スマホやゲームは子どもの学習にどう影響する?依存を防ぐ対策とは

スマホやゲームが子どもの学習に与える影響について、不安を感じる親も多いのではないでしょうか?
特に、ゲーム依存は近年深刻な問題となっており、世界保健機関(WHO)は「ゲーム障害」を病気として認定しています。
「子どもがゲームをやめられない」「スマホばかり見ていて勉強しない」そんな悩みを抱える家庭も増えています。本記事では、スマホやゲームが学習に与える影響と、依存を防ぐための対策を詳しく解説します。
ゲーム依存とは?WHOが病気と認定

ゲーム依存とは何か?
2019年、WHO(世界保健機関)が「ゲーム障害(ゲーム依存)」を正式に病気として認定しました。
これは、ゲームをやめたくてもやめられず、生活や学習に支障をきたす状態を指します。特に、子どものゲーム依存が深刻化すると、学習意欲の低下や睡眠不足、コミュニケーション能力の低下につながることが懸念されています。
ゲーム依存の特徴として、以下のような症状が見られます。
- 「やめよう」と思ってもやめられない
- ゲームをしていないと落ち着かない、イライラする
- 勉強や生活よりもゲームを優先してしまう
- 夜遅くまでゲームを続け、睡眠不足になる
特に、スマホゲームは手軽にプレイできるため、依存しやすい傾向があります。こうした状況を防ぐために、子どもがゲームにどれだけの時間を使っているのかを把握し、適切なルールを設けることが重要です。
スマホやゲームが学習に与える影響

1. 集中力の低下
スマホやゲームの画面は、一見静止しているように見えても、実際は高速でピクセルが明滅しています。
このような常に変化する映像を長時間見続けると、脳が過剰に刺激され、集中力が低下します。
また、ゲームでは「達成感」をすぐに得られるため、勉強のように長時間かけて成果を出す活動への忍耐力が低下しやすくなります。
2. 睡眠不足のリスク
スマホやゲームの長時間使用は、睡眠の質を低下させ、学習効率を下げることが分かっています。
特に、ブルーライトがメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を抑制し、寝つきを悪くすることが知られています。
睡眠不足が続くと、以下のような影響が出る可能性があります。
- 記憶力の低下(学んだことが定着しにくくなる)
- 朝起きられず、学校の授業に集中できなくなる
- イライラしやすくなり、親子関係が悪化する
3. コミュニケーション能力の低下
子どもにとって、友達と直接会って遊ぶことは、社会性を育む大切な機会です。
しかし、ゲームやスマホに夢中になると、リアルな人間関係の構築が難しくなる可能性があります。特に、小学生の時期は「くすぐり合う」「ふざけ合う」などの直接的な触れ合いが、他者との関係性を築くうえで重要です。
「友達と遊ぶ」といっても、オンラインゲーム上でのやり取りだけでは不十分です。リアルな対面での交流を増やすことが、子どものコミュニケーション能力を育むうえで欠かせません。
4. 脳の発達に影響を与える可能性
ある調査では、中学入学時にスマホを与えた子どもの脳の発達が小6レベルで止まるという結果が報告されています。
これは、スマホの使いすぎによって、考える力や想像力を育む機会が減ることが原因と考えられています。
また、スマホやゲームの使用時間が長い子どもほど、学習時に「深く考える力」が弱くなる傾向があるともいわれています。
5. 学習習慣の崩壊
スマホやゲームに時間を費やしすぎると、学習習慣が崩れやすくなります。
例えば、以下のような状況が起こりがちです。
- 「あと1回だけ」と言って、ゲームを続け、宿題が後回しになる
- ゲームに夢中になり、時間の管理ができなくなる
- ゲーム後に疲れを感じ、集中力が続かない
特に、小学生のうちは勉強の習慣をつける大事な時期です。ゲームに使う時間が長くなると、勉強の優先順位が下がり、学習時間が短くなる可能性があります。
その結果、「勉強しなさい!」と親が言っても、子どもがやる気を出せなくなり、学習習慣が崩れてしまうのです。
6. 依存症になりやすい子どもの特徴
ゲームやスマホに依存しやすい子どもには、以下のような特徴があります。
- 飽きっぽく、コツコツ勉強するのが苦手
- 他の楽しみが少なく、ゲームが唯一の趣味になっている
- 親が厳しすぎる or 逆に放任すぎる
- ストレスを感じやすく、現実逃避をしがち
特に、「他に楽しいことがない」子どもほど、ゲームやスマホにのめりこみやすいとされています。そのため、学習以外の趣味や遊びを増やすことが、ゲーム依存を防ぐ重要なポイントになります。
こんな調査結果も出ています。
中学入学時にスマホを買い与えると脳の発達が小6で止まる…スマホを毎日使う子を3年間追った衝撃の結果
依存を防ぐために親ができること

