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比と割合が苦手な子は何から戻る?中学受験につながる基礎の作り方

割合と比

割合の公式は言えるのに、文章題になると式が決まらない。比の問題になると鉛筆が止まる。そんな様子を見て、同じ単元をもう一度やらせるべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。比と割合のつまずきは、公式を覚え足りないせいとは限りません。分数や小数の見方、掛け算と割り算の選び方など、その手前にある考え方がつながっていないことで起きる場合があります。この記事では、中学受験を見据えたときに、どこまで戻って何を確認すればよいのかを整理します。

目次

比と割合が苦手な子に見られるつまずき

まず、どんな様子が出てくるのかを挙げてみます。ただ並べても判断材料になりませんので、それぞれ何が分かっていない可能性があるのかも添えておきます。

たとえば、「比べる量=もとにする量×割合」と口では言えるのに、文章題になるとどの数をどこに入れるか決められない、という場合があります。

これは公式を忘れているのではなく、公式の言葉が問題文のどの数と対応するのかが決まっていない状態です。言葉の並びだけが記憶されていて、問題文とつながっていません。

「何をもとに比べるのか」が変わると混乱する場合もあります。

「AはBの何倍か」と「BはAの何倍か」で答えが変わることに納得できていないと、問題文のどちらを先に読むかで式が入れ替わってしまいます。

掛け算か割り算かを、数字の大小で決めている子もいます。

大きい数と小さい数が出てきたら、とりあえず大きいほうを小さいほうで割る。整数の範囲ではこれで正解できてしまうことがあるため、小数や分数が入ってきた途端に通用しなくなります。

答えが1より大きくなると間違いだと感じるのは、割合は必ず1以下だと思い込んでいるサインです。1.5倍や150%が出てきたときに、計算し直してしまいます。

1/2、0.5、50%の形が変わると別の数のように感じる、単位が変わると関係を見失う、比の一方を1としたときにもう一方がいくつになるかを考えられない、といった様子も出てきます。

どれも、数の表し方が変わっても、二つの量の関係そのものは変わらない、という感覚が持てていない状態です。

ここで分けておきたいのが、計算のミスと、量の関係をつかめていない状態です。

式は合っているのに答えが違うなら、計算や単位換算などの処理に問題がある可能性があります。一方、そもそも式が立たない、あるいは掛け算と割り算が逆になるなら、計算練習を増やすだけでは解決しにくくなります。

量の関係をどこまで捉えられているかを確認する必要があります。

同じ「できない」でも、戻って確かめる場所は異なります。

比と割合はなぜ難しいのか

理由のひとつは、それまでの算数と比べ方が変わることです。

足し算や引き算は「いくつ違うか」を見ています。差で比べる見方です。

ところが割合や比は「何倍か」を見ます。

50円と100円を、50円の差と見るのか、2倍の関係と見るのか。同じ二つの数でも、見方を切り替えることになります。

さらに、どちらを基準にするかで答えが変わります。

50円は100円の0.5倍ですが、100円は50円の2倍です。

同じ二つの量なのに、基準を入れ替えると数が変わる。ここが引き算にはない部分です。

そして割合は、量そのものではありません。

「3割引」の3割は、円でもグラムでもなく、二つの量の関係を表しています。単位のついた数ばかり扱ってきた子にとって、単位のつかない数が意味を持つのは、少しつかみにくい感覚かもしれません。

比と割合は、二つの量の関係を捉えるという点で、とても近い考え方です。

割合は、ある量を基準として、その何倍にあたるかを表します。たとえば、50円を100円と比べれば0.5倍、つまり50%です。一方、比では二つの量の関係を50:100、あるいは1:2のように表します。

