偏差値70を保てる子が「最初」に身につけている感覚── 知的好奇心より前に育っているもの

「偏差値70を安定して保てる子は、やはり特別なのではないか」
保護者の方と話していると、こうした言葉を聞くことがあります。
たしかに、成績上位の子どもたちは共通して
- 知的好奇心が強い
- なぜ?を放置しない
- 教科書の外まで調べる
といった姿を見せます。
そのため、多くの教育記事では
「好奇心を育てましょう」
「探究心を伸ばしましょう」
と語られがちです。
しかし、長年子どもたちを見てきて、私は逆だと感じています。
偏差値70を保てる子は、最初から好奇心が強かったわけではありません。
もっと手前に、必ず共通している「感覚」があります。
それは、才能でも性格でもありません。
そして、生まれつき決まるものでもありません。
偏差値70の子に共通する「最初の感覚」
結論から言います。
偏差値70を保てる子が最初に身につけているのは、
知的好奇心ではありません。
彼らが最初に持っているのは、次のような感覚です。
- 途中で分からなくなっても、戻ればいいと思っている
- 答えよりも「理由」が気になる
- 「分からない」状態を放置することに強い違和感がある
これらは、知識でも技術でもありません。
学びに向かうときの“構え方”のような感覚です。
この感覚がある子は、次のような行動を自然に取るようになります。
- 授業中、答えが合っていても理由を確認する
- 問題が解けなかったとき、すぐに別の問題へ逃げない
- 分からなかった箇所を、後から必ず回収しようとする
この段階では、まだ「探究心」と呼べるほどの派手な行動はありません。
ただ、分からないままにしておくことが気持ち悪いだけなのです。
知的好奇心は「原因」ではなく「結果」
ここで、多くの人が勘違いしやすい点があります。
成績上位の子を見ていると、
「この子は好奇心旺盛だから伸びた」
と思ってしまいがちです。
しかし実際には、
好奇心は、後から表に現れてくる“結果”です。
先ほど挙げた感覚を持っている子は、
- 分からない
- 理由が見えない
- 途中で止まった
という状態に耐えられません。
その結果として、
- 調べる
- 聞く
- 試す
- 確かめる
という行動が積み重なります。
これが外から見ると、
「知的好奇心が強い子」
「探究心がある子」
に見えるのです。
つまり、
感覚 → 行動 → 成績
という順番であり、
好奇心はスタート地点ではありません。
この感覚は、いつ・どこで育つのか
では、この「最初の感覚」はどこで育つのでしょうか。
多くの場合、
幼児期〜小学校低学年の家庭環境で形づくられています。
特別な教材や、早期教育は必要ありません。
むしろ、影響が大きいのは次のような日常です。
- 分からないとき、すぐに答えを教えられていないか
- 途中でつまずいたとき、「先に進もう」と流されていないか
- 「正解かどうか」だけで会話が終わっていないか
例えば、こんな場面です。
子どもが「なんでこうなるの?」と聞いたとき、
親がすぐに答えを与えるか、
それとも
「どこまでは分かっている?」
「どこで止まった?」
と一度立ち止まるか。
この小さな積み重ねが、
- 戻って考えることへの抵抗
- 分からない状態への耐性
を大きく左右します。
「教えすぎる家庭」で起きていること
意外に思われるかもしれませんが、
成績が伸び悩む家庭ほど、
よく教えています。
- 分からないと言われたらすぐ説明する
- 途中式を省略して答えを示す
- 時間がもったいないから先に進ませる
これらは、すべて善意です。
しかし、この関わりが続くと、子どもの中に次の感覚が育ちます。
- 分からなかったら、誰かが教えてくれる
- 戻らなくても、正解だけ分かればいい
- 理由は後回しでも困らない
この状態では、
「なぜ?」を解決したがる子には育ちません。
逆に、偏差値70を保てる子の多くは、
- 自分で戻る
- 自分で引っかかった点を探す
- 理由が分かるまで気持ちが落ち着かない
