「うちの子、算数センスがない?」応用問題が苦手な子の勉強法を徹底改善

「基本はできるのに、数学の応用問題になると途端に解けなくなる…」こんな悩みを抱える保護者の方は多いのではないでしょうか?実は応用問題が解けない理由には共通点があります。この記事では数学が苦手になる原因を明確にし、家庭で実践できる応用力を高める効果的な勉強法を詳しくご紹介します。
数学の応用問題が解けない子に共通する4つの原因

お子さんが算数や数学で応用問題につまずいていると、「うちの子、算数センスがないのかな?」と不安になりますよね。しかし実は、算数センスの問題というよりも、応用問題が解けない子には共通した原因があるのです。ここでは、その原因を4つに絞って詳しくご説明します。
① 基礎概念を「丸暗記」で済ませている
応用問題が苦手な子は、多くの場合、基礎概念を深く理解せずに「丸暗記」で済ませています。例えば、分数の割り算の計算方法を「ひっくり返してかける」とだけ覚えている子は、実際に文章題などで応用的な問題が出てくると、「なぜ割り算をするのか」「なぜ分母と分子をひっくり返すのか」が分からず混乱します。
このような「丸暗記」は短期的には役立ちますが、応用が効かず、少し問題の形が変わると途端に解けなくなってしまうのです。
② 問題文を読む力が不足している
数学の応用問題は、計算能力だけでなく「問題文の読解力」も求められます。文章が長くなると、どこに必要な情報があるのか分からず、途中で混乱してしまう子も多いです。
例えば、「全部で120ページある本を毎日同じページ数ずつ読み、8日で読み終えました。1日に何ページずつ読んだでしょう?」という問題で、「全部」「同じページ数ずつ」「8日」といったキーワードを整理できないと、式を立てることすら難しくなります。
応用問題が苦手な子は、情報整理の方法を知らないまま問題文に触れているため、算数がますます嫌いになってしまいます。
③ 粘り強く考える習慣がない
応用問題は一度見ただけでスラスラ解けるものではなく、試行錯誤しながらじっくり考える力が必要です。しかし、応用問題が苦手な子は「少し考えて解けないとすぐに諦めてしまう」という傾向があります。
例えば、図形の面積を求める問題で、すぐに公式に当てはめられないと、「難しいから分からない」と投げ出してしまいます。その結果、考える力が育たず、「応用問題=難しい」というイメージだけが強くなってしまいます。

④ 基礎練習が圧倒的に不足している
意外に思われるかもしれませんが、応用問題が苦手な子ほど「基礎練習の不足」が目立ちます。応用問題は、実は「基礎問題の積み重ね」でできています。基礎が完璧に身についていれば、応用問題でも基礎を組み合わせることで自然と解けるようになるのです。
しかし、基礎を軽視して「難しい問題を解けば成績が伸びる」と考える子は、基礎があやふやなまま先に進んでしまいます。例えば、小数や分数の基礎的な計算が不安定なまま進むと、少し複雑な応用問題で必ずつまずいてしまいます。
これら4つの原因をしっかりと理解することが、応用問題を解ける子になるための第一歩です。次の項目では、これらの原因を踏まえたうえで、応用力を伸ばすための具体的な学習法についてお伝えしていきます。
応用力を伸ばすカギは「基礎概念の理解」と「自学力」

算数や数学の応用問題が得意になるために必要なのは、難しい問題集をひたすら解くことではありません。実はもっと大切なポイントが2つあります。それは「基礎概念の理解」と「自学力」です。ここでは、なぜこの2つが重要なのか、家庭で具体的にどのようにサポートしていけばよいのかを詳しく解説していきます。
①「基礎概念の理解」がなければ応用は無理
算数や数学が得意な子は、「基礎」をしっかり理解しています。これはただ公式や解き方を覚えているのではなく、「なぜその公式を使うのか」「なぜその解き方が正しいのか」を理解しているという意味です。
例えば、「三角形の面積=底辺×高さ÷2」という公式を覚えるだけでは応用問題には対応できません。しかし、「三角形は四角形の半分だから面積も半分にする」という基本的な概念を理解していれば、図形を分割する問題や複雑な形の面積問題でも、自分なりに考えながら解くことができます。
つまり、応用問題の土台は基礎にあるのです。「基礎を軽視せず、本質的な理解を徹底させること」が、応用力を高めるための最重要ポイントになります。
【家庭でできる工夫】
- 子どもに公式を使わせる前に、「どうしてこの公式が成り立つか、説明できる?」と問いかける。
- 基礎的な問題を繰り返し解きながら、「なぜそうなるのか」を親子で確認する。
このようなコミュニケーションを通じて、「丸暗記」から「本質的な理解」へと切り替える習慣をつけることが重要です。

