高校入学後のスタートダッシュが鍵!成績を伸ばす学習習慣の作り方

「高校入試に合格したら一安心」と思っていませんか?実は高校1年生の最初の数か月で、将来の学力や進路が大きく左右されます。高校で成績を伸ばすためには、中学で培った学習習慣を維持し、スタートダッシュを成功させることが必要不可欠です。この記事では、高校進学後の学習スタートでつまずかないためのコツを詳しくお伝えします。
合格後に「気を抜く」のが危険な理由

高校受験を終えると、多くの生徒が「やっと一息つける」と思い、つい気を緩めてしまいます。実際、中学校時代は高校受験という明確な目標に向けて継続的に勉強してきたため、合格後に気が緩んでしまうのは無理もありません。
しかし、ここで気を抜いて学習習慣を崩してしまうと、その習慣を再び取り戻すのは非常に難しくなります。一度途絶えた習慣を再開するには大きなエネルギーが必要であり、その間に周囲との差が徐々に広がってしまうのです。
また、高校入学直後は生徒間の学力差がほとんどありません。高校に入ってすぐは皆が同じスタートラインに立っています。ここで少しでも気を抜いてしまうと、周囲の努力する生徒との差が一気に開いてしまい、中学時代に好成績を収めていた生徒でも簡単に下位へ転落してしまうことがあります。
そのため、高校合格後も継続して勉強を続け、中学時代に培った良い学習習慣を維持することが、将来的な学力向上にとても重要です。
スタートダッシュがその後の成績を決める

入学直後から成績差がつく理由
高校入学直後は、みんな「新しい学校生活が楽しみ」「入試が終わったからしばらくのんびりしたい」という気持ちになりますよね。しかし実際には、この期間にこそ、はっきりとした成績差が生まれてしまいます。
中学までは、テスト前の短期間に集中的に勉強すれば、ある程度の結果が出せました。しかし、高校ではこの方法が通用しません。学習する科目数が増え、各科目の難易度がぐっと上がるため、毎日の積み重ねが欠かせないからです。
例えば、高校1年生を対象にしたある模擬試験(6月実施)では、わずか2か月で約20ポイント近い偏差値差が同じ高校内で生じています。この理由は、高校の学習スピードが速く、特に数学や英語といった科目は、入学後すぐに学ぶ内容が基礎となっているためです。
- A高校(偏差値60程度の公立高校)
- 最高偏差値:72.3
- 最低偏差値:51.8
- 偏差値の差:約20.5
- B高校(偏差値65程度の公立高校)
- 最高偏差値:75.5
- 最低偏差値:54.6
- 偏差値の差:約20.7
- C高校(偏差値55程度の公立高校)
- 最高偏差値:67.9
- 最低偏差値:49.5
- 偏差値の差:約18.4
そのため、入学直後にしっかりと学習習慣を維持している生徒と、合格の安心感から勉強を緩めてしまった生徒の間に、早い段階から大きな成績差がついてしまうのです。
スタートダッシュが遅れると、後から追いつけない?
入学直後のスタートダッシュが遅れてしまうと、後から挽回することはとても難しくなります。その理由は、高校の勉強が「積み上げ式」になっているからです。
高校で学習する多くの科目、特に数学や英語などは、基礎となる内容をきちんと理解していないと、その後の授業がまったくわからなくなります。一度理解が遅れてしまうと、授業のスピードが速いため、追いつくためには何倍もの時間と努力が必要になります。
また、一度授業内容がわからなくなってしまうと、「自分にはできないかも…」という気持ちが強まり、勉強に対するモチベーションも下がります。その結果、苦手科目がさらに苦手になる悪循環に陥ってしまうのです。
さらに、高校では推薦入試や総合型選抜が増え、1年生からの定期テストの成績が大学進学に直結します。ですから、最初から出遅れてしまうと、その後に挽回が難しくなり、希望の進路を選ぶ際にも制限がかかってしまう可能性があるのです。
スタートダッシュの重要性を親子でしっかり認識し、入学直後から継続的に学習する習慣を身につけましょう。
高校の勉強は、中学と何が違うの?

