作文が苦手な子どもをサポートする「型」の力:楽しく書くコツとは?

「作文が苦手…」そう悩む親御さんは少なくありません。しかし、文章を書く力は受験や就職だけでなく、社会生活全般で役立つ重要なスキルです。子どもが作文に自信を持てるようになるには、何よりも「型」を教えることが効果的です。この記事では、作文の「型」を活用した指導方法と、そのメリットについて解説します。

目次

作文が苦手な子どもの現状

「作文が苦手」という子どもは多く、原稿用紙を前にすると筆が進まないという悩みをよく耳にします。その理由は、子どもが「どう書けばいいのか分からない」ことにあります。ただ漠然と「好きなことを書いて」と言われても、具体的な方法が分からなければ、何から手をつけるべきか迷ってしまいます。

さらに、日本の小学校での作文指導では、文章の具体的な書き方を体系的に教える機会がほとんどありません。国語の教科書では物語や詩、説明文などを読む機会はあるものの、「どのように書くか」については詳しく扱われていないのが現状です。そのため、多くの子どもは作文を書く際に必要な「構成」や「表現の方法」を学ぶ機会を持たずに育っています。

一方で、作文はただの学校の課題として終わるものではありません。受験では小論文や記述問題が課されることが多く、社会に出てからもプレゼンテーションや企画書作成など、文章力が求められる場面は少なくありません。こうした力を身につけることは、子どもにとって大きな財産となるのです。

しかし、このような現状を改善する方法があります。それが「型」を教えることです。具体的な書き方の手順や構成を学ぶことで、子どもたちは「どう書けばよいか」が分かり、自信を持って作文に取り組むことができるようになります。

日本とアメリカで異なる作文指導のアプローチ

日本の学校教育における作文指導は、読書や言葉の学びを通じて文章に親しむことが中心です。国語の教科書には物語や説明文、詩などの作品が掲載されていますが、具体的に「どのように書くか」を教える内容は少なく、作文の技術を体系的に学ぶ機会は限られています。そのため、子どもがいざ作文を書こうとしても、何をどう表現すればよいのか分からず、苦手意識を持つケースが少なくありません。

一方、アメリカでは作文指導が教育の中核をなす科目の一つです。特に小学校低学年から、中核となるスキルとして「書く力」を育てる教育が行われます。アメリカの作文指導の目的は、「子どもたちが言葉を効果的にアウトプットできるようになること」にあります。そのため、作文を「伝えたいことを明確にし、論理的に構成する技術」として教えます。

たとえば、アメリカの小学校では、作文を書く際に次のような構造を学びます。

  1. 主張(テーマや意見)を明確に述べる。
  2. 具体的な理由や事例を挙げて主張を支える。
  3. 結論として、主張を再確認する。

この三部構造は、シンプルで明快なため、子どもが理解しやすく、自信を持って作文を書けるようになります。

また、アメリカでは、作文が単なる国語のスキルにとどまらず、論理的思考力や自己表現力を養うものとして位置づけられています。そのため、作文は他教科とも密接に関連しており、理科のレポートや社会科のプレゼンテーションでも、書く力が重視されます。

このようなアプローチの違いから、アメリカでは小学校低学年のうちに「書く技術」が身についている子どもが多いのに対し、日本では「作文が苦手」と感じる子どもが多いという現状が生まれています。ですが、日本の子どもたちも具体的な「型」を学ぶことで、アメリカの子どもたちのように自信を持って作文を書く力を身につけることが可能です。

子どもに教えたい基本の「型」とは?

作文が苦手な子どもでも、文章を書く際の「型」を知ることで、ぐっと書きやすくなります。この「型」とは、文章の構成をシンプルな手順でまとめる方法です。特に初心者の子どもには、三部構造の基本型を教えるのが効果的です。この型を活用することで、書くべき内容が明確になり、文章全体の流れもスムーズになります。

基本の三部構造

  1. 主張を明確に述べる
    文章の冒頭で「自分が何を伝えたいのか」をはっきりさせます。たとえば、「私は犬より猫が好きです」と最初に結論を述べることで、読者にテーマが伝わりやすくなります。
  2. 主張を支える理由を挙げる
    主張を裏付ける理由を2~3つ挙げることで、説得力のある文章が書けます。この際、理由は具体的であるほど効果的です。以下は例です:
    • 理由1:猫はふわふわしていて癒される。
    • 理由2:散歩が不要で世話が楽。
    • 理由3:鳴き声が可愛らしい。
  3. 結論として主張を繰り返す
    最後に、最初の主張を簡潔に繰り返し、結論として文章を締めくくります。たとえば、「やはり猫は最高だ」と結び、文章全体をまとめます。

この型を教えるメリット

この三部構造の型は非常にシンプルで、初めて作文に挑戦する子どもでも理解しやすいのが特徴です。文章の構成が決まっていることで「何を書けばいいか分からない」という迷いがなくなり、書く作業に集中できます。また、この型を使うことで、論理的な考え方が自然と身につき、国語以外の教科や日常生活にも応用できる力が育ちます。

型を応用した練習方法

型を教えたら、日常の出来事や興味のあるテーマを題材にして練習してみましょう。たとえば、「好きな食べ物」「楽しかった出来事」など、子どもが話しやすい話題を選ぶと良いでしょう。簡単なテーマでも、三部構造に従って書くだけで、まとまりのある文章が完成します。

