努力しても結果が出ない子が見落としている「学びの順番」

「毎日勉強してるのに、なぜか成績が上がらないんです」
そう話す保護者の方は少なくありません。
子どもが机に向かっている時間は増えているのに、テスト結果が思うように伸びない。
そんな悩みを抱える家庭に共通するのは、努力の“量”ではなく、“順番”が間違っているという点です。
勉強には、正しい“ステップ”があります。
それを飛ばしてしまうと、いくら頑張っても思うような成果にはつながりません。
この記事では、私が塾で多くの生徒を見てきた経験から、
「努力が報われない子に共通する順番のズレ」と、
「結果につながる正しい学びの順番」についてお話しします。
努力が報われない子に共通する「順番のズレ」
一見、真面目に勉強しているように見える子がいます。
ノートを丁寧にまとめ、色ペンを使い分け、参考書を何冊も持っている。
しかし、テストではなかなか点数が上がらない。
そんな子どもに共通しているのが、「やり方」よりも「量」を優先してしまうことです。
「とにかくたくさんやれば成績が上がる」と思い込んでいるのです。
たとえば、理解が浅いまま問題演習を繰り返す。
答えを覚えても、「なぜそうなるのか」を考えずに解く。
これでは“できたつもり”になっても、実力はつきません。
成績が伸びない子ほど、「応用問題から始めて、基礎を軽視する」という順番の間違いを犯しています。
つまり、“結果”を出そうとするあまり、“土台”を固める時間を省いてしまっているのです。
勉強の基本は、自分で考える力=自学力です。
まずは自分の弱点を見つけ、自分でどう直すかを考えること。
この“考えて動く力”がなければ、どんなに時間をかけても成績は伸びません。
詳しくは、こちらの記事でも紹介しています。
→ 子どもの自学力を育てる方法|親ができることと家庭での実践
学力を伸ばす3つのステップ ― 「基礎固め」「理解」「応用」
勉強には、順序があります。
これはどんな教科にも共通していて、私はこれを「学びの3ステップ」と呼んでいます。
ステップ1:基礎固め
最初にやるべきは、知識の正確な定着です。
計算・漢字・英単語など、まずは「覚える」ことが土台になります。
ここで大切なのは、“速さ”よりも“正確さ”。
間違えたまま覚えると、後々すべての理解がずれてしまいます。
ステップ2:理解
次に大切なのは、「なぜそうなるのか」を考えること。
公式やルールをそのまま覚えるのではなく、“理由”を理解する段階です。
たとえば算数の「面積の公式」なら、形の分解や図形の性質を考えて導き出す。
英語の文法なら、語順の意味や感覚をつかむ。
理解は、“使う準備”をする段階です。
この「なぜ?」を突き詰める姿勢が、思考力の育成につながります。
論理的に考え、筋道を立てて説明できる力こそ、真の学力の基礎です。
→ 子どもの未来を切り拓く鍵:論理的思考力の基礎とその育成法
ステップ3:応用力
最後に、「習ったことを使う」練習です。
基礎を理解したうえで、文章題や長文読解のような応用問題に挑戦します。
ここでは答えを出すよりも、自分の考えを筋道立てて説明できるかどうかが重要になります。
この3つのステップを順に積み上げることで、
知識が「使える力」に変わっていきます。
逆に、基礎や理解を飛ばして応用に進んでも、成果は長続きしません。
「やっているのに伸びない」子がすべき学び直し
「何度も同じ単元をやっているのに、いつも点が取れない」
そういう子は、どこかの段階を飛ばしていることがほとんどです。
たとえば、応用問題を解いてミスを繰り返す子に「基礎問題は完璧?」と聞くと、
「たぶんできると思う」と答えるケースが多い。
実際にやってもらうと、案外ポロポロ間違いが出てくるのです。
つまり、“わかったつもり”のまま次に進んでいる。
このズレが、努力しても成果につながらない最大の原因です。
塾で成績を上げる生徒ほど、「戻る勇気」を持っています。
わからない問題が出たとき、すぐに次へ行かず、
「どの段階でつまずいたか」を探ることができる。
そこを修正することで、伸び方が変わります。
勉強は、「戻ること=後退」ではありません。
むしろ、正しい場所に戻ることが最短ルートです。
保護者ができるサポート ― 「順番を整える声かけ」
保護者ができる最も効果的なサポートは、「どこからやる?」と問いかけることです。
「ちゃんとやりなさい」では、ただの“量の指示”になってしまいます。
子どもが学びのどの段階にいるのか――
「今は覚える段階?」「理解して使う段階?」と確認しながら関わることで、
勉強の目的が明確になります。
また、テスト結果を見たときも、「点が悪いね」で終わらせずに、
「これは覚えミス? 理解ミス? 応用ミス?」と一緒に考えることが大切です。
こうすることで、「次にどの段階を修正すべきか」が見えるようになります。
努力の方向性が整えば、子どもは自然と前向きになります。
「何を頑張ればいいのか」がわかると、勉強が目的から“行動”に変わるのです。
まとめ ― 正しい順番で努力すれば、必ず結果は出る
勉強は、根性やセンスではなく順序の学問です。
どんなに優れた生徒でも、順番を間違えれば伸びません。
逆に、正しい順番で積み上げていけば、誰でも伸びます。
「量より順番」「がんばりより整理」。
この2つを意識するだけで、勉強の質は大きく変わります。
今、思うように結果が出ていないお子さんがいたら、
まず「どの段階でつまずいているか」を一緒に確認してみてください。
勉強には必ず、戻るべき場所と進むべき道があります。
努力しても結果が出ないのは、能力の問題ではありません。
正しい順番を知ることが、結果を変える第一歩です。
そして、どんな努力もすぐに報われるわけではありません。
だからこそ、サンライズが大切にしているのは“先苦後楽”の姿勢です。
最初は苦しくても、「今の努力が未来を変える」。
→ 先苦後楽:今の努力が未来を変える
よくある質問(FAQ)
勉強しているのに成績が上がらないのは、どこに原因がありますか?
多くは「努力の順番のズレ」です。
基礎固め→理解→応用の順を飛ばすと、演習量の割に成果が出ません。まずはどの段階でつまずいているかを特定してください。
どの教科から「基礎固め」を始めるのが効果的ですか?
得意教科から始めて“できる感覚”をつくるのがおすすめです。算数・数学の計算、英語の英単語・基本文など、正確性を優先して土台を整えます。
応用問題で失敗が続くとき、次に何をすべきですか?
一つ前の段階に戻るのが最短ルートです。理解不足のサインなので、基礎問題と要点の確認→もう一度応用の順でやり直します。
家庭で「順番を整える」サポートはどうやればよいですか?
「ちゃんとやりなさい」ではなく「どこからやる?」と質問してください。テスト後は覚えミス/理解ミス/応用ミスに分類し、次に直す一手を親子で決めます。
努力が報われず落ち込む子への声かけは?
結果ではなく“プロセスの変化”を承認します。
例:「前より説明が筋道立ってきたね」、「ミスの原因を書けたのが良いね」。思考の質と再現力を評価します。
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