表し方や問題での使われ方には違いがありますが、どちらも「二つの量がどのような関係にあるか」を見る点ではつながっています。

そのつながりが見えないまま、割合は割合の公式、比は比の解き方、と別々の手順として覚えてしまうと、覚えることだけが増えていきます。

割合が苦手なら割合の問題をたくさん解かせる、というのは自然な対応です。

ただ、比べ方そのものが切り替わっていない場合、同じ単元を繰り返しても、数字が変わるたびに初めて見る問題になってしまいます。

量を増やす前に、どこが通っていないのかを見たほうが早いことがあります。

まず確認したい四つのポイント

比や割合で手が止まるときは、同じ単元を繰り返す前に、次の四つを確認してみてください。

分数と小数を数として捉えられているか

1/2と0.5が同じ大きさだと分かるか。

1/2倍や0.5倍という表現を見たときに、何を意味しているのか考えられるか。

50%と0.5が同じ割合を表していることがつながっているか。

計算方法は覚えていても、分数や小数を一つの数として捉える感覚が弱いと、割合の問題で数字の形が変わるたびに混乱しやすくなります。

ここで止まるようなら、割合を繰り返すより、分数や小数そのものの理解まで戻った方がよい場合があります。

分数そのものの理解については、別の記事で詳しく扱っています。

掛け算と割り算の意味が分かっているか

掛け算を「答えが大きくなる計算」、割り算を「答えが小さくなる計算」とだけ覚えていないかを確認します。

大切なのは、数字の大小ではなく、量の関係から計算を選べることです。

たとえば割り算には、12個を3人で分けて「1人分はいくつか」を求める見方と、12個の中に3個が「いくつ分あるか」を求める見方があります。

割合でも、「何をもとにして、もう一方がその何倍なのか」を捉えられることが重要です。

式を見て答えられるかではなく、「なぜここで割るの?」と聞いたときに説明できるかを見てください。

「1あたり」で考えられるか

全体の量から1人分、1個分、1mあたりなどを求め、そこから再び全体へ戻せるかを確認します。

これは割合そのものと同じ考え方ではありません。しかし、「何を基準にして量の関係を見るか」という点でつながっています。

文章題になると急に式が分からなくなる場合は、数字だけを見るのではなく、「この数は何の量か」「何を基準にしているのか」を整理できるかを見てみてください。

割合の問題で三つの量を区別できるか

割合の基本問題には、もとにする量、比べる量、割合という三つの量が出てきます。

ただし、用語を暗記できるかを見る必要はありません。

「この問題では、どちらを1と見たの?」

と聞いたときに、

「元の値段を1として考えた」

など、自分の言葉で説明できるかを確認します。

公式を覚えていても、この対応関係が分からなければ、数字の配置が変わるたびに式が分からなくなります。

どこでつまずいているかを見分ける質問

家庭で様子を見るなら、次のような問いを口頭で聞いてみる方法があります。

  • 100円の半分はいくらか
  • 100円の1.5倍はいくらか
  • 50円は100円の何倍か
  • 100円は50円の何倍か
  • 1/2、0.5、50%の関係を説明できるか
  • 2:3で分けるとは、どのような分け方か

