岡山朝日高校 学力検査自校作成問題・数学 平成18年度(2006年度)入試 大問1 解説
【岡山県立岡山朝日高等学校過去問解説シリーズ】
今回は、2006年(平成18年)岡山朝日高校入試の数学大問1の解説です。
問題は岡山県立岡山朝日高等学校公式HPからダウンロードしてください。
あくまで【解説】なので、どのような思考・手順で解けばよいのかに重点を置いています。
まずは時間を測りながら、自力で解いてみて、その後に読むようにしてください。
途中式や計算、証明問題などで簡単なところは省略している場合があります。
記述問題の解答は、岡山県立岡山朝日高等学校公式HPにある解答例を参考にしてください。
問題の難易度を★の数で表しています。★1~2個の問題は必ず解けるように。
目安時間以内に解ければ、制限時間45分以内に完答できるでしょう。
大問1【目安時間:6.5分】
①★平方根の計算【目安時間:20秒】
定番の平方根の計算です。
計算を少しでも速く解くために、いくつか計算の工夫ができるとよいでしょう。
例えば、$\sqrt{ 75 }$
簡単な形にするために素因数分解をやっていると時間がかかります。
$5^2$=25の倍数がすぐに出てくるようになると便利です。
25,50,75,100,・・・
75は25×3ですから$5\sqrt{ 3 }$とすぐにできるようになります。
そして、$(\sqrt{ 6 }-\sqrt{ 24 })$の部分についても一工夫。
$\sqrt{ 6 }=\sqrt{ 2 }×\sqrt{ 3 }$と分けて考えられるようになると今回の計算や約分の際に活用できます。
例えば、
$\sqrt{ 2 }×\sqrt{ 6 }=\sqrt{ 12 }=2\sqrt{ 3 }$
といった計算を
$\sqrt{ 2 }×\sqrt{ 2 }\sqrt{ 3 }=2\sqrt{ 3 }$
と考えるのです。
このような考えを使うと、今回の計算問題は、
(与式)=$2×5\sqrt{ 3 }-\sqrt{ 2 }×\sqrt{ 2 }(\sqrt{ 3 }-2\sqrt{ 3 })$
=$10\sqrt{ 3 }-2\sqrt{ 3 }+4\sqrt{ 3 }$
=$12\sqrt{ 3 }$・・・(答)
というふうに解けます。
この通りでなくても良いのですが、12や24といった2桁以上の数の計算に手間取ることなく計算をする工夫はこれからも求められます。
日頃から意識して計算を行いましょう。
②★2次方程式の計算【目安時間:20秒】
2次方程式の計算問題です。
この問題も工夫できましたか?
展開して整理すると時間がかかります。
入試は制限時間があります。
答えが合っていても時間をかけていては最後まで解くことができません。
いくら時間があっても難しくて解けないのは仕方ありませんが、
時間が足りないがために、本当は解ける問題ができなかったということのないようにしたいですね。
問題を見た瞬間、共通因数に気付いたと思います。
$x+3$ですね。
$x+3=A$とおいて考えるとわかりやすいと思います。
$A^2=2A$
$A^2-2A=0$
$A(A-2)=0$
$(x+3)(x+3-2)=0$
$(x+3)(x+1)=0$
$x=-3,-1$
計算に慣れてくれば、上記のように【文字の置き換え】などをしなくても頭の中でできるところは省いてもOKです。
式一つ書くのにも時間がかかりますからね。
③★★1次関数と$y=ax^2$【目安時間:25秒】
関数の融合問題です。
このようにグラフが示されていない問題も簡単なグラフを書いてイメージ化しましょう。
$y=x^2$を描き、切片が$\frac{8}{3}$である1次関数のグラフを描きます。
傾きはわかりませんが、負であることを見落としてはいけません。
右下がりの直線のグラフになりますね。
ここからわからなくなった人もいるでしょう。
$x$の変域が-1≦$x$≦2ですから、
$y=x^2$における$y$の変域が0≦$y$≦4であることがわかります。
※この変域を間違える人も少なくないでしょう。
$y$の変域が等しいということは、
$y=ax+\frac{8}{3}$のグラフでも
-1≦$x$≦2のとき、0≦$y$≦4とならなければいけません。
$y=ax+\frac{8}{3}$で$y=0$となるのは、$x$軸との交点です。
$y=ax+\frac{8}{3}$のグラフは右下がりのグラフなので、
$x$の値が-1から2に増加している間、$y$の値は減少していきます。
つまり、$x=-1$の時$y$は最大となるので4、$x=2$の時$y$は最小となるので0ということがわかります。
よって、$y=ax+\frac{8}{3}$に(2,0)を代入して、
※(-1,4)を代入してもよいが、計算が楽な方を選びましょう。
$a=-\frac{4}{3}$・・・(答)
塾長から一言(サンライズでの授業内の一言より)
この問題を難しいと感じるか、易しいと感じるかは人それぞれです。
2次関数、1次関数、変域等必要な知識について「正しく理解」していれば、問題演習を重ねていく中で活用できるようになります。
ところが多くの場合、それらの知識が曖昧なまま問題を解こうとするので、うまくいかないのです。
応用問題が解けるようになりたいと、そっくりな問題を探して解くとか(パターン暗記型)、
