中学受験算数の問題集はどう選ぶ?基礎から難関校までの教材の考え方

中学受験の算数で、今の問題集を続けるべきか、別の一冊を足すべきか、迷うことがあると思います。書店には「難関校向け」「最高レベル」といった言葉が並び、少しでも上のものを選んだ方がいいような気になります。ただ、問題集選びは「どれが良い教材か」からは始まりません。順番としては、志望校の試験形式と、子どもが今どこで止まっているかを見るのが先です。この記事では、教材のおすすめ一覧ではなく、どの状態の子に、何のために、どの教材が候補になるのか、そして買わない方がよい場合はどんなときかを整理します。
問題集は教材名より先に「今の状態」を見る
教材選びで迷っているとき、迷っているのは教材そのものではないことが多いです。何のために買うのかが決まっていないから、比べる基準がない。まずは、次の五つを確認するところから始めてください。
一つめは、志望校と受験形式です。同じくらいの偏差値でも、算数の出題は学校によってかなり違います。試験時間に対して問題が重く、全部は解き切れない前提の学校もあれば、標準的な問題が中心で、取れる問題を落とさない精度を求められる学校もあります。前者では、手をつける問題を選ぶ判断と、難しい問題に粘る力が効きます。後者では、正確さと処理速度が効きます。同じ「算数の対策」でも中身が変わります。加えて、私立中学入試なのか、公立中高一貫校の適性検査なのかでも、必要な教材は変わります。ここは後の章で改めて触れます。
二つめは、今どこで止まっているかです。「算数が苦手」という一言には、いろいろな状態が含まれています。小学校で習う内容そのものにあいまいさが残っているのか、中学受験特有の考え方が入っていないのか、考え方は分かるのに計算で落としているのか。段階が違えば、必要な教材も違います。
三つめは、手持ち教材の消化度です。塾のテキスト、以前買った問題集、通信教材。その中に、まだ手をつけていない問題や、間違えたまま直していない問題がどれくらい残っているか。ここが埋まらないうちに新しい一冊を足すと、どちらも中途半端になります。
四つめは、解説を自力で理解できるかどうかです。これは教材の難度を決めるうえで、かなり大きい要素です。解説を読んで意味を取れ、自力で解き直せるなら、家庭学習でも進めやすくなります。読んでも分からない状態が続く場合は、教材の難度や解説量が今の段階に合っているか、前提単元に抜けがないか、質問できる環境が必要かを確認します。
五つめは、質問できる環境があるかどうかです。塾に通っているか、家庭で聞ける相手がいるか。分からない問題が出たときに止まったままにならない仕組みがあるかどうかで、選べる教材の幅が変わります。
この五つが見えていれば、「この一冊は、うちの子の何を、どういう状態にするために使うのか」を一文で言えるはずです。逆に、それが言えないまま買った教材は、途中で使い方が分からなくなって棚に残りやすいものです。
模試や答案から、戻る範囲を決める
模試の結果が返ってきたとき、まず偏差値を見ると思います。ただ、偏差値だけでは、次に何をすればよいかは決まりません。偏差値は、母集団の中での位置を示す数字であって、どの単元が抜けているかは教えてくれないからです。
見てほしいのは、正答率の高い問題を落としていないかどうかです。受験者の多くが正解している問題を落としている場合は、難問より先に原因を確認する候補になります。反対に、正答率の低い問題は、志望校の出題や現在の学習段階によっては、優先順位を下げられることがあります。難しい問題だけに目を向けず、取るべき問題を落としていないかを見ることが、次の学習を決める手がかりになります。
そのうえで、誤答の理由を三つに分けてみてください。計算のミスなのか、問題文の読み違いなのか、そもそも方針が立たなかったのか。
この三つは、対処が違います。たとえば、同じ「速さの問題が解けなかった」でも、分速と時速の変換でずれている場合と、状況を図に表せていない場合と、方針は合っているのに計算で落としている場合があります。答案の上ではどれも同じ「×」ですが、必要な手当ては別です。原因を分けないまま同じ単元の問題数だけを増やしても、同じところで間違える可能性があります。
