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「小学生のうちに何をしておけばいい?」20年間受け続けた質問を、一冊の本にまとめた理由

「小学生のうちに何をておけばいい?」20年間受け続けた質問を一冊の本にまとめた理由

「小学生のうちに、何をしておけばいいですか?」

保護者の方から、この質問を受けない年はありません。塾を始めてから20年以上、ずっとです。実はこの質問、一言で答えるのがとても難しい質問です。今回、その答えを一冊の本にまとめることにしました。この記事では、宣伝の前に、なぜ本を書くことになったのか、その経緯をお話しします。

目次

「小学生のうちに、何をしておけばいいですか?」

面談の席で、この質問はいろいろな形で出てきます。

「計算は公文で先取りした方がいいですか」 「読書をさせた方がいいと聞いたのですが、うちの子は本を読みません」 「英語は早く始めた方が有利ですよね」

どれも、お子さんのことを真剣に考えているからこその質問です。ですが私は、この質問にいつも即答できません。

たとえば、計算がとても速いのに、文章題になると鉛筆が止まる子がいます。逆に、読書が好きなのに、算数の問題文だけは読み飛ばしてしまう子もいます。同じ「小学生」でも、つまずいている場所がまるで違うのです。

以前、こんなことがありました。低学年から計算プリントを毎日欠かさず続けてきたというお母さんが、面談で「あんなにやったのに、文章題ができないんです」と肩を落とされたのです。お子さん本人に問題を解いてもらうと、計算は本当に速い。ただ、問題文を読み終わる前に数字だけ拾って、式を立て始めていました。がんばってきた方向が、その子に合っていなかったのです。

「計算をやらせておけば安心」「読書をさせておけば大丈夫」という答え方は、たしかに答えとしては楽です。でも、目の前の子どもを見ていると、そんなに単純な話ではないと感じます。だから20年以上、この質問のたびに、その子の様子を聞き返しながら、長い時間をかけて話してきました。

上位校に進む子どもたちに共通していたこと

この20年で、学校の教科書も入試制度も何度も変わりました。岡山朝日高校も、岡大附属中も、求められる力は昔とは変わってきています。

それでも、上位校へ進んでいった子どもたちには、共通しているものがありました。

それは、テストの点数ではありません。問題を前にしたときの「動き」です。

初めて見る問題に出会ったとき、すぐに「わからない」と言う子がいます。一方で、まず図を描いてみる子、問題文をもう一度読み直す子がいます。丸つけのあとも同じです。×だけつけて次のページへ進む子と、「どこで間違えたんだろう」と自分の式を眺め直す子。この差は、学校のテストの点数にはなかなか出てきません。小学校のテストは、直前に習ったことがそのまま出るからです。

ここで、多くの方が信じている一般論を一つ崩しておきます。「小学校の成績が良ければ、ひとまず安心」という考え方です。

現場で見てきた実感としては、そうとは言い切れません。小6でテストがほぼ満点だった子が、中2あたりでぴたりと止まってしまうことがあります。習ったことをそのまま覚える力だけで走ってきた子は、中学の内容が抽象的になったところで、初めて壁にぶつかるからです。

逆の例もあります。小5で入塾したある男の子は、当時のテストの点数だけを見れば、正直、平凡でした。ただ、間違えた問題を消しゴムで消さずに、隣に解き直しを書く癖がありました。「消したら、どこで間違えたか分からなくなるから」と本人が言うのです。この子は中学に入ってから伸び続け、最終的に朝日高校へ進みました。

分かれ目になっていたのは、点数そのものではなく、さきほどの「問題を前にしたときの動き」でした。そしてこの動きは、家庭でも見えます。宿題の丸つけのとき、お子さんが×のついた問題をどう扱っているか。そこを一度、眺めてみてください。

ブログだけでは伝えきれなくなった理由

こうした話を、私はこれまでブログで書いてきました。気がつけば、記事の数はかなりの量になっています。

ところがある時、入塾を検討されている保護者の方から、こう言われました。

「ブログ、読んでいます。ただ、どの記事から読めばいいのか分からなくて」

これは正直、こたえました。書きたいことをその都度書いてきた結果、内容が分散してしまっていたのです。計算の話はこの記事、読解の話はあの記事、家庭での声かけはまた別の記事。一つひとつは現場で感じたことを書いたつもりでも、「まず最初に、これだけは読んでほしい」という内容が、一つにまとまっていませんでした。

ブログには、ブログの良さがあります。その時々の生徒の様子や、季節ごとの学習の話を、鮮度のあるうちに書ける。ただ、あとから読む方にとっては、順番がばらばらです。小1の保護者の方と小6の保護者の方では、読むべき順番も違うはずなのに、時系列に並んでいるだけ。これでは、いちばん伝えたいことほど埋もれてしまいます。

冒頭の質問に戻ります。「小学生のうちに、何をしておけばいいですか?」。この質問に、面談の1時間で話すのではなく、順序立てて、最初から最後まで通して答える。そういう形が必要だと思いました。

だから、一冊にまとめることにしました。これが、本を書いた理由です。

この本に書いたこと

書き上げてみて思うのは、これは「勉強法の本」ではない、ということです。

もちろん、家庭学習の進め方には触れています。ただ、それ以上にページを割いたのは、次のような内容です。

一つは、小学生のうちに見ておきたい「動き」の話です。さきほど書いたような、間違えたあとに自分の式を眺め直せるかどうか。そうした様子を、家庭でどこを見れば分かるのか。

もう一つは、家庭での関わり方です。たとえば「宿題やったの?」という声かけ。多くのご家庭で毎日のように交わされている言葉です。ただ、この聞き方を続けていると、子どもにとって勉強は「やったかどうかをチェックされるもの」になっていきます。すると、答えを写してでも「終わらせる」ことが目的になる。塾で答えを丸写ししてくる子の家庭の話を聞くと、たいてい「終わったの?」の確認だけが日課になっています。責めているのではありません。お仕事で忙しい中、それが精一杯という日もありますよね。だからこそ、短い時間でも効く関わり方を、面談でお話ししてきた形のまま書きました。

そして、中学・高校でも伸び続けるための考え方です。小学生の今だけを見るのではなく、朝日高校を受ける中3の姿、その先の高校での姿から逆算して、今の小学生の時間をどう使うか。20年間、小学生から高校生までを続けて見てきたからこそ書けることを入れたつもりです。

こんな方に読んでいただきたい

すべてのご家庭に向けた本ではありません。読んでいただきたいのは、たとえばこんな方です。

朝日高校を視野に入れているご家庭。まだ小学生だけれど、先を見て準備を考えたい方。

小学生の学習について、何から手をつければいいか迷っている保護者の方。「計算?読書?英語?」と情報に振り回されて、少し疲れている方。

そして、目先のテストの点数だけではなく、その先まで伸びる子に育ってほしいと考えている方。

逆に、「手っ取り早く点数を上げる裏ワザ」を探している方には、物足りない本だと思います。そういう内容は書いていません。

おわりに

20年以上、同じ質問を受け続けてきました。その答えを、ようやく一冊の形にできました。

面談では時間の都合で話しきれないことがあります。この本には、その「もう少しお伝えしたかったこと」をまとめています。

もし読んでいただいたあと、お子さんが問題を解いている姿を少し違う目で眺めてもらえたら、それだけでも、この本を書いた意味があったと思っています。

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