岡山朝日高校 学力検査自校作成問題【数学】平成29年度(2017年度)入試問題解説

【岡山県立岡山朝日高等学校過去問解説シリーズ】
今回は、2017年(平成29年)岡山朝日高校入試数学の解説です。
問題は岡山県立岡山朝日高等学校公式HPからダウンロードしてください。
あくまで【解説】なので、解答ではありません。(単位はつけましょう。)
どのような思考・手順で解けばよいのかに重点を置いています。
まずは時間を測りながら、自力で解いてみて、その後に読むようにしてください。
途中式や計算、証明問題などで簡単なところは省略している場合があります。
記述問題の解答は、岡山県立岡山朝日高等学校公式HPにある解答例を参考にしてください。
問題の難易度を★の数で表しています。★1~2個の問題は必ず解けるように。
目安時間以内に解ければ、制限時間45分以内に完答できるでしょう。
※スマートフォンでご覧になると、数式が文字化けしている場合があります。その際は、最下部にて「モバイルバージョンを終了」すると正常に見ることができます。
大問1【目安時間:10分】
①★文字式の利用【目安時間:1分】
2次式の利用の問題です。
一般的には文字式を簡単な式に整理してから代入します。
$x^2-2x-3=(x+1)(x-3)$
$x=2+\sqrt{ 3 }$を代入して
$(\sqrt{ 3 }+3)(\sqrt{ 3 }-1)$
$=\sqrt{ 3 }(\sqrt{ 3 }+1)(\sqrt{ 3 }-1)$ *
$=2\sqrt{ 3 }$ ・・・(答)
*のところで$\sqrt{ 3 }$を因数とする発想があるとよいですね。
②★★球の表面積、指数【目安時間:3分】
球の表面積は$S=4πr^2$
気を付けないといけないのは、単位です。
6400㎞に対して、表面積は㎡です。
$4π(6400000)^2=2^2π(8^2×10^5)^2$
$=2^2×(2^6×2^5×5^5)^2π$
$=2^2×(2^{11}×5^5)^2π$
$=2^{24}×5^{10}π$
よって
$m+n=34$ ・・・(答)
➂★★1次関数【目安時間:2分】
$x$の変域が$0≦x≦b$のとき
$y=-2x+5$の最大値(最も大きい$y$の値)は5($x=0$のとき)
最小値は(最も小さい$y$の値)は$x=b$のときです。
$y=ax-1$のグラフは切片が-1であることから、$y$の変域が一致するとき
$a>0$で最大値は5($x=b$のとき)、最小値は-1($x=0$のとき)だとわかります。
(色んなパターンを考えてみると、上記以外は条件に当てはまらないことがわかります。)
よって$y=-2x+5$に$(b,-1)$を代入して
$-1=-2b+5$
$b=3$ ・・・(答)
$y=ax-1$に$(3,5)$を代入して
$5=3a-1$
$a=2$ ・・・(答)
④★★反比例、変化の割合【目安時間:1分】
「$x$の値が-4から-2まで増加するときの変化の割合が-2」
このことから、グラフは第3象限(座標平面において、$x$も$y$も共に負の値を取る領域)であることがわかります。
「$x$の値が-4から-2まで」・・・第2象限または第3象限
「変化の割合が-2」・・・$x$の値が-4と-2のときのグラフ上の点を結ぶと傾きが負(右下がり)
$x$の増加量は2だから、$y$の増加量は-4
$y=\frac{a}{x}$に-2,-4を代入すると$y$の増加量は$-\frac{a}{4}$
よって$a=16$ ・・・(答)
⑤★平均【目安時間:1分】
平均の問題です。
この問題は、解き方によって随分時間が違うと思います。
面倒で時間がかかるやり方は推奨しません。
以下の考えで解くと大幅に時間短縮できると思います。
ポイントは「平均点の最も大きな場合の値と最も小さな場合の値の差」
これをどのように考えるかですね。
平均点の最も大きな場合とは、それぞれの階級の最大値で考えるときです。
上から順に、20点、19点、16点、13点、10点、7点
逆に平均点の最も小さな場合とは、それぞれの階級の最小値で考えるときだから、
上から順に、20点、17点、14点、11点、8点、0点
ここで人数をかけて点数を合計して20で割って・・・とやると面倒なので、却下。
表にまとめてみます。
最大 | 20 | 19 | 16 | 13 | 10 | 7 |
最小 | 20 | 17 | 14 | 11 | 8 | 0 |
差 | 0 | 2 | 2 | 2 | 2 | 7 |
人数 | 3 | 2 | 5 | 4 | 2 | 4 |
それぞれ、最大と最小の間に差があります。
「最大値の合計と最小値の合計の差」は、【差の合計】と同じです。
差が2の人数は2+5+4+2=13だから
2×13+7×4=54