原因が分かったら、次は戻る場所を決めます。同じ単元の新しい問題集を探す前に、手持ちの教材の中で、その単元を扱っているページへ戻ってください。塾のテキストでも、以前使った問題集でも構いません。模試は、新しい教材を買うきっかけではなく、手持ち教材のどこへ戻るかを決めるための材料として使う方が、無駄が出ません。
つまずきの見つけ方については、以下の記事でも扱っています。

子どもの状態別に選ぶ教材の役割
ここからは、状態ごとに候補になる教材を挙げていきます。順位づけはしません。同じ子が全部を使うことも想定していません。
その前に一つ。教材には改訂版や学年別の商品があります。この記事で挙げる商品カードは、候補となる教材の例です。購入前に、正式な商品名、版、対象学年、そして今の学習段階に合っているかをご確認ください。
小学校算数の前提に抜けがある場合
中学受験の教材に入ってすぐ手が止まる場合、原因が中学受験特有の内容ではなく、小学校で習う内容の側にあることがあります。分数の意味、割合の考え方、単位の扱いといった部分です。ここがあいまいなまま受験用の教材を進めると、解き方だけを覚える形になり、少し条件が変わると動けなくなります。
この状態では、まず教科書レベルの内容を確認できる教材が候補になります。『【改訂版】小学校6年間の算数が1冊でしっかりわかる本』は、小学校算数の全体を一冊で見渡せる構成です。中学入試問題の総復習や、難関校対策を担う教材ではありません。あくまで、前提の確認に使うものと考えてください。
使い方としては、全範囲を最初から機械的に進める必要はありません。受験教材で手が止まった単元があったとき、その前提にあたる部分だけを開いて確認する、という使い方もできます。特に高学年から中学受験の学習を始めた場合、こうした確認が後の進み方を左右します。
一方、小学校の内容は問題なく理解できていて、中学受験特有の考え方でつまずいているなら、この段階の教材は不要です。
解説不足で考え方が理解できない場合
塾のテキストや問題集の解説は、授業を受けている前提で書かれていることがあります。式は書いてあるけれど、なぜその式になるのかの説明が短い。家庭で読み進めようとすると、ここで止まります。
この状態では、解説量の多い参考書が候補になります。『小学総合的研究 わかる算数 新装改訂版』は、例題と解説を読みながら考え方を確認する構成の参考書です。解説量を重視する場合の候補になります。
もう一冊、『わかる!できる!応用自在 参考書 算数』も、解説を確認するための候補です。ただし、二冊を同時にそろえる必要はありません。小学校算数の基本から受験内容まで広く調べたい場合は『小学総合的研究 わかる算数』、小学校算数の基本を終え、入試算数の例題や考え方を整理したい場合は『応用自在 参考書 算数』というように、現在地で選びます。ここで注意したいのは、「応用自在」には参考書と問題集があることです。今回想定しているのは、演習量を増やす問題集ではなく、解説と例題を確認する参考書の方です。
参考書は分量があるため、全範囲を通して進めようとすると負担になります。基本が入っていない段階で、発展部分まで一気に読む必要はありません。まずは、今つまずいている単元の該当箇所を開き、例題の考え方を確認する使い方ができます。その後、必要に応じて前後の単元や関連する例題まで広げます。
読んで終わりにせず、図や式が何を表しているかを言葉で確認してみてください。線分図なら、その線が何の量なのか。面積図なら、縦と横がそれぞれ何なのか。ここが言えるかどうかで、次に似た問題が出たときの動きが変わります。
基本例題は分かるが、入試基本問題を落とす場合
テキストの例題は解ける。けれど模試になると、難しくない問題を落としている。この場合、初見の問題文から必要な考え方を取り出せていない可能性があります。ただし、計算ミスや条件の読み違いが原因の場合もあるため、答案を見てから戻る範囲を決めます。
ここでは、入試で正答率の高い基本的な問題を集めた教材が候補になります。『首都圏模試受験生の2人に1人が解ける基本問題 算数』は、その趣旨で作られた教材です。ただし刊行が2013年と古く、最新の教材ではありません。入手できるかどうかを含め、購入前に販売状況をご確認ください。
この段階で有効なのは、模試の誤答と教材の単元を結び付ける作業です。落とした問題がどの単元のものかを確認し、その単元の基本問題を解き直す。これを何度か繰り返すと、取りこぼしのパターンが見えてきます。