という経験を、幼いころから積み重ねています。
なぜこの感覚があると、成績が落ちにくいのか
この「戻れる感覚」「理由を気にする感覚」は、
学年が上がるほど威力を発揮します。
中学・高校になると、
- 問題文が長くなる
- 情報量が増える
- 一度で理解できない内容が増える
ここで必要になるのは、
頭の良さよりも、
止まった場所に戻れる力です。
偏差値70を保てる子は、
- 分からなくなった箇所を特定できる
- 原因を切り分けられる
- そこから立て直せる
一方、途中で戻る習慣がない子は、
- 全体が分からない
- どこが分からないか分からない
- 勉強量で押し切ろうとする
結果として、
努力のわりに成果が出にくくなります。
「勉強に向かえる子」と「向かえない子」の決定的な違い
ここまでを整理すると、
両者の違いは明確です。
勉強に向かえる子は、
「分からない状態」を問題として捉えます。
勉強に向かえない子は、
「分からない状態」を避けようとします。
この差は、やる気や根性ではありません。
感覚の違いです。
そしてこの感覚は、
後から無理に植え付けることはできません。
だからこそ、
幼児期〜低学年期の関わりが重要なのです。
知的好奇心は、こうして自然に育つ
多くの場合、この段階まで来ると、周囲からは
「知的好奇心が強い子」
「探究心がある子」
と見えるようになります。
しかし実際には、ここで見えている行動は、特別な才能の結果ではありません。
分からないままにしない
途中で止まったら戻る
理由が分からない状態に強い違和感を覚える
こうした感覚が土台にあるため、結果として、
調べる
確かめる
別の方法を試す
といった行動が自然に表に出てきます。
外から見ると「好奇心が強い」「学びを楽しんでいる」ように見えますが、
その正体は、分からない状態を放置しないという、ごく基本的な構えです。
つまり、知的好奇心は最初から備わっているものではなく、
学びに向かう感覚が積み重なった結果として現れるものに過ぎません。
まとめ:最初に育てたいのは「感覚」
偏差値70を保てる子は、
最初から賢かったわけではありません。
最初に育っていたのは、
- 戻れる
- 理由を気にする
- 分からない状態を放置しない
という、学びに向かうための感覚です。
この感覚があるからこそ、
知的好奇心が生まれ、
結果として高い学力につながっていきます。
もし今、
「うちの子は好奇心が弱い」と感じているなら、
見るべきは興味の量ではありません。
分からなかったとき、どう扱われてきたか。
そこに、すべての答えがあります。
よくある質問(FAQ)
偏差値70を保てる子は、生まれつき頭が良いのですか?
いいえ。現場で見ている限り、決定的な違いは「能力」ではありません。
偏差値70前後を安定して保つ子は、分からない状態を放置しない感覚を早い段階で身につけています。この感覚が、学年が上がっても学力を支え続けます。
知的好奇心が強い子と、そうでない子の違いは何ですか?
表面的には「好奇心」に見えますが、本質は別です。
違いは、途中で止まったときに戻れるかどうか、理由が分からないまま進むことに違和感を持てるかどうかです。好奇心は結果として後から見えるものです。
この感覚は、いつまでに身につける必要がありますか?
最も育てやすいのは、幼児期〜小学校低学年です。
この時期に「分からないまま進まない」「理由を確かめる」という経験を積んだ子は、その後の学習で大きく崩れにくくなります。
家庭でこの感覚を育てるには、何をすればよいですか?
特別な教材や先取りは必要ありません。
大切なのは、
・すぐに答えを教えない
・「なぜそう思った?」を言語化させる
・途中で止まっても戻る時間を許す
この3点を日常の学習で崩さないことです。
すでに中学生ですが、今からでも間に合いますか?
間に合わないわけではありませんが、時間はかかります。
なぜなら、これまで「分からなくても進む」経験を積み重ねてきているからです。
そのため、学習量を増やすより先に、学び方そのものを立て直す必要があります。

