成績が良くても悩みがある
岡山朝日高校受験専門進学塾サンライズの塾長です。
勉強が苦手な子向けのお話ではなく、ある程度勉強ができるという前提でのお話です。
実は勉強が苦手な子だけが、勉強に困っているわけではありません。
むしろ伸びしろがある分、勉強すれば上がるので実は難しいことではないです。
では勉強がある程度できる子はどうでしょうか?
特に困っていないでしょ、って?
そんなことはありません。
いくつか例を挙げると
・数学や英語は90点以上なのに対して、国語の点数が70点くらいだった。
・満点が狙えるテストだったのに、2問も間違えてしまった。
・今まで「できる」と思っていた科目が突然成績が下がり始めた。
人それぞれ悩みは様々ですが、悩みがない子なんていません。
学年で1位の子も悩みます。
98点と100点を比べれば98点の方が悪いのと同じように、何かと比較して「良い」「悪い」と言っていますよね。
苦手なので復習をするぞ!ところが・・・
さて今は夏休みですが、1学期の通知表を見て、愕然・・・。
夏休みの間に我が子の苦手教科を克服させようと考えている人は多いと思います。
さて、何をさせましょうか?
今まで習った単元の問題をもう一度解かせましょうか。
復習すれば、少しは良くなるだろうな・・・。
でも、気を付けてください。
夏休み明けのテストの結果を見て「あれ?あまり変化がない・・・」と感じている人も少なくないのです。
復習の仕方に問題あり!
復習をさせてみるとわかるのですが、苦手教科であればやはり間違いは多いです。
これまで入塾間もないの子の復習の様子を見てきてわかったのが、苦手な子の特徴です。
色々ありますが、大まかに分けると2つの行動に分かれます。
これ以外はいません(あっても、記憶にないほど数少ない)。
勉強の仕方に正解はないと言いますが、それはやり方は一通りでないという意味で、「間違い」はあります。
1つ目の行動、それは、
・丸付けの際に、間違えた問題には×を付けず、答えを消して正しい答えを書いてから○にする。
何が問題なのでしょうか。
解説します。
失敗を恐れてできないことを隠そうとする
丸付けの際に、間違っているのに×にしないで、終わった後のノートが全て○の状態である子は、
親が勉強に対して厳しい、あるいは過干渉である場合に多く見られます。
ちょっとしたミスでも間違えると注意を受けたり、良い点数を取った時だけ褒められる子どもは、「失敗は悪」と刷り込まれ、本能的に間違えたことやわからないことを隠そうとします。
結果、苦手なところが解決できないまま勉強している状態になります。
「え?これってよくないよね?」
と思われる方も一定数いると思いますが、当の本人は本能的に、無意識にやっていることですから、良くないことをしているという自覚はありません。
では、具体的にどう対処すべきか。
叱ってもダメです。
叱られて効果があるのは、自分で悪いことをしているという自覚がある時です。
私は、そのような子には
「失敗はドンドンしていいんだよ」
「わからないところがあるんだよね」
「勉強はわからないところをわかるようにすることだからね」
などと声をかけ、まずは刷り込みをなくすところから始めます。
そして、間違えをはっきりさせることが自分にとって良いことだということを何度も何度も繰り返し伝えていきます。
また、テストの結果を見て子どもと話をするときには、
「この点数は前よりも良かったんじゃない?“なぜ”よかったと思う?」
「この結果をもっと良くしようと思ったら、どうすればよいと思う?」
というように、点数が良かった、悪かったの話にするのではなく、
・何が良い点数=成功につながったのか。
・何が原因で点数が低かった=失敗につながったのか。
を話し合います。
テストを通じて自分の勉強を振り返り、反省すべきことが見つかれば、次の目標として取り組ませるようにします。
「失敗はつきもの。失敗を次に生かせるようにしよう!」
と思えるようにします。
あなたはどうしますか?効果の出ない勉強をさせ続けますか?
そして、2つ目の行動についてです。
・×はつけるが、正しい答えだけを赤で書く。
ほとんどの子が当てはまりますよね。
あまりにも同じやり方なので、どこかで一斉に教わっているのでしょう。
何がいけないのかわかりますか?
勉強した気になっているが、実は身についていない
私がそれを見つけたときは、必ず質問します。
「なぜこの答えになったのか」
すると、これに答えられないんですね。
「できました!」
「解説を読んだのでわかりました!」
「わからないところはありません!」
自信ありげにそう答える生徒でも、答えられないことがあります。
学校で高成績を出すような子でも答えられないことがあります。
答えだけ直している場合は特に、「どうやって解いたの?」と聞きますが、同様に説明できません。
「わからないけれど、そうする(赤で答えを書く)ように教わったからやった」
その程度だと思います。書写です。
でも、勉強した気にはなります。
分かった気にもなります。
自分で、どこがわからないのか気付かないことが多いんですね。
わかっていないのにわかっていると嘘をついているわけではなく、それが勉強だと思っているのです。
だから、「勉強したのに、結果が出ない・・・」となるのです。
このような場合、私は
- わからないままで先に進めていることが原因
- 「わかる」というのは人に説明できるということ
を伝えます。
一度伝えたからといって、すぐに直るものではありません。
これも何度も何度も繰り返し・・・。
習慣となった勉強を修正するには、半年はかかります。
根気よく指導する必要があります。
解説を読んでも意外と理解できていない
ところで「いつもわからないところは解説を読んで理解している」という子もいるでしょう。
説明させると、あまり理解していないと気づくのですが、本当はわかっていないのに「そんなものだ」として覚えようとします。
例えば、時計の角度の問題で長い針が20分の間に動いた角度を求める場合、解説に「5分で30度動くので、30×4=120(度)」とあったとします。
ここで、「じゃあ何で5分で30度なの?」と聞いてみると、理解できている子は「60分で360度動くから、1分で6度動く。だから・・・」などと説明できるのですが、そうでない子は黙ってしまいます。
この「5分で30度」の部分に対して、「わかるわかる」と思っている子もいれば、「そんなものなんだ。覚えておこう」としてしまう子は、応用問題になるとはっきりと結果に表れます。
簡単な問題は解けても、応用問題が解けないと悩んでいる方の多くはこれに当てはまると考えます。
そして、高校生になった時に初めてその差が埋められないことに気付くのです。
まとめ
復習しても結果が出ない主な原因は、「答え合わせ」にあります。
たかが答え合わせと思われるかもしれませんが、わからないことについて「なぜ違うのか」「なぜその答えになるのか」を考える時間は、答え合わせをして、間違いを直しているときです。
ここがきちんとできていないと、いつまで経っても何度やってもわからないのです。
わからないところがどこかは、自分でもわからない子もいます。
そういう時は、どこがわかっていないのかを指摘してあげます。
勉強の癖や習慣を変えるには時間がかかるので、繰り返し何度も「なぜそうなるの?」と聞いてあげることが大切です。