基本問題が安定してきた後の候補として、『中学入試 算数 塾技100【新装版】』があります。入試で頻出する解法を整理した教材です。ただ、基本例題の意味そのものが分かっていない子が最初に使う教材ではありません。順番としては、考え方が入った後です。
この種の教材を使うときに気をつけたいのが、解法名やパターンの暗記だけで終わらせないことです。「この形はこの解き方」と覚えても、条件が少し変われば当てはまりません。なぜその方法が使えるのかを、子ども自身の言葉で言えるかどうかを確認してみてください。
小6で入試範囲を総復習したい場合
小6になり、ひととおりの単元を学び終えた段階で、全体を点検したいという場面があります。このときは、入試範囲を一冊で確認できる総復習教材が候補になります。
四谷大塚の『四科のまとめ 算数』、日能研ブックスの『算数の基本問題 小学6年』、同じく日能研ブックスの『算数ベストチェック』が、この用途の教材です。
この三冊を全部そろえる必要はありません。『四科のまとめ 算数』は、入試に必要な重要事項を広く復習する教材です。『算数の基本問題 小学6年』は、日能研のカリキュラムに沿って、中学受験算数の基本問題を確認したい場合の候補になります。『算数ベストチェック』は、弱点診断と分野別の要点・典型問題を使って、苦手分野を絞りたい場合の候補です。手持ち教材との重なりと、全体を広く復習したいのか、弱点を見つけて絞りたいのかを確認し、一冊を選びます。
前提として、これらは基礎学習を終えた段階の点検用です。まだ理解していない単元を、初めて学ぶための教材ではありません。総復習教材を開いて、ほとんど手が動かない状態なら、点検の段階に来ていないということです。その場合は、前の段階の教材に戻ります。
進め方の一例としては、一周目は広く解いて抜けを洗い出し、二周目以降は間違えた問題に絞る、という形があります。ただ、何周すればよいという決まった回数はありません。残っている時期、他の学習との兼ね合い、抜けの量によって変わります。
小6で入試に向けた計算力を整えたい場合
小6になると、計算にかける時間や正確さが、そのまま得点に影響してきます。処理が速く正確なほど、試験時間の中で考える問題に回せる時間が増えるためです。
小6の計算練習では、入試算数に出てくる形の計算や一行問題に対応した教材が候補になります。日能研ブックスの『計算と熟語 6年 改訂新版』は、計算・一行題と漢字を組み合わせた教材です。算数だけの問題集ではないため、国語も含めて日々取り組みたい場合の候補になります。計算だけを補いたい場合は、手持ち教材や別の計算教材と比べて選びます。
四谷大塚の『予習シリーズ 計算 6年』も同じ役割の教材です。ただ、予習シリーズには学年、上・下、年度による違いがあります。購入前に、対象の商品が今の学習時期と合っているかをご確認ください。
なお、一般的な計算ドリルや100マス計算に意味がないという話ではありません。学年と目的の違いです。小6で中学入試を控えている場合は、現在の計算課題を確認したうえで、入試に出る形式へつながる教材を優先する判断があります。実際の相談でも、100マス計算を続けるか迷っていた小6に対し、入試算数に対応した計算教材や、通塾先の同種教材を使う選択肢が挙げられていました。
もう一点。計算練習で速度だけを追うと、ミスが増えることがあります。間違えた問題の型を記録し、解き直すところまで含めてください。同じ種類のミスを繰り返していることに気づけると、そこだけを直せます。
そして、通っている塾に同じ役割の計算教材があるなら、新しく買う必要はありません。手元にあるものを繰り返す方が、負担も少なく済みます。
難関校志望でも、教材を増やさない場合
難関校を目指していると、難しい問題集を早く始めた方がいいのではないか、と考えることがあります。ただ、志望校が難関校であることと、今の段階で難問集が必要かどうかは、別の問題です。
実際の相談でも、難関校を目指しているものの、宿題と難しい問題に追われて復習まで手が回らないケースが挙がっています。この状態で教材を足すと、解けない問題と、直していない誤答が増えていきます。量と難度を下げて、消化できる状態に戻す方が先です。
