30年でここまで変わった!岡山朝日高校の英語入試問題の変化
30年前と現在で、岡山朝日高校の英語入試問題が求める力はどう変化したのでしょうか?
1993年度と2023年度を比較すると、文法問題の廃止や自由記述問題の導入、さらに思考力や表現力を重視する設問が目立つようになっています。本記事では、英語入試問題の進化を具体的な設問例とともに解説し、これからの学習に必要なスキルや対策方法を提案します。
1. 文法問題から自由記述へ:30年で変わった英語入試の形
1993年度と2023年度の岡山朝日高校の英語入試問題を比較すると、試験内容や出題形式が大きく変化していることがわかります。特に目立つのが、文法問題の廃止と自由記述問題の増加です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
文法問題の廃止とその意図
1993年度の英語入試では、以下のように文法に特化した問題が出題されていました。
問題例:
① Please bring three ( dish ) to the kitchen.
② He was ( study ) English in his room.
③ This pen is ( good ) than that one.
④ “Whose dictionary is this?” “It’s ( she ).”
⑤ English is a language ( speak ) in many parts of the world.
これらは、教科書や参考書で学ぶ文法事項をそのまま確認するような問題です。
- 特徴:中学英語の基礎知識が正確に身についているかを測るシンプルな形式。
- 解答方法:空欄に適切な単語を1語で記入するだけで済み、機械的に解ける内容。
一方で、2023年度には文法問題そのものが完全に姿を消しました。文法力は長文読解や自由記述の中で自然に評価される形式へと移行しています。この変化には以下のような意図が考えられます。
- 文法の運用力を重視:暗記した知識ではなく、文脈に即して適切に使える力を測る。
- 問題全体を通じて統合的に評価:文法だけに焦点を当てず、英語全体の運用力を見る。
長文読解の高度化と自由記述問題の導入
1993年度の長文読解では、内容理解や文法的知識を確認する以下のような設問が主流でした。
問題例:
① 本文の空欄(ア)に入れる最も適切な単語を選びなさい。(1~4から選択)
② 下線部(エ)について、与えられた単語を並べ替えて正しい文を作りなさい。
③ 本文の内容と合っているものを選びなさい。(選択肢あり)
これらの問題は選択肢や並べ替えなど、限られた形式の中で正答を導くものが多く、受験生の知識を的確に測るには適していました。しかし、思考力や表現力はあまり問われません。
一方、2023年度では以下のような自由記述問題が増加しています。
問題例:
① 本文の内容をもとに、下線部①について具体的に30~40字で日本語で説明しなさい。
② 下線部②について、本文中の適切な表現を英語で3語抜き出しなさい。
③ 本文の発表内容について、文の流れに合うように自由に感想を英文で書きなさい。
これらの問題では、以下のような能力が求められます。
- 文脈を深く理解する読解力:単語や文章の表面的な意味だけでなく、背景や登場人物の意図まで読み取る力。
- 考えを言葉にする表現力:自由記述問題では、自分の考えを的確に伝える力が必要です。答えが一意に決まらないため、発想の柔軟性も問われます。
変化が示す教育方針の違い
これらの変化から見えるのは、基礎知識の暗記よりも思考力や実用的な英語力を重視する教育方針への移行です。文法の知識そのものは依然として重要ですが、それを活用して「何が言いたいのか」を表現する能力がより重視されるようになっています。
次の見出しでは、このような入試問題の変化により、現代の受験生に求められる力についてさらに詳しく解説します。
2. 現代の英語入試が求める力とは?
2023年度の岡山朝日高校の英語入試問題は、読解力、思考力、表現力といった総合的な英語力を測る内容へと進化しています。ただ読むだけではなく、考え、解釈し、自分の言葉で伝える力が試される設問が増えているのが特徴です。以下に、具体的に求められる力を解説します。
読解力だけではない!思考力と表現力の重要性
現代の英語入試問題では、ただ文章を読んで内容を理解するだけでなく、その内容を基に考え、自分の意見や解釈を述べる力が必要です。
長文読解の例:
- 問題例1: 「下線部①について本文全体をふまえて30~40字の日本語で説明しなさい。」
→ この問題では、文章全体の流れや筆者の意図を正しく理解し、それを簡潔にまとめる力が試されます。 - 問題例2: 「Shoの感想文を自由に書きなさい。」
→ この自由記述問題では、文章の内容を基にして自分の意見を英文で表現する力が求められます。答えに正解が一つに定まらないため、論理的に考えを述べる能力や文法力、語彙力が総合的に評価されます。
これらの問題を解くには、以下のスキルが不可欠です。
- 情報の要約: 必要な情報を選び、無駄なくまとめる力。
- 論理的な思考: 与えられた内容を整理し、自分の考えを組み立てる能力。
- 自由な表現: 文法や語彙を正確に使い、明確に自分の意見を伝える力。
多角的な問題形式とその背景