これは診断テストではありません。

何問できたら安心、何問以下なら苦手、という線を引くためのものでもありません。

見たいのは、正解かどうかより、その先です。

なぜその式にしたのか。

出てきた数は、もとの場面では何を表しているのか。

たとえば「50÷100だから0.5」と答えられても、「0.5って何のこと?」に答えられないなら、手順だけで処理している可能性があります。

逆に、計算を間違えても「100円のほうを1にして比べた」と言えるなら、戻る場所は計算のほうです。

比と割合を理解するための戻り方

整数倍と具体的な量から始める

いきなり0.6倍や3/5倍から始める必要はありません。

まずは2倍、3倍のように関係が分かりやすい数字を使います。

長さ、個数、金額など、実際の場面を思い浮かべやすい量で、

「どちらをもとにして、もう一方はその何倍か」

を言葉にしてみます。

ここで大切なのは、答えを出すことより、二つの量の関係を説明できることです。

必要なら図で関係を見えるようにする

言葉だけでは基準となる量が分かりにくければ、簡単な線分図などを使って関係を見えるようにします。

ただし、きれいな図を描くことが目的ではありません。

何を1と見て、もう一方がどのくらいなのかを確認するための道具として使います。

線分図や面積図については、何のために使うのか、どのように使い分けるのかを改めて詳しく取り上げます。

整数から小数・分数へ広げる

2倍、3倍で関係が分かるようになったら、1.5倍、0.5倍、3/4倍などへ広げます。

同じ関係を小数、分数、百分率で表してみるのも有効です。

表し方が変わっても量の関係は変わらないことが分かれば、数字の形が変わっただけで手が止まりにくくなります。

言葉と式を往復する

式を作ったら終わりではなく、式の中の数字が何を表しているのかを確認します。

「この100は何?」
「この0.6は何?」
「なぜ掛けたの?」

と聞かれて、自分の言葉で説明できるかどうかです。

逆に、文章を読んで二つの量の関係を言葉で説明してから式にする練習もします。

時間を置いて別の問題で確認する

解説を聞いた直後にできても、それだけでは身についたとは限りません。

数日置いて、数字や場面の違う問題でも同じ考え方を使えるかを確認します。

公式を見なくても、何を基準にしたのか、なぜその式にしたのかを説明できれば、理解はかなり深まっています。

進学塾サンライズでは、基礎を「簡単な問題」とは考えていません。

典型的な考え方を、別の日でも、少し形の違う問題でも、自力で正確に使える状態を基礎と考えています。

比と割合は中学受験のどこにつながるのか

比と割合は、その単元だけで終わる考え方ではありません。

濃度や売買損益では割合の考え方が使われます。比例配分、相似、辺の比や面積比では、比の理解が必要になります。

速さや仕事算などでも、基準となる量を決め、複数の量の関係を整理する力が求められます。

もちろん、これらをすべて同じ方法で解くわけではありません。

ただ、比や割合を学ぶ中で身につける「何を基準にしているのか」「二つの量がどのような関係になっているのか」を考える習慣は、その後の多くの文章題で役立ちます。

単元名が変わった途端に別のものとして覚えるのではなく、どこがつながっているのかを見ることが大切です。

中学校以降でも、比例・反比例や関数、理科の濃度や密度など、複数の量の関係を扱う場面は続きます。

比や割合ができれば中学以降がすべて安心というわけではありませんが、後の学習を支える重要な土台の一つです。

問題集を増やす前に確認すること

新しい問題集を買う前に、次の点を考えてみてください。

同じ難度の問題を増やせば解決するつまずきなのか。それとも、前の単元に戻る必要があるのか。

解説を読めば分かるのか、解説を読んでも意味そのものが分からないのか。

まだ図や具体的な物が必要な段階なのか。

一人で進められるのか、質問できる相手が要るのか。

解説を読んだ後にいったん閉じ、式を選んだ理由を説明しながら自力で解き直せるなら、演習量を増やす段階に進めます。

解説を読んでも「なぜこの式になるのか」が残る場合や、見ずに解き直すと手が止まる場合は、問題数を増やす前に前提となる考え方へ戻る必要があります。

教材にも役割の違いがあります。

分数や小数の意味に戻るためのもの、計算を繰り返して確実にするためのもの、割合や比例を集中的に学ぶためのもの、中学受験の問題として応用するためのものです。

どこで止まっているかによって、選ぶ教材も変わります。

応用問題集を増やしても、戻る場所が分数なら使われないまま終わることがあります。