判断の目安になるのが、基本的な例題を自分の言葉で説明できるかどうかです。答えは出せるけれど、なぜその方法を選んだのかを言えない。この状態なら、まだ考え方が定着していません。ここで初見の難問を増やしても、解説を読む時間が増えるだけになります。少し易しく、量の少ない教材に戻って、例題を理解し直す方が、学習を立て直しやすくなります。
ここで前提を確認しておきます。進学塾サンライズでは、基礎を「簡単な問題」という意味では使っていません。用語、計算、公式、読解、典型的な考え方を、自力で正確に使える状態のことです。そして定着かどうかは、解説を読んだ直後に解けたかではなく、別の日や少し形の違う問題でも再現できるかで見ます。この基準で見ると、「一度解けた」だけの問題はまだ途中です。
応用力についても同じです。応用力は、深く身についた基礎を選び、組み合わせて使う力です。難問集を先に増やすことと、応用力がつくことは同じではありません。この点は以下の記事でも扱っています。

もう一つ、時間の観点があります。標準的な問題の処理が安定するほど、試験の中で難しい問題に回せる時間が増えます。同じ実力でも、前半の処理速度で後半の結果が変わることがあります。難関校志望であっても、標準問題の完成度を上げることが遠回りにならないのは、このためです。
とはいえ、難しい問題を考えること自体を否定するつもりはありません。算数が好きで、時間をかけて一問に向き合うことを楽しめる子にとって、その時間には値打ちがあります。ただ、それと「合格に向けて今優先すべきことか」は分けて考えてください。両方を同時に満たせる時期もあれば、そうでない時期もあります。
私立中受型と公立中高一貫型で教材範囲は変わる
私立中学入試と、公立中高一貫校の適性検査は、必要な教材が違います。ここを分けずに考えると、時間の使い方がずれます。
共通しているのは、小学校で習う算数の内容です。どちらを受けるにしても、計算、割合、図形といった基本的な部分があいまいだと進みません。ここは先に確実にしておく部分です。
そのうえで、私立中学入試では、特殊算を含む中学受験特有の内容が幅広く出題される場合があります。学校によって出題範囲も難度も違いますが、体系的に学ぶ必要が出てくることが多いです。
公立中高一貫校の適性検査は、形式が異なります。資料の読み取り、条件の整理、考えた過程を文章で説明する形式などが含まれます。学校によって出題は違うため、一律には言えませんが、私立中学入試向けの教材をそのまま全範囲進めても、直接は噛み合わない部分が出てきます。
公立中高一貫校を志望する家庭が私立型の教材を使う場合、範囲を絞る考え方があります。志望校の出題を見て、計算、平面図形、場合の数、規則性、推理・判断など、実際に必要になる分野に限定する形です。全範囲を進めることを前提にしないでください。
両方を受験する予定がある場合は、それぞれに必要な準備を分けて計画することになります。どちらの対策も中途半端になりやすい部分なので、志望校の過去問を早めに一度見ておくと、判断がしやすくなります。
塾教材があるなら、新しい問題集を買う前に見ること
塾に通っている場合、市販の問題集を足すかどうかで迷うことがあります。判断は、教材の中身ではなく、今の消化の状況で決まります。
まず確認したいのが、塾教材の中に未着手の問題や、間違えたまま直していない誤答が残っていないかです。ここが残っている状態で教材を足すと、一冊あたりの定着が薄くなります。追加を検討する前に、手元の教材を一度開いてみてください。
次に、追加しようとしている教材と、塾教材の役割が重なっていないかです。同じ役割の教材を二冊持っても、こなす量が増えるだけになります。足すなら、塾教材で不足している役割に限ります。
四谷大塚系の体系教材を使っている家庭であれば、予習シリーズの『演習問題集』や『計算』を繰り返す選択肢があります。新しい教材を探すより、すでにカリキュラムと対応している教材を使い切る方が、順序の混乱も起きません。予習シリーズの使い方については、以下の記事で詳しく扱っています。

過去問や模試で弱点が見つかったときも同じです。その単元の新しい問題集を探す前に、手持ち教材の該当単元へ戻ってください。必要な問題がすでに収録されているなら、新しい教材を追加せずに復習できます。
もう一点、時期の話です。入試直前は、目的が曖昧なまま新しい参考書を増やさない方がよい時期です。新しい教材には、構成や解説に慣れる時間も必要になります。残り時間が短いほど、まずは使い慣れた教材で補えるかどうかを先に確認します。手持ち教材では不足する役割が明確な場合だけ、残り時間の中で使い切れる範囲を決めて追加します。