このように、基本の「型」を身につけることで、作文を書くことが楽しいと感じられるようになります。そして、自信を持って「書く力」を育むことができるのです。

「型」を活かした作文指導の具体例

文章を書く「型」を教えるとき、ただ説明するだけでは子どもはなかなか理解できません。実際に書きながら学ぶことが大切です。ここでは、子どもに分かりやすく「型」を身につけてもらうための具体的な指導例を紹介します。

1. 簡単なテーマを選ぶ

最初は、子どもが話しやすい簡単なテーマを選ぶことがポイントです。たとえば、「好きな動物」「楽しかった休日」「好きな食べ物」など、日常生活に関わるテーマにしましょう。子どもが興味を持ちやすい話題を選ぶことで、作文への抵抗感が減ります。

例題:「好きな食べ物」

2. 三部構造の基本型で書く

1. 主張を明確にする
「私の好きな食べ物はカレーライスです。」と結論から書き始めます。これにより、文章の方向性が明確になります。

2. 理由を挙げる
次に、その主張を支える理由を2〜3つ挙げます。理由は具体的であればあるほど良いです。

  • 理由1:スパイスの香りが食欲をそそるから。
  • 理由2:家族みんなで一緒に作る時間が楽しいから。
  • 理由3:野菜やお肉をたっぷり使えるので栄養満点だから。

3. 結論でまとめる
最後に、主張を再度述べて文章を締めくくります。
「だから、私はカレーライスが一番好きな食べ物です。」

このように構成するだけで、まとまりのある文章が完成します。

3. 「観点」を取り入れる練習

低学年の子どもには、テーマを「観点」で分ける方法も有効です。たとえば、テーマが「遊園地」の場合、「おもしろかったこと」を2つ挙げさせて書かせます。

例文:

  • 遊園地に行きました。
  • 遊園地で一番おもしろかったのはジェットコースターです。速くてスリルがあって、何度も乗りたくなりました。
  • 次におもしろかったのは観覧車です。高いところから景色が見渡せて、とても気持ちよかったです。
  • 遊園地はとても楽しい場所でした。

この方法なら、時系列で出来事を追うだけの作文ではなく、観点ごとにまとめた論理的な文章が書けるようになります。

4. 型を繰り返し練習する

型を使った作文練習は、1回で終わりではありません。繰り返し練習することで、子どもが自然に「型」を使いこなせるようになります。たとえば、週に1回、家族で「今日楽しかったこと」をテーマに作文を書いてみるなど、日常的な取り組みとして習慣化するのがおすすめです。

「型」を活用した指導は、ただ作文が書けるようになるだけでなく、子どもの論理的思考力や表現力を伸ばす効果も期待できます。この手法を家庭や学校で取り入れることで、子どもたちは自信を持って文章を書く楽しさを実感できるようになるでしょう。

論理的思考力を伸ばす作文の型

作文の型を身につけることは、単に文章が書けるようになるだけではありません。型を使って文章を書く練習を重ねることで、論理的思考力も自然と身についていきます。論理的思考力とは、物事を筋道立てて考え、相手に分かりやすく伝える力のことです。この力は、学校の勉強だけでなく、社会に出てからも役立つ重要なスキルです。

型が論理的思考力を伸ばす理由

  1. 考えを整理する力がつく
    作文の型では、主張・理由・結論の三部構造を基本とします。この構造に従って書くことで、子どもは「自分が何を伝えたいのか」を明確に考えるようになります。主張を述べる、理由を挙げる、結論でまとめるといった流れを繰り返すことで、物事を整理する力が鍛えられます。
  2. 説得力のある文章が書けるようになる
    理由を挙げる練習を重ねることで、子どもは「どうすれば自分の意見が相手に伝わるか」を考えるようになります。ただ結論を述べるだけでなく、具体的な根拠やエピソードを添えることで説得力のある文章が書けるようになります。たとえば、「猫が好き」という主張を裏付けるために「フワフワして癒される」「世話が楽」という具体的な理由を挙げることで、読者にも納得感を与えることができます。
  3. 論理的なつながりを意識する習慣がつく
    文章を書くときに「なぜその結論に至るのか」「どうしてその理由が重要なのか」を考えることで、論理的なつながりを意識するようになります。この習慣が身につくと、他の教科や日常生活の中でも、根拠を持って意見を述べる力が養われます。

論理的思考力を育む練習方法

1. 質問を通じて考えさせる
作文を書く前に、以下のような質問を投げかけることで、子どもが自分の考えを深められるようになります。

  • 「どうしてそう思うの?」
  • 「その理由をもっと詳しく教えて?」
  • 「ほかにも理由があるかな?」

2. フレームワークを活用する
子どもが迷わず書けるよう、フレームワークを準備するのも効果的です。たとえば、以下のような枠を用意します。

  • 主張:〇〇だと思います。
  • 理由1:なぜなら、□□だからです。
  • 理由2:もう一つの理由は、△△です。
  • 結論:だから、〇〇が良いと思います。

3. 書いた文章を読み返す練習
書いた作文を一緒に読み返し、「理由が足りているか」「話の流れがスムーズか」を確認します。子どもに質問を投げかけながらアドバイスをすることで、論理的に考える力を高められます。

書く力が未来をつくる

作文の型は、一見シンプルですが、その中には論理的思考力を鍛える要素が詰まっています。この力は国語だけでなく、社会や理科、さらには日常のコミュニケーションでも役立ちます。子どもが型を活用し、自分の考えを整理して表現できるようになれば、学びの幅が広がり、自信を持って新たな挑戦に取り組むことができるでしょう。

作文の型を使って、論理的思考力を楽しく育む環境をつくっていきましょう!

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