1. ルールを決める(使用時間の制限)
スマホやゲームの使用時間を1日1時間までなど、明確にルールを決めましょう。
特に、寝る前の使用は睡眠の質を低下させるため避けるべきです。
【おすすめのルール】
✅ 平日は30分、休日は1時間まで
✅ 食事中はスマホを触らない
✅ 夜9時以降はスマホを使わない
2. 親子でルールを決める
子どもがルールを守りやすくするには、親が一方的に決めるのではなく、子どもと話し合いながら決めることが大切です。
「宿題が終わったら30分まで」など、納得しやすい形でルールを作ると、子どもも自発的に守りやすくなります。
3. ゲームやスマホ以外の楽しみを増やす
ゲームやスマホばかりになるのを防ぐためには、リアルな体験を増やすことが重要です。
- スポーツや習い事に参加する
- 家族で外出する時間を増やす
- 友達と外遊びの機会を作る
スマホやゲーム以外の楽しみを見つけることで、自然と依存を防ぐことができます。
4. 「ダラダラ使い」を防ぐ工夫をする
スマホやゲームは、つい時間を忘れて続けてしまうことが問題です。
そのため、使いすぎを防ぐための工夫を取り入れましょう。
- タイマーで時間を管理する
- アプリの利用時間制限を設定する
- 「次の予定」を決めておく(「◯時から夕食だから、ゲームはここで終わり」など)
このようにメリハリをつけて使う習慣を作ることで、依存を防ぐことができます。
5. スマホ・ゲームの時間を記録する
子どもに「スマホやゲームをやりすぎているよ」と注意しても、本人は気づいていないことが多いです。そこで、実際にどれくらいの時間を使っているのかを可視化するのが効果的です。
- スマホの「スクリーンタイム」機能を利用し、使用時間を記録
- 1週間分のゲーム・スマホ利用時間を紙に書き出してみる
- どの時間にどんな用途で使っているかを整理
こうすることで、親子でスマホの使い方を振り返ることができます。「意外と長く使っている」と気づけば、自発的に使用時間を減らすきっかけになるでしょう。
6. スマホを使わない時間を決める
スマホやゲームの使用時間を1日〇分までと決めても、ダラダラと続けてしまうことがあります。そこで、「スマホを使わない時間帯」を決めるのもおすすめです。
例:
✅ 食事中はスマホを触らない
✅ 夜9時以降はスマホ禁止
✅ 学校の宿題が終わるまではゲームをしない
スマホを使わない時間を決めることで、学習時間の確保がしやすくなります。
7. スマホ・ゲーム以外の「ごほうび」を用意する
子どもがゲームやスマホを使いたがるのは、「楽しいから」「達成感があるから」です。そのため、勉強を頑張った後のごほうびがゲームだけになると、ますます依存が強くなる可能性があります。
そこで、ゲーム以外のごほうびを取り入れましょう。
- 好きな本を買ってあげる
- 親子で外出する時間を増やす
- 一緒に好きな料理を作る
こうした「リアルな体験」を増やすことで、ゲームやスマホ以外の楽しみを見つけやすくなります。
8. 親自身がスマホを使う時間を見直す
子どもに「スマホをやめなさい!」と言いながら、親がスマホをずっと触っていたら、説得力がありません。
親がスマホを使う時間を減らし、家族全員で「スマホを使わない時間」を作るのも効果的です。
- 夕食時は親もスマホを触らない
- 寝る前1時間は家族全員でスマホを使わない
- 休日はスマホをオフにして、家族で過ごす時間を増やす
親子でスマホの使い方を見直すことで、自然とスマホ依存を防ぐ環境が整います。
まとめ
スマホやゲームは、適切に使えば便利なツールですが、使いすぎると学習や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、WHOが「ゲーム障害」を病気として認定したように、依存症のリスクがあることも忘れてはいけません。
大切なのは、スマホやゲームを禁止するのではなく、親子でルールを決め、適切にコントロールすることです。
✅ 学習時間とスマホ時間のバランスをとる
✅ 親子でルールを決め、守る習慣をつける
✅ スマホ以外の楽しみを増やし、依存を防ぐ
✅ 親もスマホの使い方を見直し、見本を示す
このような工夫を取り入れることで、子どもがスマホやゲームと上手に付き合いながら、学習習慣を身につけることができます。
親子で話し合いながら、学習と娯楽のバランスを保つ習慣を作っていきましょう。