「岡山朝日高校合格への道」
第2回は、岡山朝日独自入試の数学対策について。
ちなみに「岡山朝日高校合格への道」シリーズは他にもあります。
よろしければご覧ください。
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岡山朝日の数学は、数と式、図形、関数、資料の活用に関する基礎的・基本的な概念や原理・法則についての知識や理解力が必要である。
また、数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察し、表現する力をはかるため、各領域から幅広く出題されている。
また、数学のよさを実感できるよう、身近な内容を素材としているのが特徴だ。
ここまでで、難しくて何を言っているかわからない人もいるかもしれない。
簡単に言うと、
「数学の応用問題を出題するけど、見たことあるような問題は出さないからね。大丈夫。基礎的な概念をきちんと理解していて、使いこなせるようになってるなら、解けるはずだから。もしかして、数学は難しいからって、ヤマを張ろうとしてる?それはやめておいた方がいいよ。あ、融合問題もあるからね。」
こんな感じだろうか。
え?傾向がないじゃないかって?
傾向はある。
しかし、出題分野が分かっていても、解けるかどうかは、別。
入試では、大きく分けて5つの力が求められている。
その5つの力とは何か?
基礎基本の徹底と正確な計算力・グラフを利用する力
岡山朝日の計算問題は、必ず工夫を必要とする問題が出題される。
工夫をしないと計算ミスが起こりやすく、時間がかかるような問題のことである。
いくつか工夫の例を挙げると、
- 分配法則を使う。
- 文字式を簡単な形に直してから代入する。
- 乗法公式を利用する。
- 平方根の根号の中の数は、できるだけ小さい自然数にする。
- 交換法則や結合法則を利用する。
など。
これらを十分理解していて、使いこなせるレベルでないといけない。
計算ミスは、起こるべくして起こる。
何が原因で起こっているのかを一つ一つ解明していこう。
関数に関する問題の中には、グラフを利用すると求めやすくなる場合がある。
例えば、変域に関する問題、最大値、最小値を求める問題などだ。
書くことが面倒臭いと感じている人ほど、グラフだけでなく、頭の中でイメージをすることが苦手である。
日頃から書いてイメージする練習をするとよい。
テキスト等で繰り返し練習を行うことで、計算力や応用力を高めていこう。
問題文の正確な把握力
岡山朝日の数学では、必ずと言っていいほど、大題2で、方程式を利用する長い問題文が出題される。
それを確実に得点源にするには、問題文を正確に読んで立式する力が必要となる。
ちなみに、毎年学校行事に関することが題材になっている。
- 22年度:ボランティア清掃
- 23年度:富士登山
- 24年度:小テスト
- 25年度:文化祭
- 26年度:ボランティア募金
- 27年度:生徒会活動
- 28年度:スキー教室
- 29年度:部活動
- 30年度:文化祭
- 31年度:動物園(この年は例外。学校行事ネタはやめた?)
今年は何がテーマかは分からないし、それを当てたところで、あまり意味はない(^_^;)
さて、ある年の正解率は85.9%だった。
全員満点ではない。
なぜか・・・。
問題文中に「途中の式や計算なども書きなさい。」と書いてあるにも関わらず、必要な事が十分に書けていない人がいるそうだ。
例えば、使用した文字の説明が無ければ減点になる。
自分一人で問題を解いて答え合わせをしていると、はたして正解なのかどうかは、自分の判断で決めることになる。
自分の解答を第三者に見てもらうなどして、どこが間違っているのかを教えてもらい、完答できるようにした方がよい。
導く結論は一つしかないが、正解は一つではない。
「論理的思考を持とう!」と言われても、何をどうしたらよいかわからない場合は、どのような思考過程を経てその結論に至ったのかを、”誰でも理解できるよう、明確に説明できる“ように心掛けながら書こう。
数学の基礎用語を正確に覚え、応用する力
数学の基礎用語とは
例えば、中1の「資料の活用」では、相対度数、中央値、階級値、最頻値などの用語が登場する。
中2の「一次関数」では、変化の割合、切片などが登場する。
これらの数学用語を基礎用語という。
「正確に覚える」とは?
教科書に書かれている説明の文章を、一字一句、“正確に覚える”という意味ではない。
「素因数分解」の場合:
教科書などには、「自然数を素数だけの積で表すことを,素因数分解するという。」などと書かれているだろう。
この時、あなたは「自然数」「素数」「積」「因数」「因数分解」とは何かを説明できるだろうか?
うまく説明できない場合は、まずそこから理解することだ。
理解できていれば、説明ができるはず。
逆に、説明ができるようになれば、理解できていることになる。
間違っても、「一字一句そのまま文を覚える」ことのないように。
あなたが「素因数分解とは、素数の積で表すことです!」と説明した時に、相手から「素数って何ですか?」と聞かれても、説明できればスバラシイ!
もう一つ、例を挙げよう。
「相対度数」の場合は、教科書などでは「度数分布表で,各階級の度数の,度数の合計に対する割合を,その階級の相対度数という。」と書かれているだろう。
ここで理解をしておかないといけないのは、「度数」「度数分布表」「階級」「相対」「割合」
くらいだろうか。「各」「合計」はわかるだろう。
既に習っていることを曖昧にしていると、新しい用語が出てきたときに、意味が正確に理解できない場合が多い。
基礎用語を応用する力とは?