科目数の増加で学習量が大幅アップ!
中学校から高校へ進学するとき、「高校の勉強は中学の延長線上にある」と思う人も多いかもしれません。でも実際は、中学と高校では勉強の内容や量がまったく違います。
まず最も大きな違いは、高校になると学習する科目の数が一気に増えることです。
中学校では主要な科目として「国語」「数学」「英語」「理科」「社会」の5教科でしたよね。ところが高校では、この5教科がさらに細かく分かれて、科目数がぐんと多くなります。
具体的には、以下のように細分化されています。
- 国語:現代の国語、言語文化、論理国語、文学国語、国語表現、古典研究
- 地理・歴史:地理総合、地理探求、歴史総合、日本史探求、世界史探求
- 公民:公共、倫理、政治・経済
- 数学:数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、数学A・B・C
- 理科:科学と人間生活、物理基礎、物理、化学基礎、化学、生物基礎、生物、地学基礎、地学
- 外国語(英語):英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ、論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
- 情報:情報Ⅰ、情報Ⅱ
- 理数:理数探求基礎、理数探求
これだけの科目があるため、勉強する量も大幅に増加します。そのため、定期テスト前に短期間だけ勉強する方法では対応しきれません。高校では毎日の授業の予習・復習が基本となり、学習習慣を維持していないと授業に追いつくことが難しくなります。
特に理系・文系にかかわらず、1年次には多くの科目を必ず学習します。そのため、高校生活が始まると、まずこの『科目数の多さ』に圧倒されることが少なくありません。毎日少しずつでも学習を積み重ねていく習慣が重要です。
高校で必須の「英語」と「数学」を早めに攻略しよう
高校に入ったら特に早く攻略しておきたいのが『英語』と『数学』です。なぜこの2つの科目が大切なのかというと、高校ではどちらの科目も大学受験で大きなウェイトを占めるからです。
英語は、文系・理系を問わず、大学入試で必要な科目です。また、近年では「英検」や「TEAP」「GTEC」などの資格試験を入試で活用する大学も増えています。そのため、高1の段階から単語や文法を確実に学習し、長文読解の基礎を早めに身につけることが大切です。
中学英語との違いは、『語彙数』と『英文の難易度』にあります。中学のときに習った文法を完全に理解していないまま高校の授業に入ると、いきなりつまずくことになります。高校入学前の春休みを使って、中学までの文法の復習や、高校で必要になる基本的な単語を覚えておくだけでも大きな差が生まれますよ。
また、数学は多くの高校生にとって、つまずきやすい教科です。特に高校の数学は、『数学Ⅰ』『数学A』といった新しい単元からスタートしますが、この単元でつまずいてしまう生徒がとても多いです。入学後すぐに因数分解や展開、二次関数などを学ぶため、これらをスムーズに理解できるかどうかがその後の数学の成績を左右します。
数学は一度遅れると取り戻すのがとても大変です。中学校で苦手意識がある場合は、高校入学前や入学直後に早めの対策をする必要があります。塾や予備校などを活用し、基礎的な内容を固めておくのも効果的です。
英語と数学に早くから取り組むことのメリットは、大学受験に対応できる学力が身につくだけでなく、他の科目への学習時間を確保できることにもつながります。高校生活を余裕を持って過ごすためにも、『英語と数学を早期攻略する』という視点はとても重要になります。
進路を決めるときの注意点は?

苦手科目を避けるのは要注意!
高校では、科目の選択肢が広がり、自分の進路に合わせて授業を選ぶことができます。そのため、苦手な教科を避けてしまう生徒が少なくありません。例えば、「数学が苦手だから文系を選ぶ」というケースです。しかし、これはとても危険な考え方です。
なぜなら、科目選択を「苦手だから」という理由だけで決めてしまうと、後になって進路の選択肢が大きく狭まってしまうことがあるからです。
特に注意したいのが『数学』です。高校生のなかには「数学が苦手だから文系を選ぶ」というケースがあります。しかし、最近の大学入試では、国公立大学だけでなく、私立大学の文系学部でも数学が必要になることがあります。
数学を避けてしまうと、「私立文系」の受験しか選択肢が残らず、国公立大学への挑戦が難しくなる場合もあります。また、文系だからといって必ずしも数学を使わないとは限らず、経済学部や商学部、心理学部などでは数学が必要なことが多いため、苦手だからといって簡単に避けてはいけません。
将来やりたいことを考えずに苦手科目を避けると、進路決定の時期になって「本当にやりたいことを学べない」という状況になりかねません。子どもが高校で科目を選択する際は、得意・不得意だけで判断せず、「将来どんな仕事をしたいか」「どんな大学・学部に行きたいか」を親子でしっかり話し合いながら決めることが大切です。
進路決定で失敗しないためのポイント
高校生になると、進路を具体的に考え始めます。特に高校1年の秋ごろには、「文系にするか、理系にするか」を選択することが多いです。この時期の決定が、その後の大学進学や将来のキャリアに影響を与えるため、慎重に考える必要があります。
進路決定で失敗しないためには、次のポイントを意識しましょう。
- 早めに進路に関する情報収集を始める
- 希望する大学・学部に必要な科目を調べ、具体的に何を学ぶのかを知ることが重要です。大学によって、必要となる科目が異なるため、事前にしっかり調べましょう。
- 学校の先生や塾などのプロに相談する
- 進路については、親子だけでは十分な情報が得られない場合があります。学校の進路指導の先生や通っている塾の先生など、進路に詳しい専門家にアドバイスをもらいながら方向性を決めていきましょう。
- 長期的な視野で進路を考える
- 「大学に入ること」だけが目的ではありません。「大学卒業後にどんな仕事に就きたいか」「どんな生活を送りたいか」まで考えると、より納得できる進路選択ができます。
特に最近の大学入試では、推薦入試や総合型選抜が増加しています。こうした入試では高校1年からの成績が評価されます。そのため、高校入学後の早い段階から自分の将来について考え始め、親子で定期的に話し合う習慣を持つことが非常に重要です。
高校生活の中では、将来のことを考えるのが難しい時期もあります。子どもが迷ったときは、保護者が話し相手となり、子ども自身が納得できるような進路選択をサポートしていきましょう。
高校生活を充実させるために必要な心構え

