受験生が苦手科目を克服するための方法
受験生の親にとって、どうやって子どもの苦手科目を克服させるかは、大きな悩みの一つでしょう。
残りの期間で効率よく学習しないと、合格を逃してしまうかもしれません。
ここでは、受験専門塾の塾長がおすすめする苦手科目克服の方法と対策をご紹介します。
優先順位をつける
「苦手なんだからもっと勉強しないと」と何度言ったところで、子どもは勉強をしないでしょう。
なぜなら、どこから勉強を始めたらよいのか、具体的に何をすればよいのかがわからないからです。
その状態で、子どもに勉強を任せてしまうと、テキストの1ページ目から始めたり、得意な単元からやろうとします。
本当にそれで伸びるのか、当の本人はそこまで考えていません。
受験まで残り1年をきっているのにも関わらず、効率の悪い勉強をしていては成績は伸びないでしょう。
テストの結果を見れば、間違えている問題から、特にできていない単元や分野が見えてきます。
方程式なのか、図形なのか、物理なのか生物なのか、歴史なのか地理なのか、文法なのか、読解なのか。
苦手を得意にするには、その科目のどの分野が苦手なのかをしっかり見極めることが必要です。
しかも、それだけではいけません。
子どもによって、間違えた問題のレベルが違います。
基本的な問題か、応用的な問題かの見極めが必要となります。
基本が理解できていないのに、応用問題ばかりにチャレンジしていれば、いくら問題を解いても意味が理解できず、かえって遠回りになります。
以下に各科目の基本と応用の判断基準を挙げます。
国語
基本 | 漢字、漢字の意味、語句の知識、オノマトペ、熟語の構成、文法。 |
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読解の基本 | 接続語、指示語など。 |
読解応用 | 心情読み取り、主題の読み取り、主張の読み取り、段落の要点、文章の要点、事実と意見、文章構成など。 |
読解問題とそれ以外に大きく分けることができますが、読解問題の中にも、語句の意味や接続語などの基本的な問題も含まれています。
記述問題の答え方(質問に対する解答の型)は基本ですが、内容理解に関する選択問題は応用問題となります。
算数・数学
基本 | 用語の定義、計算 |
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応用 | 文章題、複合問題 |
単純に「簡単な問題」「難しい問題」で区別すればよいのですが、教科書にも出てくるような典型問題は、基本とみなしましょう。
複数の単元を組み合わせた問題を複合問題といい、応用問題になります。
英語
基本 | 単語、文法 |
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応用 | 英作文、長文読解(内容理解) |
長文読解や英作文でつまずいている場合は、単語・文法を理解できていないかを確認します。
理科
基本 | 用語の知識、定義、用語記述 |
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応用 | 計算問題、記述問題 |
理科は、一問一答で対策可能なものは、基本とみなし、計算問題や記述問題は応用とします。
社会
基本 | 用語の知識、定義、用語記述 |
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応用 | 歴史の時系列並び替え問題、記述問題 |
理科と同様に、一問一答で答えられる問題は基本です。
対策
- 模試やテストの結果、小テストなどで間違えた問題を調べる。
- 間違いが多い単元の順に、優先順位を決める。
- 間違いが基本的な問題なのか、応用問題なのか区別する。
優先順位が決まれば、次に苦手科目を克服するために使用する教材を決めます。
2通りあるので、どちらか一方を使うか、両方使って対策をしましょう。
苦手科目克服のための教材
中1・中2用問題集を使う
もし、基本的な問題を多く間違えているようなら、その分野を学習する学年の通年用テキストを使用しましょう。
中学1年生用の数学問題集、中学2年生用の英語テキスト、といったものです。
説明も載っていますし、一から勉強し直せます。
できれば、2,3種類やるとよいです。
間違っても、1ページ目から順番に解かないでください。
優先順位に従って進めます。
一度解いて満足する人もいますが、3周は解くようにしましょう。
この段階で、きちんと理解できていなければ、応用問題や入試過去問を解いても十分な効果がありません。
入試過去問集を使う
応用問題を多く間違えている人は、過去問集や実戦問題集から始めましょう。
おすすめは、「全国入試問題正解」(旺文社)です。
問題量が多く、入試に良く出るパターンの問題を豊富に解くことができます。
例えば、理科の生物分野の細胞分裂が苦手なら、その問題だけをピックアップして、解きまくってください。
同じような問題も出てきますから、徐々に正答率が上がってくるはずです。
ただし、基本的な事が理解できていない状態で始めると時間がかかり、効率的とは言えません。
全部やりたい気持ちは分かりますが、時間は限られています。
中途半端にならないように、優先順位に従って解いていきましょう。
一つずつ、確実に克服していく方が、何度もやり直しする必要がなくなるので、結局は近道になるのです。
可視化する
ここまでで、苦手科目を克服する方法を紹介しました。
更に、モチベーションを高めるために、やるべきことをリストにまとめて紙に書き出しましょう。
対策ができた単元は、塗りつぶしていきます。
勉強が進めば、今自分がどれだけできるようになったかが、イメージしやすくなります。
どれだけの勉強量があって、今どこまで進んでいるか、可視化することで勉強がゲームのように楽しくなります。