数概念に関する3つの不変性
子どもが算数と出会う段階で最も大切なことは、数の中身が理解できるようにすること、つまり数概念を育てることです。
これまで数を数えさせようと、お風呂で「100まで数えたら出てきなさい」と子どもに言っている親御さんも多いと思います。この方法は数を数える練習としてはいいでしょう。しかしこれで数の概念がバッチリ入ると勘違いしないでください。
風呂で100数えられるだけで満足してはならないのです!
100ページある本を渡し、「52ページを開きましょう」と言うと、最初の1ページからめくっていく子どもと半分くらいのページをサッと開けて、そこから2枚めくる子どもがいます。100まで数えられていても概念として入っていないと最初のページからめくる子どもになります。このように、数が数えられることと、数の概念が頭に入っていることとは全く別なのです。
では、数概念が確立しているとはどのようなことを言うのでしょうか。それは次の3つの不変性が理解されていることを言います。
① 一対一の対応に関する不変性
他のどんな5個とも一対一の対応には変わりがない。
② 順序に関する不変性
どんな順序に変えてみても5個には変わりがない。
③ 数の合成・分解に関する不変性
2つに分ける、3つに分けるなど、どんな分け方をしても5個には変わりがない。
3つの不変性について、上述は5個という分離量についての説明ですが、5Lという連続量についても同じく不変性が成立します。
数に慣らすというのは、単に数の順序を覚えさせたり、加減算を教え込むのではなく、数概念を形成することが目的です。
今日の幼児・低学年教育は、受験でうまく目的の学校に合格するための技術の錬磨を目的とし、いずれ学ぶ様々な知識を先取りして教え込むことに鎬を削っている感があります。
しかし、子どもたちは教え込まれた知識を本当に理解しているのでしょうか?
学んだことから想像力を働かせ、自分で考え、工夫して問題の解決に活用することができるでしょうか?
意味も分からないうちから、一方的に知識を詰め込まれ、教わったことしかできない子供や新しいことを自発的に工夫する意欲の欠けた子どもが激増しているのは知識偏重教育の悲しむべき結果なのではないでしょうか。
算数は本来「数量」と「図形」から成り立っています。最近の算数教育は具体性のある「図形」ではなく「数量」偏重の傾向があります。子どもが算数についていけなくなる最大の理由はここにあります。答えが言えることはもちろん大切ですが、そのことの具体的な意味も正しく表現できなければいけません。それにも関わらず、そこを理解させずに計算ドリルを機械的に、大量にさせるために、高学年になって文章題を自分で指揮を立てて答えられない子や、分数で落ちこぼれる子どもが急増しているのです。算数は抽象的で難しいものという印象から、算数嫌いや数学恐怖症になってしまう子どもも後を絶ちません。そうならないためにも、数理色板・積木を使って数概念を育てる必要があります。
パズルを楽しみながら、算数力(=発想力・考える力・論理性)が伸ばせる一石二鳥の数理色板&積木で算数センス育成!
算数を学習する上で必要なことは、「筋道を立てて考える力」です。初めて出会う形式の問題にいかに対処し、答えを導き出すのか。考える力とはどのような問題に対しても問題文の意味をきちんと理解し、自らの手で論理的に答えを導き出すことができる力です。今後様々な分野において役立つ「後伸びする力」でもあります。
算数を学習する際に必要な考える力を伸ばすには、学習パズルで身につく論理的な思考アプローチが効果的です。計算式の反復練習と違い、算数が嫌い、数字が嫌いという子どもにも親しみやすい学習パズルは、それ自体が遊びの要素を持ち合わせながら、同時に算数のセンスを伸ばす学習教材として魅力的な特性を持っているのです。
パズルをやる上で大切なことは、先ずはお子様一人の力で問題に取り組ませることです。お子様が一人では解き方がわからない場合には、保護者の方もお子様と一緒に考えてあげてください。問題が解けたときは「よくできたね」と褒めましょう。そして何より大事なことは、「考え抜く」「やり抜く」と言うことです。例え解けなくても投げ出したりせず、最後まで考え抜きましょう。
なぜ図形(具体物)を使うのか
計算問題や文章題の解き方をパターンとして教え込んでも本当の能力はつきません。
数の概念を深く理解し、数理的感覚を育てるためには、子どもたちが自らの手で不思議に数の世界を体験し、色々な試行錯誤をする中で、自ら新しい発見をしていかなければなりません。
子どもは何かを手でいじることが大好きです。
数感&図形トレのプログラムは、色板や積木といった実験道具を与え、数遊びや図形作りを楽しくさせる中で、知的刺激を与え、それに対する子どもの反応を見ながら、新しいヒントを与えたり、試行の軌道修正を促したりして学習を成立させていく新しい教育方法です。