算数で答えが合っているのに、実力がつかない子

計算は速い。テストの点数も悪くない。
それなのに、文章題になると急に手が止まる。
そんな相談を受けることがあります。
答えが合っていれば安心だと思われがちですが、教室で見ていると、合っている中身にはかなり差があります。
この記事では、算数の答えの奥にあるものと、岡山朝日高校のような上位校を見据えたときに差がついてくる部分についてお話しします。
答えが合っているのに、算数の実力がついていない子がいる
例えば、計算テストではいつも高得点を取る子がいます。ドリルも速い。保護者の方も「うちの子は算数が得意です」と話していました。
ところが、少し文章が長い問題を出すと、鉛筆が止まります。
「わからない」とは言いません。
しばらく考えて、それらしい数字を式に並べて、答えを出します。合っていることもあれば、外れていることもあります。
この子に足りないのは、計算力ではありません。
答えにたどり着くまでの筋道です。
テストの丸つけでは、そこは見えません。
答えが合っていると、できているように見える
丸がつくと、親も子どもも安心します。
当然のことです。
ただ、丸の中身を見ると、いくつかの種類があります。
理屈を追って式を立てて合っている子。
パターンを覚えていて、たまたま今回も型にはまって合っている子。
数字を適当に組み合わせて、結果的に正解にたどり着いた子。
3つとも、テストの上では同じ丸です。
教室で個別に「どうしてこの式にしたの」と聞いてみると、この違いがはっきり出ます。
1番目の子はすらすら説明します。
3番目の子は黙ってしまうか、「なんとなく」と答えます。
途中式を書かない子は、考え方が見えにくい
答えだけをぱっと書く子がいます。
頭の中で処理してしまうので、途中式がありません。速く見えますし、本人も「暗算でできる」と得意げです。
ただ、簡単な計算問題ならそれでも困りません。
問題になるのは、条件が2つ、3つと重なる文章題です。
頭の中だけで処理しようとすると、どこかで条件を1つ落とします。
落としたことに、本人も気づきません。
教室で「途中式を書いてみて」と言うと、固まる子がいます。
書けないのではなく、頭の中で何をしたのか、自分でも整理できていないのです。
なぜその式になるのか説明できるか
「この式にしたのは、どうして」
そう聞いたとき、答えられる子と答えられない子がいます。
答えられる子は、
「全部の個数から、配った分を引いたから」
というように、条件と式のつながりを言葉にできます。
答えられない子は、
「そういう問題だから」
「前も似た問題があったから」
というところで止まります。
これは知識の差ではありません。
式を、意味のあるものとして扱っているかどうかの差です。
式は単なる記号の並びではなく、問題の中身を表しているはずです。
でも、そこがつながっていない子は少なくありません。
数字だけを拾って計算していないか
文章題を読まずに、出てきた数字だけを拾って、足したり掛けたりする子がいます。
教室ではよく見る光景です。
例えば、
「1本80円のえんぴつを5本と、1冊120円のノートを3冊買いました」
という問題があったとします。
80と5と120と3を、とりあえず全部かけてみる。
答えが常識的な範囲に収まっていなければ、次は足し算を試す。
そうやって「それらしい数字」にたどり着こうとします。
たまたま合うこともあります。
しかし、それは問題を読んで考えたのではなく、数字合わせをしただけです。
聞き方が少し変わったとたん、通用しなくなります。
図や表を使わない子は、少し複雑になると止まりやすい
割合や速さ、比の問題になると、図や表を描いた方が早いことがあります。
ところが、頭の中だけで済ませようとする子は少なくありません。
例えば、速さの問題で毎回固まっていた子がいました。
式を立てる前に、線分図を描いてもらうようにしたところ、驚くほどすらすら解けるようになりました。
その子に力がなかったわけではありません。
頭の中だけで条件を整理しようとして、途中でこんがらがっていただけです。
図や表は、面倒な作業ではありません。
考えを整理するための道具です。
それを使わずに済ませられる問題のうちは、差が見えません。
複雑になった瞬間に、差が出ます。
パターンで解ける問題と、自分で考える問題は違う
「たくさん問題を解けば、パターンが身につく」
これは間違いではありません。
基本の型を覚えることは、算数の土台として必要です。
ただ、パターンで解けるのは、すでに見たことのある形の問題までです。
少し聞かれ方が変わったり、条件の順番が入れ替わったりすると、パターンに当てはめられなくなります。
「習った問題は解けるのに、初めて見る問題は解けない」
これは、よくある相談です。
パターンを覚えることが悪いのではありません。
パターンだけで止まっていることが問題なのです。
パターンの奥にある考え方まで分かっている子は、聞かれ方が変わっても対応できます。
算数で見たいのは、速さよりも考え方
計算が速いことは、良いことです。
否定するつもりはありません。
ただ、速さだけを見ていると、見落とすものがあります。
同じ問題を、5分で解いた子と、12分かけて解いた子がいました。
5分で解いた子は、途中式もなく、答えだけを書いていました。答えは合っていましたが、聞かれ方を変えた別の問題では、手が止まりました。
12分かけた子は、図を描き、式の意味を確認しながら進んでいました。時間はかかりましたが、応用問題でも崩れませんでした。
速く解けることと、考え方が身についていることは、別の話です。
どちらも大事にしたいところですが、テストの点数や解答時間だけを見ていると、後者が見えにくくなります。
中学以降の数学では、考え方の弱さが出てくる
中学に入ると、文字式や証明の単元が出てきます。
ここで、小学生のうちに数字だけを拾う解き方をしていた子は、つまずくことがあります。
文字式は、数字がなく、条件を式として組み立てる力が問われます。
今まで数字合わせでなんとかなっていた子は、拾う数字がないので、手が出せません。
証明問題も同じです。
「なぜそう言えるのか」を筋道立てて書く必要があります。
途中式を書かずに答えだけ出す習慣がある子は、ここで初めて苦労します。
小学生のうちは、答えが合っていれば目立ちません。
差が表に出るのは、たいてい中学に入ってからです。
岡山朝日高校を目指すなら、算数のうちから考え方を見る
岡山朝日高校のような上位校を目指す場合、答えだけでなく、途中の考え方を見られる場面が増えていきます。
単純な計算問題よりも、条件を整理して、自分の言葉で説明する力が求められる場面が出てきます。
こうした問題では、パターンに当てはめる解き方だけでは通用しません。
初めて見る条件の組み合わせに対して、自分で図を描き、式を立て、根拠を持って答えを出す必要があります。
小学生のうちからこの積み重ねをしている子と、答え合わせだけを繰り返してきた子とでは、上位校を目指す段階での伸び方に差が出てきます。
早いうちに気づけるかどうかが、大きく関わってきます。
答えよりも、そこまでの道筋を見る
算数で見たいのは、答えが合ったかどうかだけではありません。
本当に見たいのは、どこを見て、何を考え、どうやって答えにたどり着いたかです。
計算が速いことも、答えが合っていることも、どちらも良いことです。
ただ、そこで安心してしまうと、途中の考え方が育っているかどうかは見えにくくなります。
式の意味を説明できるか。
図や表を自分から使おうとするか。
聞かれ方が変わっても対応できるか。
そうした部分に目を向けていくことで、中学以降につながる算数の力が、少しずつ見えてきます。