つまずき方に合わせて選びたい算数教材

ここでは、比や割合でつまずいた子が戻るときに使いやすい教材を紹介します。

どれか一冊を全員に勧めるという意味ではありません。どこで止まっているかによって、必要な教材は変わります。

通分・約分や分数計算で止まるなら『いっきに極める算数4 小学4~6年の分数の計算』

割合以前に、通分や約分、分数の四則計算でミスが多い場合は、まず計算を安定させる必要があります。

くもん出版の『いっきに極める算数4 小学4~6年の分数の計算』は、小学4~6年で学ぶ分数計算を一冊でまとめて復習できるドリルです。

学年をまたいで取り組めるため、「どの学年まで戻ればよいのか分からない」というときにも使いやすい教材です。

分数・小数の意味そのものが曖昧なら『ドラえもんの算数おもしろ攻略 分数・小数がわかる〔改訂新版〕』

計算方法以前に、1/2と0.5の関係がつながっていない、分数や小数になると数の大きさを捉えにくい、といった場合は、ドリルを繰り返すだけでは進みにくいことがあります。

『ドラえもんの算数おもしろ攻略 分数・小数がわかる〔改訂新版〕』は、漫画を読みながら分数・小数の考え方に触れられる本です。

問題をたくさん解くための教材というより、「なぜそうなるのか」をもう一度捉え直すための読み物として使う方が合っています。

分数計算はできるのに割合で止まるなら『いっきに極める算数6 小学4~6年の割合と比例』

分数や小数の計算には大きな問題がないものの、割合になると「掛けるのか割るのか」が分からなくなる場合は、割合そのものをまとまった形で復習する方法があります。

くもん出版の『いっきに極める算数6 小学4~6年の割合と比例』は、割合と比例を学年をまたいで学習できるドリルです。

前の学年の内容まで戻りながら、割合・比例の基本を整理したい場合に使えます。

大切なのは、「評判のよい問題集だから買う」のではなく、今どこで止まっているのかを見てから教材を選ぶことです。

分数計算で止まっている子と、割合の意味で止まっている子では、必要な教材は同じではありません。

保護者が教えるときに気をつけたいこと

家庭で見るときに、避けたい聞き方があります。

「これは掛けるの?割るの?」と二択で聞くと、量の関係を考えなくても答えを当てられてしまいます。

同じように、公式を先に言わせてから数を当てはめさせるやり方も、意味を飛ばしたまま進みやすくなります。

答えの大小だけで正誤を判断させるのも、割合では危険です。

「答えが元より大きいからおかしい」と言ってしまうと、1より大きい割合を受け入れられなくなります。

図についても、詰まっているときに保護者が描き上げてしまうと、図の描き方は残っても、何を1と見るかを決める場面が本人に残りません。

聞くとよいのは、

「何を1と見たの?」
「その数は何を表しているの?」

という問いです。

答えを教えるのではなく、どこで止まっているかを確かめるための質問です。

そのうえで、毎問つきっきりでないと進まない状態が続くなら、家庭だけで抱えないほうがよい場面です。

教える人が悪いのではなく、家庭では、教える役と見守る役を同じ人が担うことになるからです。

質問できる場所を別に持つ、という選択肢もあります。

まとめ

比と割合の苦手は、公式を繰り返し覚え直すだけでは動かないことがあります。

分数や小数を数として見られているか。

掛け算と割り算を量の関係から選べているか。

「1あたり」で考えられているか。

何を基準にしているのかを説明できるか。

ここまで確認して、初めて戻る場所が決まります。

基準となる量を言葉や図で捉えられるようにして、整数の分かりやすい関係から小数や分数へ広げる。

言葉と式を往復し、時間を置いてもう一度解けるかを見る。

問題集を増やすかどうかは、その後の判断です。

戻ることは遅れではありません。

つまずいている前提が分からないまま同じ問題を繰り返すより、どこから積み直す必要があるのかを確かめた方が、その後の学習を進めやすくなります。

今日できることがあるとすれば、机に向かっているときに一度だけ、

「その式に出てくる数は、何を表しているの?」

と聞いてみることです。

答えられるか、詰まるか。

それだけでも、今どのあたりにいるのかが見えてきます。

現在の学習状況を伺い、上位校を目指すうえで何が課題になるのかを整理します。

指導方針や必要な学習量についてもご説明しますので、進学塾サンライズにお申し込みください。

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