54÷20=2.7 ・・・(答)
⑥★場合の数、確率【目安時間:1分】
(ア)
5枚のカードから3枚のカードを取り出す場合の数は、
$\frac{5×4×3}{3×2}=10$ ・・・(答)
(イ)
3つの数の積が偶数になるには、少なくとも1つは偶数であればよい。
積が奇数になる場合、すなわち3つとも奇数であるのは1,3,5の1通り。
よって、偶数になるのは10-1=9(通り)だから$\frac{9}{10}$ ・・・(答)
以上、2017年度(平成29年度)岡山朝日高校入試の数学大問1の解説でした。
大問2 ★★方程式の利用【目安時間:3分】
連立方程式でもよいですし、1次方程式でも解けます。
以下は1次方程式を利用した解法です。
入部した1年生の男子の部員数を$x$人とすると、女子の部員数は$(47-x)$人
2年生と3年生を合わせた男子の部員数は
$57×\frac{1}{3}=19$
女子の部員数は
$57-19=38$
部全体では、女子の部員数が男子の部員数より40人多いので
$38+(47-x)=19+x+40$
$x=13$
$y=47-13=34$
よって、1年生の男子の部員数は13人、女子の部員数は34人 ・・・(答)
以上、2017年度(平成29年度)岡山朝日高校入試の数学大問2の解説でした。
大問3 ★★作図【目安時間:3分】
【実際の作図は模範解答を参考にしてください。】
合同条件の1つに
「2組の辺と【その間の】角がそれぞれ等しい」
というのがあります。
ここでは、【その間の】角が等しくなければ合同にはならないことを作図によって証明するということです。
「こんな問題解いたことない!」という声がまた聞こえてきそうです(笑)
岡山朝日の問題で、見たことがないのは当たり前だと思ってください。
さて、△ABCと△ABDを比較すると、ABは共通する辺です。
答えは2通りあります。
① AC=ADの場合 と ② BC=BDの場合 です。
① AC=ADの場合
点Aを中心に半径がACである弧をコンパスで作図します。
この弧上のどこかに点Dがあるはずです。
本来なら△ABCと△ABDが合同になるためには2組の辺の間の角
∠CAB=∠DAB(共通)
でなければなりませんが、ここでは合同にならない場合を考える必要があるので、
∠CBA=∠DBA(共通)
を考えます。
つまり、点Dは半直線BC上にあると考えられるので、
BCを延長して、先ほどの弧との交点(点C以外)が点Dとなります。
どこが点Dであるかわかるように「D」を書き込むのを忘れないようにしましょう。
② BC=BDの場合
①と同様です。
点Bを中心に半径がBCである弧をコンパスで作図します。
1つの等しい角は
∠CAB=∠DAB(共通)
を考えます。
つまり、点Dは半直線AC上にあると考えられるので、
ACを延長して、先ほどの弧との交点(点C以外)が点Dとなります。
以上、2017年度(平成29年度)岡山朝日高校入試の数学大問3の解説でした。
大問4 平面図形【目安時間:13分】
①★円周角の定理【目安時間:2分】
【1】1つの弧に対する円周角の大きさは、その弧に対する中心角の大きさの半分である。
【2】同じ弧に対する円周角の大きさは等しい。
(ア)円周角の定理①より
∠BAC=$\frac{1}{2}$∠BDC=45° ・・・(答)
(イ)円周角の定理①より
∠ADC=2∠ABC=60°
AD=CDより△ADCは正三角形
よってAC=$\sqrt{ 2 }$ ・・・(答)
②★相似の証明【目安時間:3分】
【1】3組の辺の比がすべて等しい。
【2】2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい。
【3】2組の角がそれぞれ等しい。
三角形の相似条件では【3】が最も多く使われています。
△ABCと△EACにおいて
∠ACB=∠ECA(共通)であることはすぐにわかります。
あとはもう一つ角が等しいことが言えればOK。
∠EAC=∠BAC-∠BAE=45°-15°=30°
よって、∠ABC=∠EAC
これで相似条件【3】が使えますね。
➂★★★面積など【目安時間:7分】
計算等にやや時間がかかる問題です。(特に(イ))
(ア)
∠ABD=∠CBD-∠ABC=45°-30°=15°
∠ABD=∠BAEで錯角の関係より
DB//AEということがわかります。
したがって、AE⊥DC
AEとDCの交点をHとすると、△AHCは直角三角形で、
直角三角形の辺の比は【1:2:$\sqrt{ 3 }$】になります。
よって、CH=$\frac{\sqrt{ 2 }}{2}$
$\frac{\sqrt{ 2 }}{2}$=$\frac{1}{\sqrt{ 2 }}$とした方が計算はしやすいでしょう。
△CEHは直角二等辺三角形であるから、