単に用語を覚えた(説明できる)だけでは、実際の問題では役に立たない。
時々、中学生で理解できていないと感じる言葉がある。
主に小学校で習うことだ。
例えば、「速さ」「割合」「分数」について。
よく、私はこういう質問を中学生たちにする。
「速さって何?」
多くの子は、こう答える。
「道のり÷時間です」
ブー!!
それは、「速さの求め方(公式)」であり、「速さ」の説明になっていない。
でも、ほとんどの中学生が、実際にこう答えるのだ。
サンライズの小学生たちには、絶対にそのようには教えないし、そもそも、「道のり÷時間」で速さが求められるとも、教えない。
「速さ」とは、『単位時間あたりに進む距離』だ。
単位時間とは、何か?
まずはそこからわからない人もいるかもしれない。
時速は、「1時間あたりに進む距離」のことだが、「1時間」というのが単位時間のことである。
(※単位時間は、数字が「1」と決まっている訳ではない。)
ということは、「12kmの道のりを3時間で進んだ時の速さは?」という問題に対しては「1時間でどれだけの距離進んだか?」を考えればよいのだから、自ずと12÷3という式が出てくるはずだ。
「公式」として覚える必要はない。
「分数」はどうだろう?
意味は1つではない。
例えば、「5分の3」の意味を聞くと、多くの中学生はこう答えるだろう。
「3÷5です!」
おいおい・・・。
それは、3÷5の答えが5分の3ということ。
では、この問題を解けるだろうか?
「AはBの5分の3である。A:Bを求めよ。」
数学の苦手な子は、3/5:1=3:5
とやるのだろうが、得意な子は、
A ■■■■■
B ■■■
AはBを5つにわけた3つ分だから、3:5と頭の中で一瞬でイメージをして解いてしまう。
応用する力を身につけるために
応用問題ばかりを解いているだけで、応用力が身に付くわけではない。
まずは、教科書を中心に、基礎基本を固めた学習をしよう!
用語が出てきたら、それを説明できるかどうか、誰かに聞いてもらうのもいい。
応用問題が解けなかった原因として、基礎・基本が曖昧なケースが多い。
何が分かっていないのか、一つ一つ丁寧に分析していこう。
原因が見つかれば、一から勉強し直すつもりで、教科書に戻ってほしい。
時間はかかるが、意味も理解しないまま、大量演習・長時間学習を続けることの方が無駄な時間を過ごすことになる。
関数のグラフを読む力と作図力
関数のグラフを読む力
岡山朝日高校の独自入試数学では、関数と図形の融合問題が出題される。
関数の知識だけでなく、図形の知識も必要になるので、少しでも不安な分野があれば、もう一度復習をしよう。
(一次関数・二次関数・三角形や四角形の性質など)
苦手な人も多いと思うが、与えられた条件は何かを、頭の中だけでなく、書きこむなどして整理するとよい。
作図力について
作図と言われて、あなたが思い浮かべるのは何か?
- 円
- 三角形
- 線分の垂直二等分線
- 角の二等分線
いずれも書けるという人は多いだろう。
しかし、作図の意味まで考えたことはあるだろうか?
なぜ、その作図の方法で描けるのか。
証明までできるようにしておくべきだ。
これを応用すると、例えば「3点を通る円の中心」なども作図できるようになる。
(円の性質等を理解している必要があるが)
平面図形の把握力・証明力・応用力
平面図形の把握力
図形問題が苦手な人は多いだろう。
その原因の多くは、問題で与えられた条件は何かが、掴めていないことにある。
図形に与えられた条件を書きこむなどして、「何がわかっていて、何を求めればよいのか」を整理するようにしよう。
平面図形の証明力
証明問題は配点が大きいので、何を書いてよいのかさっぱり分からない子は、空欄で終わる場合がある。
入試でそれをやってはいけない。
証明問題は、仮定と結論だけでなく、途中もできるだけきちんと書くようにしよう。
特に、理由・根拠は必ず書くこと。
必ずしも模範解答通りにならなくてもよい。
要は、根拠がはっきり書かれていて、結論を導く過程が合っていれば正解なのだ。
平面図形の応用力
角度や長さを求める問題は、応用力が必要な問題が多い。
あまり見たことがない問題もあるかもしれない。
「見たことがある問題は解けるが、見たことがない問題が解けない」そういう人は、応用力があるとは言えない。
分からないからといって、すぐに解説を見て、理解できた気になっている子もいるだろう。
普段から、粘り強く問題に取り組む習慣を身につけてほしい。
“応用力がある”とは、基本的・基礎的概念がきちんと身についており、それを活用できる力のことだ。
学習した一つ一つの図形の基本を理解し、応用問題のどこで活用すべきかを演習を通じて身につけて欲しい。
以上で、数学編は終了。
岡山朝日の数学は以前に比べて平均点が低い。
2極化しているともいえる。
数学が苦手な人は、今までの勉強の仕方を思い切って変えていかないと、高校入学後も厳しい。
数学力を高めていけばいくほど、基本の大切さが身にしみて分かるだろう。
逃げずに、頑張ってほしい。