾のクラスがアップしたら」「ピアノを間違えずに弾けたら」といった結果は、ご褒美の対象にはしません。

結果へのご褒美だと、その結果が出ない限りなかなかもらえません。

でも、努力へのご褒美は、やるべきことをきちんとすれば確実にもらえます。

先々の結果ではなく、今この努力をしたらご褒美をあげると明確にすることで、道筋がわかりやすくなり、やる気がアップして頑張れます。

それから、ご褒美に何をあげるかについてですが、シカゴ大学の社会経済学者らの実験によると、お金よりもメダルやトロフィーのようなものの方がやる気を刺激することがわかりました。

メダルやトロフィーは100円ショップでも手に入りますし、ネットから賞状を無料で作成できるテンプレートもあります。

文具店などで売っているご褒美シールでも子どもは喜びます。

(幼児クラスでも、このご褒美シールをあげています)

ハーバード大学の調査では、ご褒美にお金をもらった子どもたちは、お金を無駄遣いせず、きちんと貯蓄をするなど、堅実なお金の使い方をしていました。

お金をあげる場合は、ご褒美と一緒に貯蓄用の銀行口座を作ったり、家計簿をつけさせるなどの「金融教育」をおこなうことで、お金に関する正しい知識を与えれば、悪くはないでしょう。

安易に近道を選ばず、一つ一つの積み重ねが大切

子どもが言うことを聞かないとなると、親のフラストレーションが溜まります。

それを解消する近道の一つとしてご褒美を与えて目的を達成しようとするのですが、結果的にそれが間違った近道となるのです。

今の行動は果たして正しいのかどうか、自分は子どもに何を望んでいるのか、事ある毎に思い出してください。

できないことができるようになりたいからがんばる、という価値観で生きて欲しいのではないでしょうか。

勉強自体の面白さを味わい、楽しめるようになって、自分ができるようになったことを素直に喜べる子であって欲しいのではないでしょうか。

モチベーションを上げる方法はいくらでもあります。

勉強の面白さを味わえるようにしてあげればよいのです。

ちょっとした頑張りや成長をしっかりと褒めてあげればよいのです。

そして、できるようになったら、一緒に喜んであげればよいのです。

ご褒美を最優先に求める価値観では、真の幸せは味わえません。

それは、いつも他者からの評価ばかりを当てにする行き方です。

いつも誰かに喜びを与えてもらうのを待つ生き方です。

でも、何事においても、他人には本当の評価はできないものです。

自分がどれだけがんばってできるようになったのか、それを知るのは自分だけです。

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