1993年度では文法問題や選択式の設問が中心だったのに対し、2023年度では自由記述やキーワード抜き出し、複数の条件を満たす並び替えといった多様な形式が採用されています。
この変化の背景には、現代の教育方針が影響しています。
- グローバル化: 世界で通用する英語力を重視する中、読んで理解するだけでなく、自分の意見を伝える力が求められています。
- 思考力の育成: 暗記型の勉強では解けない問題が増え、柔軟に考える力が必要となっています。
- 総合力の評価: 受験生が持つ英語力を知識、思考、表現の観点から総合的に評価する試験へと変化しています。
特に、自由記述で字数制限がない設問が増えたことは、「受験生に自由に考えさせる力を試す」という現代の入試の象徴といえるでしょう。
求められる力を伸ばす学習の方向性
現代の入試が求める力に対応するためには、日常的な学習の中で以下を意識することが重要です。
- 読む力: 長文読解を練習し、筆者の意図や文章の背景を深く理解する力をつける。
- 考える力: 問題を読んで答えるだけではなく、「なぜそうなのか」を考える習慣をつける。
- 書く力: 自分の意見や考えを正確な英語で表現するトレーニングをする。
これらのスキルをバランスよく伸ばすことで、現代の入試問題にも対応できる実践力が身につきます。
次の見出しでは、このような力を育てるための具体的な学習方法について解説します。現代の英語学習に欠かせないトレーニング法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
3. 英語学習で取り組むべきポイント
現代の英語入試問題に対応するためには、読解力、思考力、表現力をバランスよく伸ばす学習が必要です。ここでは、それぞれの力を育てるための具体的な学習法をご紹介します。
1. 自由記述に対応するためのトレーニング法
2023年度の入試問題では、字数制限のない自由記述問題が増えています。これに対応するには、普段から考えを文章化する練習を積むことが重要です。
取り組み方のポイント:
- 毎日1つテーマを決めて英作文をする
「好きな本について」「学校で楽しかったこと」など、日常的なテーマで短い文章を書く習慣をつけましょう。簡単な内容でも、理由や背景を含めて具体的に書くことを意識します。 - 要約練習を行う
英語の文章を読み、内容を日本語や英語で要約する練習を取り入れることで、文章の要点を整理して伝える力が身につきます。- 例: 本文の下線部について「なぜそう考えるのか」を30~40字で説明する形式を模倣。
- 添削を受ける
書いた文章を先生や塾で添削してもらい、誤りや改善点を確認しましょう。添削を通じて、自分の弱点が明確になります。
2. 文法力を維持しつつ表現力を伸ばす学習法
文法問題が独立して出題されなくなったとはいえ、文法力は依然として重要です。特に長文読解や自由記述の中で正確に文法を使える力が必要になります。
文法力を維持するための方法:
- 基礎を繰り返し復習する
中学レベルの文法書を何度も読み返し、空欄補充や並べ替え問題で確認を行いましょう。 - 文法と実践を結びつける
長文読解や英作文の中で学んだ文法を実際に使ってみることで、運用力が向上します。- 例: 「関係代名詞を使った文を1つ作る」「過去完了を含む文章を書く」など、ルールを意識した練習を。
表現力を伸ばすための方法:
- 語彙力を強化する
自分の考えを英語で表現するには語彙が欠かせません。単語帳を使った暗記だけでなく、例文を通じて使い方を覚えると効果的です。- 例: 「音楽」「対話」といった特定のテーマに関連する語彙を増やす。
- テンプレートを活用する
英作文の練習では、使い回せる表現をあらかじめ覚えておくと便利です。- 例: “I think that ~ because ~.”(私は~と考えます。それは~だからです。)といった形式を活用。
3. 長文読解力を鍛えるための習慣
長文読解は入試英語の要となる部分です。読むだけでなく、深く理解するための習慣を取り入れることが重要です。
具体的な学習方法:
- 段落ごとに要約する
長文を段落ごとに読み、要点を日本語や英語で簡潔にまとめます。これにより、文章の流れを理解しやすくなります。 - 本文の内容を質問形式にする
自分で本文内容に基づく質問を作り、それに答える形式で練習することで、より深い読解が可能になります。- 例: 「なぜ筆者はこの結論に至ったのか?」「登場人物が感じた感情は?」など。
- 多様なテーマに触れる
科学、文学、社会問題など、入試に出題される幅広いテーマに対応するため、多様なジャンルの文章に触れるよう心がけましょう。
4. 模試や過去問を活用する
実際の入試形式に慣れるためには、模試や過去問を活用することが効果的です。
活用方法のポイント:
- 模試で弱点を洗い出す
模試を受けた後、特に苦手な分野や設問形式を特定し、その部分を重点的に復習します。 - 過去問で出題傾向を把握する
過去問を解くことで、試験の傾向や問題の形式に慣れることができます。自由記述問題についても、過去の出題例を参考に練習を行いましょう。
まとめ
現代の英語入試では、知識の暗記だけでなく、それを活用して自分の考えを述べる総合的な力が求められています。日々の学習の中で、読む・考える・書くというプロセスを意識的に取り入れることで、入試対策がより効果的になります。次回のシリーズ第3弾では、国語入試問題の変化について解説します。ぜひお楽しみに!