試行力と思考力のバランス
1. 脳科学と認知心理学の理解
日々の生活で脳科学という言葉を耳にすることが多いかもしれません。
この学問は、まるでコンピュータのハードウェアを研究するようなもの。
つまり、私たちの頭脳をより効率的に使う方法を探求しています。
脳を活性化させることで、記憶力を高めたり、思考能力を向上させたりするのです。
これは、コンピュータのCPUの処理速度を上げるとか、ハードディスクの容量を大きくするのと似ています。
2. 知識の活用:認知心理学の視点
しかし、脳科学のみに注目すると、大切な側面を見逃してしまいます。
どんなに高性能のコンピュータを買っても、あるいはハードディスクを大きなものに替え、CPUまで入れ替えたとしても、中に入っているソフトが冴えないのでは話になりません。
それどころか、ソフトが入っていなければ、ただの機械にすぎません。
それが認知心理学です。
この学問は、まるでコンピュータのソフトウェアのように、私たちの知能や認知の仕組みを研究します。
問題解決能力や、新しい状況に対応する能力が、この学問の重要な焦点なのです。
コンピュータにしても、いろいろなソフトが入っていれば、いろいろな問題に対応できます。
辞書ソフトが入っていれば辞書機能が使えるし、翻訳ソフトが入っていれば翻訳もできます。
色々なソフトを入れるに従って、様々なことができるようになります。
3. 記憶力と推論能力の重要性
知識は確かに考える材料として大切ですが、それをどのように使うかがもっと重要。
記憶力は知識を増やすツールとして役立ちますが、知識をひけらかすだけでは、クイズ番組に強くなれたり、話のネタが豊富な人として人気を得たり、異性にもてたりするかもしれませんが、仕事ができる人間になる、つまりサバイバルという観点では不十分です。
知識の記憶だけであれば、AIの方が優れているのです。
私たちが本当に必要とするのは、持っている知識を上手に活用し、問題に応じた適切な解決策を見つけ出す能力です。
そこで、自分のもっている知識を頭の中で加工して、その場、その場で仕事に適したソリューションを出すことができる推論能力や思考能力が重要だとされるわけですが、現代社会では、頭の中だけで考えることには限界があると思います。
4. 実験と試行の価値
私たちの生活の多くは、実験の連続です。
コンビニでは、試してみて、これはダメだという話になると、すぐに店頭から引き揚げるそうです。
こういうことを常にやっていると、結局、コンビニには売れる物しか置いていないという状況を作ることができます。
試してみて、生き残ったものだけを売っているからです。
もちろん、それでも飽きられるでしょうから、売れなくなることもあるかもしれません。
そうすると、次の商品が試されます。
どこの場所に置いたら、一番売れるか、も試すことでわかります。
理屈ではこうなるはず、頭で考えたことではこうなるはずと、どんなに頭がいい人や、どんなに権威がある人が言ったところで、その通りにならないのが、今の世の中です。
コンビニで新商品が試されるように、私たちも新しいことに挑戦し、何がうまくいくかを試してみる必要があります。
失敗を恐れずに、新しいことに挑戦することで、私たちは成長し、進化できるのです。
5. 「試行力」の大切さ
このような考え方を、「試行力」と呼びます。
考えるだけでなく、実際に行動に移し、答えを出す能力です。
特に現代の社会では、試行力が非常に重要。
いいか悪いかあれこれ言う人がいますが、やってみなければわからないことがあるのは確かなことです。
ただし、この発想の場合、やってみてダメなら元に戻すという潔さも必要でしょう。
しかし、やってみることで、結果は出ます。
ダメならやめればいいだけの話です。
大切なのは、失敗を織り込み済みにして、その後のフォローができたり、一度やった失敗を二度やらないとか、失敗することで勉強になったと思えることです。
新しい挑戦には失敗が伴うかもしれませんが、その経験が私たちをより強くし、次に生かされるのです。
6. 実験的な考え方を持つ真の理系人間
真の理系人間は、いつも実験的なアプローチを取ります。
ただ理論に従うのではなく、自ら試してみて、その結果を見極める。
ニュートンを疑い、いろいろな実験を重ねなければアインシュタインは現れない。
誰の説かどうかより、試す価値があるかどうかで判断できなければ、サバイバルなどおぼつかないのです。
このような姿勢が、私たちを新しい発見へと導きます。
まとめ:母親としての試行力
母親である皆さんにとっても、この「試行力」は特に大切なスキルです。
子育てや家庭生活では、予期せぬ問題に直面することが多々あります。
しかし、新しい方法を試し、失敗から学び、前に進むことで、家庭も子どもたちも、より豊かな未来へと導かれるでしょう。
毎日の挑戦を恐れず、新しい試みを楽しむ心で、子どもたちと共に成長しましょう。