CE=$\frac{1}{\sqrt{ 2 }}×\sqrt{ 2 }$=1 ・・・(答)
(イ)
△ABE=$\frac{1}{2}$×AE×DH
で求められます。
DH=$\frac{1}{\sqrt{ 2 }}$
AE=AH+HE=$\frac{\sqrt{ 6 }}{2}+\frac{\sqrt{ 2 }}{2}$=$\frac{\sqrt{ 6 }+\sqrt{ 2 }}{2}$
よって、△ABEの面積は、
$\frac{1}{2}$×$\frac{\sqrt{ 6 }+\sqrt{ 2 }}{2}$×$\frac{1}{\sqrt{ 2 }}$
=$\frac{\sqrt{ 3 }+1}{4}$ ・・・(答)
計算の工夫がないと時間がかかると思います。
平方根でも約分ができるようにしておきましょう。
(ウ)
どうやって求めたらよいかわからない人もいるかもしれません。
回転してできる図形がイメージできたかどうかがポイントです。
回転すると円になるのはわかっていると思います。
辺AEを点Cを中心に回転させると、半径がCHの円ができます。
半径がBCの円の面積から半径がCHの円の面積を引けば求められます。
点EはBCの中点であるから(中点連結定理、あるいはAEがDCの垂直二等分線より)
BC=2
よって、
$2^2π-(\frac{1}{\sqrt{ 2 }})^2π=\frac{7}{2}π$ ・・・(答)
以上、2017年度(平成29年度)岡山朝日高校入試の数学大問4の解説でした。
大問5 動点【目安時間:15分】
動点に関する問題です。
ある程度パターン化しているので、理解できている(動点の問題が解ける)人にとっては難しくなかったでしょう。
②➂で場合分けがきちんとできるかどうかが大切です。
①★速さ、面積【目安時間:2分】
(ア)
点Qが原点Oから点Cに到達するまでの長さを求めます。
OAは直角三角形の斜辺と考えて、直角三角形の辺の比【3:4:5】を利用します。
OA=5
BC=OAより点Qが原点Oから点Cに到達するまでの長さは
5+1+5=11
よって、
11÷$\frac{11}{2}$=2 ・・・(答)
(イ)
$t=1$のとき、△OPQの底辺OPは3、高さは比を使って$2×\frac{3}{5}=\frac{6}{5}$
よって
$\frac{1}{2}×3×\frac{6}{5}=\frac{9}{5}$ ・・・(答)
②★★★面積【目安時間:6分】
$t$の範囲によって、面積の求め方が変わります。
・点Pが出発してから3秒後まではOP=3tとなり、3秒を超えるとOP=3となります。
・点Qは出発してから$\frac{5}{2}$秒後に点Aに到達し、3秒後に点B、$\frac{11}{2}$秒後に点Cに到達します。
これより、点P,Qが原点Oを出発してから
(1)点Qが点Aに到達するまで
(2)点Pが点Cに、点Qが点Bに到達するまで
(3)点Qが点Cに到達するまで(点Pは点Cで止まったまま)
の3つに場合分けできることがわかります。
(1)$0<t≦\frac{5}{2}$のとき
$S=3t×\frac{3}{5}×2t×\frac{1}{2}$
$=\frac{9}{5}t^2$ ・・・(答)
(2)$\frac{5}{2}<t≦3$のとき
$S=3t×3×\frac{1}{2}$
$=\frac{9}{2}t$ ・・・(答)
(3)$3≦t<\frac{11}{2}$のとき
$S=9×\frac{3}{5}×(11-2t)×\frac{1}{2}$
$=\frac{27}{10}(11-2t)$ ・・・(答)
特に(3)のQCの長さの求め方は理解しておく必要があります。
➂★★★条件を満たす$t$の値【目安時間:5分】
②の式を利用して、$t$の値を求めます。
全て答えになるとは限りません。
それぞれ$t$の範囲内かどうかを確かめる必要があります。
(1)$0<t≦\frac{5}{2}$のとき
$\frac{9}{5}t^2=9$
$t=±\sqrt{ 5 }$
$0<t≦\frac{5}{2}$より$t=\sqrt{ 5 }$
(2)$\frac{5}{2}<t≦3$のとき
$\frac{9}{2}t=9$
$t=2$
これは$\frac{5}{2}<t≦3$に適さない。
(3)$3≦t<\frac{11}{2}$のとき
$\frac{27}{10}(11-2t)=9$
$t=\frac{23}{6}$
これは$3≦t<\frac{11}{2}$を満たす。
(1)~(3)より
$t=\sqrt{ 5 },\frac{23}{6}$ ・・・(答)
以上、2017年度(平成29年度)岡山朝日高校入試の数学大問5の解説でした。
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