なお、塾教材だけで必ず足りるとも、市販教材が必ず必要だとも言えません。子どもの状態と、塾教材の構成によって変わります。
教材だけでは解決しない場合
教材を選び直しても、同じところで止まり続けることがあります。このとき、原因が教材の側にないことがあります。
たとえば、解説を読んでも意味が理解できない状態が続いている場合。教材を易しいものに替えれば解決することもありますが、そもそも文章から状況を読み取る段階で止まっているなら、教材の難度だけの問題ではありません。
毎回、保護者や先生の説明待ちで学習が止まる場合も同じです。一人で進める時間に手が動かないなら、問題集を増やしても、未消化の量が増えるだけになります。
こうした場合、選択肢の一つが、質問できる環境や映像授業を部分的に補うことです。全部を置き換えるのではなく、解説を読んでも理解できない単元だけを補う形です。自学力は、一人で何もかも解決する力ではありません。自分で進め、どこが分からないかを把握し、必要なときに質問し、方法を修正することまで含みます。分からないところを聞ける形を作ることは、その一部です。
ただし、映像授業を使う場合、説明を聞いた直後に解けても、それだけで定着したとは判断できません。数日後に同じ問題や類題を、何も見ずに解けるかを確認します。そこで手が止まる場合は、視聴時間を増やす前に、どの説明が残っていないのかを確かめ、例題や前提単元へ戻ります。
家庭学習だけでは無理だ、塾に通えば解決する、といった単純な話でもありません。どこが詰まっているかによって、必要な補い方は変わります。
問題集を力に変える使い方
同じ教材を使っても、結果は同じにはなりません。差がつくのは、間違えた後の扱いです。
全問を同じ重さで扱わないところから始めてください。すぐ解けた問題と、詰まったけれど解けた問題と、手も出なかった問題では、その後の扱いが変わります。すべてを同じ回数解き直すのは、時間の使い方としてもったいないです。
誤答の原因を、計算、読み違い、方針の三つに分けることは、模試の見方のところで触れました。日々の問題集でも同じです。分けておくと、次に何をすればよいかが決まります。
例題や解法の要点を、子ども自身の言葉で説明させてみるのも有効です。「なぜここで線分図を使ったのか」と聞いて、答えられるかどうか。説明できない場合は、手順だけを覚えているのか、考え方は分かっていても言葉にできないのかを、式や図を見ながら確かめます。
答えが合っていても、考え方が定着しているとは限りません。正解の中身をどう見るかは、「算数で答えが合っているのに、実力がつかない子」でも具体的に説明しています。

解説を読んだ後は、いったん閉じて解き直してください。読んで納得することと、自分で解けることは別です。ノートに解説を写して終わりにすると、理解した感覚だけが残ります。
そして、数日後にもう一度です。同じ問題でも、類題でも構いません。時間を置いて、自力で同じ考え方を取り出せるか。これが定着の目安になります。
見るところは、終わったページ数ではありません。後日解ける問題が増えているかどうかです。書き込みが最後まで埋まっていても、先週の問題が今日解けないなら、まだ途中ということになります。
まとめ
問題集は、一番難しいものを選ぶものでも、冊数を競うものでもありません。今不足している役割を確認して、その役割の教材を一つ選ぶ。それが基本になります。
模試や答案は、偏差値を見るためだけのものではなく、どこへ戻るかを決めるための材料です。正答率の高い問題の取りこぼしと、誤答の原因を確認すれば、戻る場所は絞れます。そして、その場所を扱った教材がすでに手元にあるなら、新しく買う必要はありません。
難関校を志望している場合でも、未消化の問題が積み上がっているなら、例題や標準問題へ戻る方が先です。教材を替えても同じところで止まるなら、質問できる環境を部分的に補うことも選択肢に入ります。
新しい一冊を探す前に、今使っている教材を開いてみてください。どこまで進んでいて、どの問題が間違えたまま残っているか。先週解けた問題を、今日も解けるか。数分で確認できることですが、次に何を足すべきか、あるいは足さなくてよいかの判断は、そこから始まります。