逆に基本からやり直そうと基本問題を解くだけでは知識の活用の練習になっていないので、何も解決しないのです。
※解説が理解できる人は、基本問題をやってもほとんど解けるからです。何を言っているのかよくわからない人は、基本問題からやり直しましょう。
いくらたくさん問題を解いてもうまくいかないのはそのためです。
④★立体図形【目安時間:30秒】
円錐(すい)の体積の問題です。
求め方は、底面積×高さ×$\frac{1}{3}$ですね。
底面は円ですから、その円の半径と円錐の高さが分かれば求められます。
中心角が216°ですから、
$\frac{216}{360}=\frac{3}{5}$となります。
よって底面の円の半径は3ということになります。(※後で説明)
側面の扇形の半径5は円錐の母線になるので、
上の図のようになり、直角三角形の辺の比【3:4:5】から高さは4cmだとわかります。
直角三角形の辺の比
定番の
1:1:$\sqrt{ 2 }$
1:2:$\sqrt{ 3 }$
だけでなく、
3:4:5
5:12:13
も覚えておくと便利です。
よって円錐の体積は、
$3^2π×4×\frac{1}{3}=12π$・・・(答)
直角三角形の辺の比、そして底面の円の半径の求め方を知っておくと、
かなり早く解けることがわかると思います。
底面の円の半径の求め方については、以下を読んでください。
円錐の母線と底面の円の半径の関係について
まず、円錐の展開図で考えます。
母線をR、底面の円の半径をrとします。
扇形というのは、円の一部分です。
中心角が90°であれば、扇形は円の$\frac{1}{4}$になります。
これは、90°が「円の中心角」360°の$\frac{1}{4}$の大きさだからです。
弧の長さも同様です。円周の一部分が弧です。
中心角の大きさを$x$°とすると、弧の長さは円周の$\frac{x}{360}$になります。
よって、弧の長さは$2πR×\frac{x}{360}$と表せます。
また、円錐の展開図では、弧の長さと底面の円の円周は等しいです。
よって、弧の長さは$2πr$とも表せます。
したがって、
$2πR×\frac{x}{360}=2πr$
$\frac{r}{R}=\frac{x}{360}$
この式の両辺は【扇形の円に対する割合】を表しています。
中心角が90°であれば、$R$:$r$=4:1ということになります。
④の円錐の底面の円の半径は、この式を利用して求めたのです。
ちなみに、扇形の面積は、
$πR^2×\frac{r}{R}=πRr$
母線と底面の円の半径からあっという間に解くことができます。
⑤★確率【目安時間:30秒】
確率の問題です。
場合の数を求める際に、樹形図などを使って、全て書き出すのは時間のロスになります。
計算で解けるようになれば随分早く解けるようになります。
まず、5枚のうち2枚をひいて並べる並べ方は、
5×4=20(通り)
そのうち4の倍数であるものは、
12,24,32,52 の4通り。
よって、$\frac{4}{20}=\frac{1}{5}$・・・(答)
⑥★★★平面図形【目安時間:4分】
平面図形の問題です。
このくらいのレベルの問題が、差になってくるのではないかと思います。
ある人にとっては4分もかからないでしょうし、ある人にとっては地獄のように難しくて時間をかけても解けないかもしれません。
★のかずや目安時間はあまり気にしないでください。
4分以内で解ければいいかな~くらいで。
解説を見て、あ~そっか!と思うでしょう。
でも、それに自分で気づけるようにならないといけません。
そのためには条件を一つずつ確認し、分かったことから他にわかることがないのか、
見落としがないかを「よく考えること」です。
考える力などといいますが、普段からよく考える習慣をつけていないといざという時に考えることはできません。
【考える習慣】を身につけて応用問題に果敢にチャレンジしていくこと!
さて、問題の解説です。
与えられた条件からわかるところをドンドン見つけていきましょう。
中心Oと接線を結ぶ半径は、接線と直交(垂直に交わること)します。
よって、
∠OAC=∠OBC=90°
DE//AOより∠EDC=90°
△EDCで∠DEC=60°
DEと円Oの接点をFとすると、
∠OFE=90°
ここまでで、四角形AOFDは正方形であることがわかります。
よって、DF=3
直角三角形の斜辺と他の1辺がそれぞれ等しいので(共通辺、半径)
△OBE≡△OFE
したがって、∠OEF=$\frac{180°-60°}{2}$=60° ←ここに気付けるかどうかがポイント
△OFEで直角三角形の辺の比【1:1:$\sqrt{ 3 }$】を利用して、
EF=$\frac{OF}{\sqrt{ 3 }}=\frac{3}{\sqrt{ 3 }}=\sqrt{ 3 }$
ゆえに
DE=DF+EF=$3+\sqrt{ 3 }$・・・(答)
これが解けないと次の面積も求められません。
五角形AOBED=正方形AOFD+△OFE×2
=$3^2+(\frac{1}{2}×\sqrt{ 3 }×3)×2$
=$9+3\sqrt{ 3 }$ ・・・(答)
図形問題を解く際には、
・与えられた条件を図に書き込む!
・条件から基礎知識を駆使して【よく考えて】突破口を見つける!
以上、2006年度(平成18年度)岡山朝日高校入試の数学大問1の解説でした。
過去問解説記事一覧はこちら↓