②「自学力」こそ応用力の土台になる
塾や学校で教えてもらうだけでは、応用問題が得意になることは難しいです。なぜなら、応用問題を解くためには「自分で考える力=自学力」が絶対に必要だからです。
自学力とは、自ら課題を見つけ、その課題に向き合い、工夫しながら解決策を見つける力のことを指します。学校や塾では、先生が答えやヒントをすぐに提示してくれるため、自分でじっくり考える機会が不足してしまいます。
例えば、文章題でうまく解けないときにすぐ解答を見てしまう子は、応用力が育ちにくくなります。一方で、「自分でじっくり問題と向き合い、分からない箇所を明確にして、解決策を探る」習慣がある子は、どんな問題にも対応できる応用力が自然に身についていきます。
【家庭でできる工夫】
- 問題が分からなくてもすぐに答えを見せず、まずは10分間じっくり考える時間を与える。
- 子どもが自分なりの解答を出したら、「どうしてそう考えたの?」と理由を聞き出し、自分の言葉で説明させる。
- 分からなかった問題は、「どこまで分かったか」「どこでつまずいたか」をはっきりさせてから一緒に振り返る。
このような自学の習慣が家庭で身につけば、自然と応用問題にも強くなっていきます。

「基礎概念の理解」と「自学力」の組み合わせが最強
算数や数学の応用力を伸ばすためには、「基礎概念をしっかり理解したうえで、自分の力で考える」という2つの要素が欠かせません。
基礎の理解がないまま自学をしても、間違った方法を覚えてしまう危険性があります。逆に、基礎だけ理解していても自分で考える習慣がなければ、応用力は育ちません。この2つの力をバランスよく育てることが、「応用問題に強くなる」ための最も効果的な方法なのです。
ぜひ家庭でこれらのポイントを意識し、お子さんが自分から積極的に算数・数学に取り組めるようサポートしてあげてください。
数学を暗記で済ませると起きる弊害とその克服法

算数や数学を苦手にしている子の中には、「公式や解き方を暗記して乗り切ろう」とする傾向があります。確かに暗記は一見効率が良いように感じますが、実はこれが「数学嫌い」を生み出す大きな原因の一つになっています。
ここでは、数学を「暗記」で済ませてしまった場合に起きる弊害を紹介するとともに、家庭で実践できる具体的な克服法について解説します。
暗記に頼る勉強の3つの弊害とは?
①「応用がきかない」問題が増える
公式や問題のパターンを暗記するだけの学習法は、教科書通りの基本問題であれば対応可能です。しかし、応用問題になると、覚えたパターンがそのまま出ることは少なく、問題設定や条件が少し変わるだけで対応できなくなります。
たとえば、「速度の問題は”み・は・じ”(道のり=速さ×時間)で解ける」とだけ暗記していると、速さの単位変換や複数の移動手段が混ざった複雑な問題では混乱してしまいます。
②数学が「つまらなくなる」
暗記に偏ると「なぜその公式が成り立つのか」を考えなくなります。その結果、算数や数学が単なる「公式の丸暗記科目」と化し、学習自体が単調で退屈になりがちです。
本来、数学はパズルのように考える楽しさがある教科です。ですが、「覚えるだけの科目」として捉えると、「つまらない」と感じる子が多く、数学への意欲を削ぐ原因になります。
③入試や高度な問題に太刀打ちできない
特に高校受験や中学受験などの入試問題では、単に覚えた公式をそのまま使える問題は少なく、条件や設定が複雑化した応用問題が多く出題されます。
暗記だけで乗り切ってきた子は、こうした問題を見た瞬間に「解き方がわからない」と諦めてしまうことが多く、本来持っている能力を十分に発揮できません。
暗記頼みの勉強を克服するための具体的な方法
暗記中心の勉強から脱却し、算数・数学の本質的な理解を深めるにはどうしたら良いのでしょうか?家庭で取り組める具体的な方法をご紹介します。
①公式や解き方の「理由」を親子で考える
お子さんが公式を使うときに、「なぜこの公式が使えるのか?」を親子で話し合ってみましょう。
例えば、割合の問題で「割合=部分÷全体」という公式を使う場合、「どうして全体で割るのか?」という部分まで踏み込んで理解させることで、問題設定が変わっても対応できるようになります。
こうした「なぜ」を考える習慣は、暗記に頼らず自分で考える力を育てるための第一歩です。
②間違えた問題を丁寧に振り返る習慣をつける
間違えた問題をそのまま放置せず、「なぜ間違えたのか」をじっくり振り返る時間を持ちましょう。
問題を間違えた原因を自分で考えることで、理解の浅かった部分や勘違いしていたポイントが明確になります。その結果、同じミスを防げるだけでなく、「考える習慣」がつき、暗記に頼らない応用力が育ちます。
③「説明させる」ことで理解を深める
お子さんに問題の解き方や考え方を「自分の言葉で説明」させることも効果的です。説明する過程で「なぜそうなるのか」を自分で整理するため、本質的な理解が深まります。
親が「どうしてそう考えたの?」「それはどんな意味?」と質問しながら対話することで、理解不足のまま進めることを防げます。
④実生活に関連付けて考えさせる
数学を日常生活と関連付けることも、暗記から脱却するよい方法です。
たとえば、スーパーの割引計算をさせたり、料理のレシピを2倍にするときに分量を計算させたりすることで、数学が「実際に役立つもの」として理解できるようになります。これにより、数学を「意味のあること」と感じ、暗記に頼らず理解を深めることができます。
暗記に頼った勉強法は短期的には手軽で簡単ですが、長期的な視点で見るとデメリットが多いことがお分かりいただけたと思います。公式や解法の背後にある考え方や概念をしっかり理解することで、数学を楽しみながら学べるようになります。ぜひ家庭で実践してみてください。
家庭で実践できる!数学の応用問題が得意になる学習習慣

