ずっと昔の話ですが、ある生徒(Aさんとします)が、
宿題をやってきました。
Aさんは、とても勉強が苦手。
塾に来ているのも、お母さんに無理やり連れて来られて・・・
だったと思います。
当然、やる気もなかったのですが、塾長の手前、
あからさまにそういう態度ができなかったのでしょう。
でも、人間、本性は隠せません。
表面上では「勉強しています!」という態度でも、
ノートを見れば一発でした。
Aさんは、それまで算数で50点を超えたことがありません。
ほとんど20点台。
でも、宿題は、見事なまでに、全て正解。
いつもなら、塾長からチェックのハンコをもらうのですが、
その日は違いました。
ある問題で、Aさんは、答えを「オ」と書いて、マルをしていました。
でも、実は、その問題の選択肢は、「エ」までしかなかったのです。
つまり、テキストの解答が間違っていたんです。
先生は、そのことを知っていたのですが、Aさんに質問しました。
「Aさん、この問題は、これで合っているの?」
「うん。だって、ほら、答えはそうなっているでしょ?」
「絶対?」
「絶対!」
「ふ~ん。じゃあ、なぜ答えはオなの?教えて?」
「・・・」
「テキストには、エまでしかないんだけど?」
「・・・」
ここで、「答えを写したの?」と聞いても、
全力で否定していたことでしょうね。
勉強が苦手な子だから、こういうことをするのかというと、
実は、そうでもないんです。
勉強が得意な子でも、よくやりますよ。
まだ幼いんですね。
テストとは、何のためにやっているのか、
宿題やテスト勉強は何のためにやっているのか、
よくわかっていない人もいるようです。
いずれのテストも、「どれだけあなたが勉強を理解できているのか」
を確認するためのツールです。
「成績を上げたい」
「点数を良くしたい」
というのであれば、当然、あなた自身が
「勉強を理解する」しかありません。
指導者が、いくら分かりやすく教えても、それを自分のものとし、
消化するのはあなたです。
つまり、結局はあなた自身の努力量にかかってくるのです。
それを、ただ、指をくわえて待っていても、
できるようには、ならないのです。
宿題や、テスト勉強は、
あなたがきちんと理解するために欠かせないものなのですが、
もし、そういうチャンスを無駄にしている人がいるなら、
残念なことですね。