高校生活は、勉強だけでなく部活動や学校行事など、やりたいことがたくさんありますよね。しかし、これらを全力で楽しみつつ、同時に成績をキープするのは簡単なことではありません。高校生活を充実させるためには、いくつかの大切な心構えがあります。
勉強習慣を止めないことが大切
高校受験が終わったばかりの頃は、子どもも親もホッとして気を抜きがちになります。でも、勉強習慣を完全に崩してしまうと、もう一度軌道に乗せるのは本当に大変です。だからこそ、毎日少しずつでも学習時間を確保し、『学習リズムを維持すること』が重要です。
短時間でも良いので、机に向かう時間を毎日作るようにしましょう。これが習慣になると、「勉強しないと落ち着かない」と感じるようになり、学習が負担ではなく、自然な生活の一部になります。
部活動との両立がカギになる
高校では多くの生徒が部活動に参加します。部活動を通じて友だちが増えたり、人間的に成長したり、学校生活が楽しく充実したものになります。一方で、部活動が忙しくなりすぎると、勉強時間が減ってしまい成績が下がるケースも珍しくありません。
部活動と勉強を両立させるためには、『効率的な時間の使い方』が重要になります。具体的には、毎日の勉強スケジュールをあらかじめ決めておくのがおすすめです。例えば、「毎日夜9時から1時間は必ず復習をする」「部活が休みの日は予習を多めにする」といった計画を立てておくと、自然とメリハリがつき、両立が楽になります。
また、限られた時間で効率よく学習するためには、『集中力を高めること』も必要です。自宅で集中できない場合は、塾や図書館など外部の静かな学習スペースを利用すると効果的ですよ。
自分から積極的に質問する姿勢が大切
高校では授業スピードが速くなり、わからないことがあっても、授業のなかでじっくりと教えてもらえることは少なくなります。そのため、『自分から積極的に質問する姿勢』を持つことがとても重要になります。
実際に成績を伸ばす生徒は、自分が理解できないポイントをそのままにしません。授業後に先生のところへ質問に行ったり、通っている塾で相談したりと、積極的に解決する習慣を持っています。このような姿勢を入学直後から意識して身につけると、その後の学習効果が大きく変わってきます。
早めの進路意識が学校生活を充実させる
高校生にとって、進路選択はとても重要なテーマです。しかし、実際には多くの生徒が進路決定を後回しにしてしまいがち。高校1年生のうちは「進路はまだ先の話だ」と考えている人も多いですが、大学入試では高校1年の成績も重要視されます。
だからこそ、高校に入学した時点である程度の『将来設計』を考えておくことが理想的です。特に志望大学や希望の職業などを意識していると、どんな科目を重点的に学ぶべきか明確になります。進路を早くから意識すると、「なんとなく」ではなく、目的を持った学習ができます。結果として、成績も安定し、進路の選択肢も広がります。
また、進路決定に迷ったら、学校や塾の先生などの信頼できる人にアドバイスを求めることも大切です。進路について親子で積極的に会話をする習慣を持ちましょう。
「完璧主義」よりも継続を重視しよう
高校生活を充実させるためには、『完璧を目指しすぎないこと』も大切なポイントです。「毎日完璧に勉強しなければ」と考えると、部活や学校行事との両立が難しくなります。理想を高く持つことは良いことですが、それがストレスになると継続が難しくなります。
そこで、『毎日少しずつ確実に取り組む』ことを意識してみましょう。完璧を求めすぎて苦しくなるよりも、短時間でいいので毎日の勉強を続けるほうが効果的です。その方が勉強への負担が減り、結果として良い成績につながります。
こうした心構えを親子で共有しながら、「楽しみ」と「学習」のバランスを保つことで、充実した高校生活を送れるようサポートしてあげてくださいね。