算数や数学の応用問題が得意になるには、学校や塾だけでなく「家庭での学習習慣」がとても重要です。実際に数学が得意な子どもたちは、家庭での取り組み方に共通点があります。
ここでは、応用問題を得意にするために家庭で簡単に実践できる効果的な学習習慣を5つご紹介します。ぜひお子さんと一緒に試してみてください。
①「毎日少しずつ」考える時間を作る
応用問題が得意になるためには、「じっくり考える」ことが不可欠です。ただし、「長時間考える」のは子どもにとって負担が大きく、継続が難しいです。そこでおすすめなのが、「毎日少しずつ考える習慣」をつけることです。
例えば、毎日決まった時間(15分~20分)を設定し、その時間内はじっくり考えなければ解けない応用問題を1~2問だけ解かせます。毎日短時間でも集中して考えることで、「考えることに慣れる」習慣が身につきます。
さらに、毎日続けることで子どもの思考力や忍耐力も自然に向上していきます。
②解き方を「自分の言葉で説明させる」
お子さんが問題を解いたら、必ず「どうやって解いたのか」「なぜその解き方を選んだのか」を自分の言葉で説明させましょう。
説明をするということは、「頭の中の知識を整理する」ことにつながります。また、うまく説明できない部分は理解が浅い証拠です。その部分を改めて親子で確認することで、自然と深い理解が得られます。
例えば、図形問題であれば、「なぜその公式を使ったの?」、「この図形をどうやって分割したの?」と具体的に質問して、子どもの説明力を引き出しましょう。
③間違えた問題を「成長ノート」にまとめる
算数・数学の応用問題では、「間違い」が大きな成長のカギになります。そこでおすすめなのが、「成長ノート」です。
子どもが間違えた問題をノートに貼り付け、「どこで間違えたのか」「次はどうすれば解けるのか」をまとめて書かせます。最初は親が一緒にサポートしても良いでしょう。
「成長ノート」を繰り返し見直すことで、自分がよくつまずくポイントを客観的に把握でき、同じ間違いを繰り返すことが少なくなります。
④数学を日常生活と結びつける
数学を「身近なもの」と感じることが、応用問題の理解を深める近道です。家庭でも、買い物や料理など日常生活の中で数学を活用する機会を積極的に作りましょう。
例えば、スーパーで買い物をする際、「今日は20%引きだけど、元の値段はいくらかな?」と問いかけたり、料理のときに「レシピ通りの分量では足りないから、2倍の量にしてみよう」などと提案するのも効果的です。
このように「数学が役に立つ」という実感を持つことで、子どもの算数・数学に対する興味や意欲がぐっと高まります。
⑤家庭で取り組める「応用問題チャレンジの日」を作る
週に1回程度、「応用問題チャレンジの日」を設定し、家族で一緒に問題に挑戦してみましょう。お子さんだけでなく、親も一緒に参加することで、「一人で難しい問題に向き合う孤独感」をなくせます。
また、親子で一緒に問題を解くことで、「考える楽しさ」や「問題を解けたときの喜び」を共有できます。この体験が子どもの自信につながり、算数・数学に対する前向きな気持ちが育ちます。
このように家庭での学習習慣を工夫すれば、算数・数学の応用問題を解ける子になることは難しくありません。お子さんが自ら楽しんで取り組めるよう、ぜひ家庭での学習環境づくりをサポートしてあげてくださいね。